ストライク・アップ・ザ・バンド (映画)

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ストライク・アップ・ザ・バンド
Strike Up the Band
劇場ポスター
監督 バスビー・バークレー
製作 アーサー・フリード
出演者 ミッキー・ルーニー
ジュディ・ガーランド
ポール・ホワイトマン&オーケストラ
ジューン・プレイザー
ウィリアム・トレイシー
音楽 ロジャー・イーデンス
撮影 レイ・ジューン, A.S.C.
編集 ベン・ルイス
製作会社 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
配給 ロウズ, Inc.
公開 1940年9月27日 (1940-09-27)[1]
上映時間 120分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $854,000[2]
興行収入 $3,494,000[2]
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ストライク・アップ・ザ・バンド』(Strike Up the Band) は、1940年アメリカ合衆国ミュージカル映画

メトロ・ゴールドウィン・メイヤーアーサー・フリードのチームによりプロデュースされた。バスビー・バークレーが監督したミュージカル映画で『青春一座』に続きミッキー・ルーニージュディ・ガーランドが共演した2作目となった。

1927年のミュージカル『ストライク・アップ・ザ・バンド (ミュージカル)英語版』を基にし、1930年のブロードウェイでの改訂版も好評であったが、タイトル曲以外はほとんど異なっている[1]

あらすじ[編集]

リバーウッド高校の生徒であるジミー・コナーズ(ミッキー・ルーニー)はスクール・バンドでドラムを担当しているが、ダンス・バンドでの演奏を夢見る。ガールフレンドのメアリー・ホルデン(ジュディ・ガーランド)と共に校長に、ダンス・オーケストラを結成してダンス・パーティを開催し、学校の資金を集めることを提案する。校長は最初いぶかしげだったが、結局は1枚目のチケットの購入に同意する。パーティは成功し、楽器購入に要した学校の借金はこれで完済する。

著名なバンド・リーダーのポール・ホワイトマン(本人)がシカゴで行われる高校音楽グループ・コンテストのスポンサーとなり、ジミーは出場を決意する。資金集めのショーのため、3週間で生徒たちは脚本、制作、上演を行なう。『Nell from New Rochelle』と題したメロドラマを上演して成功を収めるが、それでも資金が足りずにホワイトマンから借金する。バンド・メンバーのウィリー(ラリー・ナン)が怪我をして緊急手術が必要になり、これまで集めた資金を使ってシカゴで手術を受けさせる。

ギリギリのところでジミーたちはシカゴ行き特急電車の無料券を手に入れる。シカゴで行なわれたコンテストで優勝して賞金500ドルを手に入れる。ジミーは全出場バンドによるグランド・フィナーレ『ストライク・アップ・ザ・バンド』の指揮をする栄誉を得る[3]

キャスト[編集]

  • ジミー・コナーズ:ミッキー・ルーニー
  • メアリー・ホルデン:ジュディ・ガーランド
  • 本人:ポール・ホワイトマン&オーケストラ
  • バーバラ・フランセス・モーガン:ジューン・プレイザー
  • フィリップ・ターナー:ウィリアム・トレイシー
  • ウィリー・ブリュースター:ラリー・ナン
  • アニー:マーガレット・アーリー
  • コナーズ夫人:アン・シューメイカー
  • ジャッド氏:フランシス・ピアロット
  • メイ・ホルデン夫人:ヴァージニア・ブリザック
  • モーガン氏:ジョージ・レッシー
  • モーガン夫人:エニド・ベネット
  • 医師:ハワード・ヒックマン
  • ミス・ホッジェス:サラ・エドワーズ
  • ホルデン氏:ミルトン・キビー
  • ブリュースター夫人:ヘレン・ジェローム・エディ
クレジット無し (登場順)
ヴァージニア・セイル 音楽教師
マーガレット・マーキー 図書室でメアリーに『アントニーとクレオパトラ』について尋ねる少女
ヴォンデル・ダー 図書室でメアリーに『The Indian Love Lyrics』について尋ねる少女
チャールズ・スミス 図書室でメアリーに『ローマ帝国衰亡史』について尋ねる少年
ヘンリー・ロケモア モリソン氏
シドニー・ミラー シド。生徒の1人
ヴィクター・ヴィントン 生徒
ドン・キャッスル チャーリー
ジョー・ユール フェアのチケット売り
ジャック・アルバートソン フェアの客引き
ジャック・マルホール コンテストの勝者を告げる電話の男

