おてもやん

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おてもやん像(熊本交通センター前)

おてもやん』は、日本民謡、および、歌詞に登場する女性の名前(「やん」は敬称の「さん」、「ちゃん」の意であるため、名前としては「おても」、「ても」となる)。


熊本民謡の代表格とも言われる。熊本弁が強く出た陽気な歌詞が特徴。

概要[編集]

元々は、熊本甚句花柳界お座敷唄)であり、由来にはいくつかの説がある。

  • 戯れ歌。
  • メロディーについては愛知県の「名古屋甚句」や山口県の「男なら」と同系統のものである。

実在のモデル(富永チモであるとされる,安政2年 - 昭和10年1月11日、現在の熊本駅近くに在住)を元に、三味線と踊りの師匠であった永田イネ(慶応元年12月4日 - 昭和13年)が作詞、作曲した[1]。チモに横恋慕した人物は実際顔に天然痘の後遺症があったという。なお、この歌は富永チモが亡くなった1935年に発表されており、この説の信憑性を高める事実となっている。

  • おてもやんとその結婚相手を肥後勤皇党孝明天皇にたとえた歌。
  • 西南戦争時に薩軍と政府軍のどちらに味方をするか迷う熊本士族を茶化した農民の歌。
  • おてもは「お手芋」でありつくね芋の意。野菜尽くしの戯れ歌[2]
  • 明治40年の『五足の靴』(8月15日画津湖のエピソード、8月29日掲載)にて肥後の古い土謡として紹介されている[3]。なお、『五足の靴』で紹介されている歌詞は、現在知られているものとは若干異なる。

1935年ごろ、赤坂小梅が歌ったレコード化によって、日本全国に知られるようになった[4]。赤坂は、1953年第4回NHK紅白歌合戦1955年第6回NHK紅白歌合戦に出場し、「おてもやん」を歌っている。

熊本の祭りで、「おてもやん」「おてもやんサンバ」はよく踊られる。

民謡おてもやん[編集]

  1. おてもやん あんたこの頃嫁入りしたではないかいな
    嫁入りしたこつぁしたばってん ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん まあだ杯はせんだった
    • ぐじゃっぺ=菊目石状態。痘瘡の跡。
    村役 鳶役 肝煎りどん あん人たちのおらすけんで あとはどうなときゃあなろたい
    川端町っつあん きゃあめぐろ 春日ぼうぶらどんたちゃ 尻ひっぴゃあて 花盛り 花盛り
    ピーチクパーチク雲雀の子 げんぱく茄子のいがいがどん
  2. 一つ山越え も一つ山超え あの山越えて
    私やあんたに惚れとるばい 惚れとるばってん いわれんたい
    追々彼岸も近まれば 若者衆も寄らすけん
    くまんどんのよじょもん詣りにゆるゆる話をきゃあしゅうたい
    男振りには惚れんばな 煙草入れの銀金具が それもそもそも因縁たい。
    アカチャカベッチャカ チャカチャカチャー
  • 三番があるが、後から別の人に作られたと考えられる。

おてもやん像[編集]

熊本交通センター県民百貨店前には、1985年に熊本民踊会が創立25周年を記念して市に寄贈した「おてもやん像」がある。

祇園橋横のポケットパーク(熊本市細工町5丁目)には、2007年に「永田いねとおてもやん像を建てる募金」で作られた「永田イネとおてもやん像」がある。

女性としてのおてもやん[編集]

頬紅が濃い状態を指して、「おてもやん化粧」、「おてもやんメイク」、「おてもやんみたい」と称することがある[5]

おてもやんを歌唱した歌手[編集]

  • 赤坂小梅 - オリジナル「おてもやん」を1935年に発売。
  • 笠置シヅ子 - 「新おてもやん」として、おてもやんが東京に行くが、いろいろあって熊本に帰ってくるという歌詞を1番、2番にして歌っている。3番、4番の歌詞は上記の伝統的な内容である。
  • ザ・ピーナッツ - オリジナルの「おてもやん」の他にも「ばってん、ばってん、ばってんてん」とのタイトルでアレンジバージョンを歌唱していた。
  • 植木等人見明 - 1966年公開された東宝映画『日本一のゴリガン男』の劇中で歌唱。DVD化、および音源もCD化されている。
  • 沢瀉(金沢明子寺田創一)、パラダイス山元 - 2006年発売のアルバム「CANTATA NO.147」、2011年発売のアルバム「Sanosa」に収録されている。
  • ポチョムキン水前寺清子MICKY RICH - 「おてもやんサンバ feat. 水前寺清子, MICKY RICH & ポチョムキン」を2009年に発表。

関連項目[編集]

  • ロボジー - 2012年公開の映画。劇中でロボット“ニュー潮風”が「おてもやん」を踊るシーンがある。
  • 太鼓の達人 - 上記、沢瀉の曲が2012年7月25日稼働の「太鼓の達人(C/N:KATSU-DON)」、2012年11月29日発売の「太鼓の達人Wii超ごうか版」に「おてもやん Omodaka feat.パラダイス山元」として収録されている。

脚注[編集]

  1. ^ 熊本人物紀行 おてもやん(2005) 小山良 熊本出版文化会館
  2. ^ 『王朝びとの恋』西村亨著、2003年、大修館書店、ISBN 978-4469221619
  3. ^ 熊本の歌資料(おてもやん)
  4. ^ ただし、赤坂の歌い方は、地元のものとは節回しや方言の使い方をアレンジして判りやすくしたもので、熊本からは批判の声も上がっている。
  5. ^ 岡田さちこ (2002年1月30日). “All Aboutメイクアップレッスン【4】 脱おてもやん!チークの基本”. All About. 2013年9月7日閲覧。

外部リンク[編集]