オオカマキリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
オオカマキリ
Tenodera aridifolia
Tenodera aridifolia(2008年10月)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: カマキリ目 Mantodea
: カマキリ科 Mantidae
亜科 : カマキリ亜科 Mantinae
: Polyspilotini
: Tenodera
: オオカマキリ T. aridifolia
学名
Tenodera aridifolia
Stoll1813[1]

オオカマキリ(大蟷螂・大螳螂、学名Tenodera aridifolia)は、カマキリ目カマキリ科昆虫チョウセンカマキリ(カマキリ)によく似ているが、本種の方がやや大型である。

分布[編集]

日本のほぼ全域(北海道本州四国九州対馬)に生息する他、台湾中国東南アジアにも分布する[1]

形態・生態[編集]

体長オス68 - 92mm、メス77 - 105mm。前基節基部間は淡褐色で後翅は紫褐色となる個体が多い。全体的に緑系の体色個体が多いが、茶系統の体色を持つ個体も少数存在する。南方へ行くほど大型化する傾向が強く、北海道産は小型で100mmに達する事は少ないが、九州産の個体は大きく、オスでもメスに負けない体長と大きさになることがある。

九州では3月、近畿や関東圏では4月ごろに卵鞘から孵化し活動を始める。この際は200匹程の幼虫が前幼虫と言われる形で誕生し、生まれてすぐに脱皮を行い、一般的なカマキリの形状へと変化する。幼虫時より肉食であり、共食いをすることも多い。幼虫は数度の脱皮を行いながら成長し、成長具合に応じてバッタ等の生きた昆虫を捕食する。自然下において無事に成虫にまで成長できる個体は2、3匹とも言われる。

本種は日当たりの良い環境を好むため、主な活動は昼間に行われる。生息地域は主に草地であり、河原の高い草にも多く生息している。捕食対象である蝶や蜂を狙って花の陰に身を潜めていることも多い。また街灯などの灯火にも飛来する。夜間に活動する際は、目が黒く変色する。これはより光を多く取り込む為であり、猫の瞳孔の変化に近い。成虫の活動期間は8月から10月前後であり、長命な個体は12月まで生息するケースもある。

交尾を済ませた雌は、植物に200個ほどのが入った状の卵鞘を産みつける。卵胞は数時間で茶色く硬くなる。なお交尾後の雌が雄を捕食するケースが一般的によく知られているが、これは自然下において必ずしも発生する事態ではない。この場面がよく観察できるのは主にケース内で本種を飼育した場合であり、これは雄の逃げ場が無いことが原因で発生する。自然下でのこうした場面はむしろ交尾中に雌が雄を捕食するケースで発生するパターンが多い。産卵を済ませた雌は腹部が大幅に小さくなり、その後数日で死亡する。

捕食と被食[編集]

本種はカマキリの中でも大型種であり、捕食対象はアゲハチョウセミキリギリストノサマバッタトンボなどの大型昆虫から、ときにアマガエルトカゲまで捕食し、スズメ等の小型鳥類、ネズミ等の小型哺乳類をも仕留めた記録がある。また草地だけでなく森林にも出没し、樹液に集まる昆虫を狙って樹上に上ることがある。

反面、本種の天敵としてカラスやモズなどの野鳥、サル、クマ、キツネ、タヌキ、イタチといった各種哺乳類、ヘビ、ヒキガエル等が挙げられる。本種を捕食する昆虫にオオスズメバチオニヤンマギンヤンマ等が挙げられるが、これらの昆虫とは捕食、被食双方の記録が存在する。樹液に集まる際に、ムカデや大型キリギリスであるヤブキリに捕食された記録もある。

人間との関わり[編集]

鎌を構えた姿が人間が手を合わせている姿と似ているため、別名「オガミムシ」とも言われる[2]。他にヨゲンシャ(預言者)、イボムシリ、イボジリ、イボムシと呼ばれる場合もある。

本種は田畑を食い荒らすイナゴやバッタ、カメムシやコオロギ、キャベツ等につくアオムシらを捕食し、幼虫時にもアブラムシやアリを捕食するため人間にとって益虫とみなされるケースが多い。反面、養蜂家にとってはミツバチを捕食されるケースがあるので害虫となる側面も一部持つ。本種の縄張りは広くなく、1か所に定着することも多いため、ガーデニングの害虫駆除の一環として本種を放し飼いにする方法がある。

なお、男性を食い物にする女性を例えて「カマキリ夫人」と呼ぶ場合がある。これは1975年に公開された日活ロマンポルノ映画『五月みどりのかまきり夫人の告白』がヒットし話題になった経緯によるもの。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2011年11月16日閲覧。
  2. ^ ただし、これは本種を限定する話ではなく、カマキリ全般に言える。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]