洋上のロマンス

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洋上のロマンス
Romance on the High Seas
監督 マイケル・カーティス
製作 アレックス・ゴットリーブ
出演者 ジャック・カーソン
ジャニス・ペイジ
ドン・デフォア
ドリス・デイ
音楽 ジューリー・スタイン作曲
サミー・カーン作詞
レイ・ハインドフ編曲、指揮
撮影 エルウッド・ブリデル, 全米撮影監督協会
編集 ルディ・ファー
製作会社 マイケル・カーティス・プロダクションズ
配給 ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
公開
  • 1948年6月26日 (1948-06-26)
NYC[1]
  • 1948年7月3日 (1948-07-03)
USA[1]
上映時間 99分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $2,000,000[2] or $2,532,000[3]
興行収入 $2,100,000 (US rentals)[4] or $3,225,000[3]
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洋上のロマンス』 (ようじょうのロマンス、Romance on the High Seas[5]) は、1948年アメリカ合衆国ミュージカルロマンティック・コメディ映画

マイケル・カーティスが監督し、ジャック・カーソン、ジャニス・ペイジ、ドン・デフォア、ドリス・デイが主演した。デイにとって本作が映画デビュー作となった[1]アカデミー賞においてジューリー・スタイン作曲、サミー・カーン作詞の楽曲『It's Magic』がアカデミー歌曲賞に、レイ・ハインドフがアカデミー作曲賞にノミネートされた。

ストーリー[編集]

ドリス・デイ演じるジョージア・ギャレットが「I'm in Love」を歌う

エルヴィラ・ケント(ジャニス・ペイジ)と夫のマイケル(ドン・デフォア)は互いの浮気を疑う。結婚記念日にエルヴィラはリオデジャネイロ行きのクルーズを予約するが、マイケルは急な仕事で行けないかもしれないと語る。エルヴィラは1人で出掛ける振りをして、旅行会社で出会った歌手のジョージア・ギャレット(ドリス・デイ)を自分の名で船に乗せる。こっそりついて行ったエルヴィラは、マイケルが実際は乗船することを期待する。しかしマイケルは、エルヴィラが1人で出掛けたことを疑い、私立探偵ピーター・ヴァージル(ジャック・カーソン)を雇い、自分のことを監視していないか調べてもらう。

ピーターは業務の一環で乗船し、ジョージアと知り合う。ジョージアはエルヴィラの指示通りにピーターを含む周りの人々全てにエルヴィラを名乗る。ジョージアとピーターは互いに惹かれ合って次第に恋に落ち、問題が生じる。

中継地の1つでジョージアの友人オスカー・フェイラー(オスカー・レヴァント)が乗船する。オスカーはジョージアに片思いしている。ピーターは2人の様子を見て、オスカーがエルヴィラの不倫相手と思い込む。

リオのホテルにて全員が勢ぞろいし混乱する。真実が明らかになり、全てが丸く収まる。

キャスト[編集]

  • ピーター・ヴァージル:ジャック・カーソン
  • エルヴィラ・ケント:ジャニス・ペイジ
  • マイケル・ケント:ドン・デフォア
  • ジョージア・ギャレット:ドリス・デイ
  • オスカー・フェイラー:オスカー・レヴァント
  • アンクル・ラズロ:S・Z・サコール
  • ピニオ:フォーチュニオ・ボナノヴァ
  • 船上の医師:エリック・ブロア
  • リオのホテル・クラーク:フランクリン・パンボーン
  • ミス・メドウィック:レスリー・ブルックス
  • 旅行会社社員:ウィリアム・ベイクウェル
  • 酔っ払い:ジョン・バークス
  • 特別出演
    サンバ・キングス
    エイヴォン・ロング
    ペイジ・カヴァナー・トリオ
    サー・ランスロット
クレジット無し (出演順)
  • 旅行会社社員:ジョン・アルヴィン
  • カメラマン:ウィートン・チャンバーズ
  • 車販売員:ダグラス・ケネディ
  • 船のボーイ長:トリス・コフィン
  • 電話オペレーター:サンドラ・グールド
  • ラジオ・オペレーター:グラディ・サットン
  • スチュワーデス:バーバラ・ベイツ

楽曲[編集]