楽曲[編集]

当時のMGMの様式通り、サウンドトラックはステレオで収録され、モノラルでリリースされた。オリジナルのステレオ版がいくつか残っており、『Mickey Rooney - Judy Garland Collection』などのホームビデオに収録されている[4]

  • ストライク・アップ・ザ・バンド Strike up the Band (1927) - ジョージ・ガーシュウィン作曲、アイラ・ガーシュウィン作詞
    • オープニング・クレジットでガーランド、ルーニーが歌唱、フィナーレでコーラス
  • Our Love Affair (1939) - ロジャー・イーデンス作曲、アーサー・フリード作詞
    • オープニングおよびエンドクレジット
    • オーケストラの伴奏およびルーニーのピアノ演奏でガーランドが歌唱
    • アニメのフルーツ・オーケストラでのリプライズ
    • バンドのリハーサル、ダンス・シーンでのリプライズ
    • フィナーレでのガーランド、ルーニーによるリプライズ
    • 背景音楽として度々演奏
  • Do the La Conga (1939) - ロジャー・イーデンス作詞作曲
    • ガーランド、ルーニー、ミラーによるパフォーマンス
    • ダンス・シーンでのトレイシー、コーラス
    • フィナーレでのキャストによるリプライズ
  • Nobody (1939) - ロジャー・イーデンス作詞作曲
    • ガーランドによる歌唱
  • Oh Where, Oh Where Has My Little Dog Gone? (クレジット無し) - 伝統曲
    • フェアのシーンの始めの背景音楽
  • The Gay Nineties - ロジャー・イーデンス作詞作曲
    • ガーランド、ルーニー、トレイシーによるパフォーマンス
    • エルクス・クラブでのショーでアーリーとコーラス
  • Nell of New Rochelle (1939) - ロジャー・イーデンス作詞作曲
    • エルクス・クラブでのショーでガーランド、ルーニー、コーラスによるパフォーマンス
  • Walking Down Broadway (クレジット無し) - 伝統曲、ロジャー・イーデンス編曲
    • Nell of New Rochelle」のシーンでコーラスによる歌唱
  • "A Man Was the Cause of It All" (1939) - ロジャー・イーデンス作詞作曲
    • Nell of New Rochelle」のシーンでガーランドによる歌唱
  • 舞踏会のあとで After the Ball (1891) - チャールズ・ハリス作曲
    • Nell of New Rochelle」のシーンのダンス音楽
  • Sobre las olas (Over the Waves) (1887) (クレジット無し) - フベンティーノ・ローサス作曲
    • Nell of New Rochelle」のシーンの背景音楽
  • Heaven Will Protect the Working Girl (1909) (クレジット無し) - A・ボールドウィン・スローン作曲、エドガー・スミス作詞
    • Nell of New Rochelle」のシーンでガーランド、ルーニー、コーラスによる歌唱
  • 埴生の宿 Home, Sweet Home (1823) (クレジット無し) - HRビショップ作曲
    • ネルがゆりかごを揺らす際の背景音楽
  • Ta-ra-ra Boom-de-ay (1891) (クレジット無し) - ヘンリー・J・セイヤーズ
    • Nell of New Rochelle」のシーンでコーラスが歌う中、プレイザーが歌い踊る
    • Nell of New Rochelle」のシーンのフィナーレにてリプライズ
  • Come Home, Father (1864) (クレジット無し) - ヘンリー・クレイ・ワーク作詞作曲
    • Nell of New Rochelle」のシーンでナンとガーランドによる歌唱
  • The Light Cavalry Overture (クレジット無し) - フランツ・フォン・スッペ作曲
    • Nell of New Rochelle」のシーンで度々流れる
  • Rock-a-Bye Baby (1886) (クレジット無し) - エフィ・カニング
    • ウィリーが帰宅する際の背景音楽
  • Five Foot Two, Eyes of Blue (Has Anybody Seen My Girl?) (クレジット無し) - レイ・ヘンダーソン作曲
    • ジミーとバーバラが両親を待つ間の背景音楽
  • When Day is Done (クレジット無し) - ロバート・カッシャー作曲
    • バーバラのパーティにてポール・ホワイティング&オーケストラによるオープニング
  • Wonderful One (クレジット無し) - ポール・ホワイティング、ファード・グロフ・シニア作曲
    • バーバラのパーティにてポール・ホワイティング&オーケストラによるダンス音楽
  • Drummer Boy (1939) - ロジャー・イーデンス作曲、イーデンス、アーサー・フリード作詞
    • バーバラのパーティにてガーランド、ドラムとヴィブラフォンのルーニー、バンド・メンバーによるパフォーマンス
    • フィナーレにてキャストによるリプライズ
  • China Boy (クレジット無し-) - ディック・ウィンフリー、フィル・ブティユ
    • シカゴへの行程およびコンテストのモンタージュの背景音楽
  • Hands Across the Table (1934) (クレジット無し) - ジャン・デレトル作曲
    • シカゴへの行程およびコンテストのモンタージュの背景音楽
  • Limehouse Blues (1922) (クレジット無し) - フィリップ・ブラハム作曲
    • シカゴへの行程およびコンテストのモンタージュの背景音楽
  • タイガー・ラグ Tiger Rag (1918) (クレジット無し) - エドウィン・エドワーズ、ニック・ラロッカ、トニー・スバーバロ、ヘンリー・ラガス、ラリー・シールズ
    • シカゴへの行程およびコンテストのモンタージュの背景音楽
  • コロンビア・大洋の宝 Columbia, the Gem of the Ocean (1843) (クレジット無し) - トーマス・ベケット編曲
    • 終盤、旗の掲揚の背景音楽