  • Put 'em in a Box, Tie 'em with a Ribbon, and Throw 'em in the Deep Blue Sea – ドリス・デイ、ペイジ・カヴァナー・トリオ
  • It's Magic – ドリス・デイ
  • It's You or No One – ドリス・デイ
  • I'm in Love – ドリス・デイ
  • The Tourist Trade – エイヴォン・ロング
  • Run, Run, Run – ジャック・カーソン
  • She's a Latin from Manhattan – ドリス・デイ
  • Romance on the High Seas – サンバ・キングス
  • Brazilian Rhapsody (aka Cuban Rhapsody) – オスカー・レヴァント

制作[編集]

当初ベティ・ハットンが主演する予定であったが、妊娠のため不可能となった。すでに活躍していたジュディ・ガーランドジェーン・パウエルが候補に挙がった。監督のマイケル・カーティスはバンドのヴォーカリストで女優になる気のないドリス・デイにオーディションを受けるよう説得した。デイは再婚相手のミュージシャンのジョージ・ウェイドラーと離婚したばかりで情緒不安定になっており、オーディションで「エンブレイサブル・ユー」を歌いながら涙を流した。カーティスは歌唱力と新鮮な美しさでデイを採用し、主役のジョージア・ギャレット役に配役した。配役の変更やジャニス・ペイジの配役の遅れがあったにもかかわらず、興行収入において成功した。

ハットンの降板に際し、カーティスはジョージア役に、美しさ、歌い踊れること、全てを兼ね備えて輝きを放っていることを求めた。何十人もの女性たちがカーティスの要求にかなわず、最後にドリス・デイがカーティスに紹介された。カーティスはデイこそがその女性であるとして即決した[6]。デイはマイケル・カーティス・プロダクションズと週500ドルの独占契約を結んだ[7]

ベテラン脚本家のI・A・L・ダイアモンドは1948年当時まだ駆け出しで、本作では台詞の追加執筆を務めた。これまでユニバーサル・インターナショナルで低予算ミステリーを執筆し、ワーナー・ブラザースに移籍した。1946年、コメディ映画『王子と運ちゃん英語版』を執筆し、本作主演のジャック・カーソンが出演していた。ダイアモンドはキャリアを確立するまで約10年を要し、ついにビリー・ワイルダー監督と出会った。以降長年に亘り共に作品を制作するようになった[8]

興行収入[編集]

ワーナー・ブラザースの記録によると、アメリカ国内で$2,200,000 、国外で$1,025,000の興行収入があった[3]

評価[編集]

ポピュラー・カルチャー[編集]

1951年、フリッツ・フレラング監督のバッグス・バニーの映画『月曜日にはウサギを英語版』に登場した。

受賞歴[編集]

アメリカン・フィルム・インスティチュートにより、以下のリストにノミネートされた:

出典[編集]

  1. ^ a b c Romance on the High Seas”. Turner Classic Movies. Atlanta: Turner Broadcasting System (Time Warner). 2021年6月5日閲覧。
  2. ^ Variety 18 February 1948 p7
  3. ^ a b c Warner Bros financial information in The William Shaefer Ledger. See Appendix 1, Historical Journal of Film, Radio and Television, (1995) 15:sup1, 1-31 p 28 DOI: 10.1080/01439689508604551
  4. ^ "Top Grossers of 1948", Variety 5 January 1949 p 46
  5. ^ Hinton, Nigel (2008). Time Bomb (Reprint ed.). Berkeley, California: Ten Speed Press. ISBN 978-1582462370. https://books.google.com/books?id=Xofuzwjluk8C 
  6. ^ McDonald, Tamar Jeffers. Doris Day Confidential: Hollywood, Sex, and Stardom. London, UK: I.B. Taurus & Co., Ltd., 2013. p. 99.
  7. ^ David Kaufman, Doris Day - The Untold Story of the Girl Next Door, Macmillan 2008, p. 52
  8. ^ Silov, Ed. Sunset Boulevard: The Life and Times of Billy Wilder. Jackson, MS: University Press of Mississippi, 2017. p. 388.
  9. ^ AFI's 100 Years...100 Passions Nominees”. 2016年8月19日閲覧。
  10. ^ AFI's 100 Years...100 Songs Nominees”. 2016年8月19日閲覧。
  11. ^ AFI's Greatest Movie Musicals Nominees”. 2016年8月19日閲覧。

外部リンク[編集]