評価[編集]

興行収入[編集]

MGMの記録によると、アメリカとカナダで$2,265,000、それ以外で$1,229,000 の興行収入があり、利益は$1,539,000であった[2]

批評[編集]

受賞歴[編集]

公開から1年後の1941年、アカデミー賞3部門にノミネートされた[5]。ロジャー・イーデンスとジョージ・ストールはアカデミー作曲賞、楽曲「Our Love Affair」でアカデミー歌曲賞にノミネートされ、MGMのサウンド・ディレクターであるダグラス・シアラーアカデミー録音賞を受賞した。

2006年、アメリカン・フィルム・インスティチュートより、ミュージカル映画ベストにノミネートされた[6]

ホームメディア[編集]

1991年1月30日、MGMからVHSがリリースされ、2007年9月25日、ワーナー・ホーム・ビデオから『The Mickey Rooney & Judy Garland Collection』の一環として、2018年10月2日、ワーナー・アーカイブ・コレクションから本作のみのDVDがリリースされ、2020年6月23日、ブルーレイがリリースされた[7]

ポピュラーカルチャー[編集]

『ストライク・アップ・ザ・バンド』は以下の作品に登場する:

脚注[編集]

出典

  1. ^ a b ストライク・アップ・ザ・バンド - American Film Institute Catalog(英語)
  2. ^ a b c The Eddie Mannix Ledger, Los Angeles: Margaret Herrick Library, Center for Motion Picture Study .
  3. ^ Green, Stanley (1999) Hollywood Musicals Year by Year (2nd ed.), pub. Hal Leonard Corporation ISBN 0-634-00765-3 page 96
  4. ^ The Mickey Rooney & Judy Garland Collection”. Amazon (2007年9月25日). 2007年9月25日閲覧。
  5. ^ The 13th Academy Awards (1941) Nominees and Winners”. oscars.org. 2011年8月12日閲覧。
  6. ^ AFI's Greatest Movie Musicals Nominees”. 2016年8月13日閲覧。
  7. ^ IMDb.com

参考文献

外部リンク[編集]