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ササは[[単子葉植物]]イネ科タケ亜科(タケ科とすることもある)に属する植物である<ref name="iwatsuki247" />。[[タケ]](竹)やササは多くの[[草本類]]と同じく茎にあたる稈には[[年輪]]がみられないが、一方で[[木|木本類]]のように堅くなる性質がある<ref name="iwatsuki247" />。 |
ササは[[単子葉植物]]イネ科タケ亜科(タケ科とすることもある)に属する植物である<ref name="iwatsuki247" />。[[タケ]](竹)やササは多くの[[草本類]]と同じく茎にあたる稈には[[年輪]]がみられないが、一方で[[木|木本類]]のように堅くなる性質がある<ref name="iwatsuki247" />。 |
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[[植物学]]上はイネ科タケ亜科のうち、タケは稈が成長するとともにそれを包む葉鞘が早く脱落してしまうものをいい、ササは枯れるまで稈に葉鞘が残るものをいう<ref name="iwatsuki247" /><ref name="tokyo-park">{{Cite web |url=http://www.tokyo-park.or.jp/announcement/045/20170106.pdf|title=植物多様性センターの「ササとタケ」|publisher=[[東京都公園協会]] |accessdate=2019-10-01}}</ref>。[[マダケ]]などタケの場合は[[芽]]([[タケノコ]])の段階にはあった葉鞘が成長すると剥がれ落ちるが、ササの場合は成長しても葉鞘はそのままである<ref name="iwatsuki247" />。 |
[[植物学]]上はイネ科タケ亜科のうち、タケは稈が成長するとともにそれを包む葉鞘が早く脱落してしまうものをいい、ササは枯れるまで稈に葉鞘が残るものをいう<ref name="iwatsuki247" /><ref name="tokyo-park">{{Cite web |url=http://www.tokyo-park.or.jp/announcement/045/20170106.pdf|title=植物多様性センターの「ササとタケ」|publisher=[[東京都公園協会]] |accessdate=2019-10-01}}{{リンク切れ|date=2021年11月}}</ref>。[[マダケ]]などタケの場合は[[芽]]([[タケノコ]])の段階にはあった葉鞘が成長すると剥がれ落ちるが、ササの場合は成長しても葉鞘はそのままである<ref name="iwatsuki247" />。 |
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タケとササの分類は必ずしも[[標準和名]]と一致しない。分類上、ヤダケは稈に皮がついたままなのでササ、オカメザサは皮が脱落するのでタケに分類される<ref name="tokyo-park" />。 |
タケとササの分類は必ずしも[[標準和名]]と一致しない。分類上、ヤダケは稈に皮がついたままなのでササ、オカメザサは皮が脱落するのでタケに分類される<ref name="tokyo-park" />。 |
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笹のよく生える条件として、日本ではいくつかのパターンがある。一つは[[パイオニア植物]]として振る舞う場合である。よく[[河川]]周辺や道端などにネザサ類が出現する。これは、[[草刈り]]や川の[[氾濫]]などによる不定期な攪乱(かくらん)に強いためである。 |
笹のよく生える条件として、日本ではいくつかのパターンがある。一つは[[パイオニア植物]]として振る舞う場合である。よく[[河川]]周辺や道端などにネザサ類が出現する。これは、[[草刈り]]や川の[[氾濫]]などによる不定期な攪乱(かくらん)に強いためである。 |
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また、寒冷地では[[森林]]の伐採や[[山火事]]跡地でササが優占植生となり、木本類の更新を阻害して無立木地となる例がよくある。ササの優占を打破するために[[ブルドーザー]]などで人為的な掻き起こしを行い、あえて鉱質土壌を露出させて樹木の実生の定着に適した環境を造成することがある<ref>{{Cite |
また、寒冷地では[[森林]]の伐採や[[山火事]]跡地でササが優占植生となり、木本類の更新を阻害して無立木地となる例がよくある。ササの優占を打破するために[[ブルドーザー]]などで人為的な掻き起こしを行い、あえて鉱質土壌を露出させて樹木の実生の定着に適した環境を造成することがある<ref>{{Cite journal|和書|author=原田茜, 吉田俊也, Resco de Dios Victor, 野口麻穂子, 河原輝彦 |title=北海道のササ掻き起こし地における施工後6〜8年の高木性樹種の動態 |journal=日本森林学会誌 |ISSN=13498509 |publisher=日本森林学会 |year=2008 |month=dec |volume=90 |issue=6 |pages=397-403 |naid=110007024339 |doi=10.4005/jjfs.90.397 |url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010771464 |accessdate=2021-11-28}}</ref>。 |
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もう一つは[[ブナ林]]の下生えで、日本のブナ林では林床でササ類が優占する例が多い。その種は地域によって異なり、[[太平洋]]側では[[スズタケ]]、[[日本海]]側では[[チシマザサ]]の場合が多い。 |
もう一つは[[ブナ林]]の下生えで、日本のブナ林では林床でササ類が優占する例が多い。その種は地域によって異なり、[[太平洋]]側では[[スズタケ]]、[[日本海]]側では[[チシマザサ]]の場合が多い。 |
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ササは放置すると藪になってしまうが、[[生物多様性]]の観点からは小動物の隠れ家や[[昆虫]]の食草となっている<ref name="tokyo-park" />。 |
ササは放置すると藪になってしまうが、[[生物多様性]]の観点からは小動物の隠れ家や[[昆虫]]の食草となっている<ref name="tokyo-park" />。 |
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一方でササの繁茂は地中の水分を吸い上げて土壌を乾燥化させたり、日光を遮って他の植物の[[光合成]]を妨げたりする面もある。特に[[地球温暖化]]に伴う[[雪解け]]の早まりで土地が乾燥化して、湿潤な環境に適した[[高山植物]]の群落を脅かす状態が[[北海道]]の[[大雪山国立公園]]や[[礼文島]]、[[本州]]の[[平ヶ岳 (群馬県・新潟県)|平ヶ岳]]、[[立山]]、[[白山]]などで起きており、ササの刈り取りによる高山植物保護が試みられている地域もある<ref>「[https://mainichi.jp/articles/20200709/ddl/k16/040/183000c 大雪山国立公園でササ繁殖 高山植物を脅かす/温暖化影響 環境省、対応に苦慮]」『[[毎日新聞]]』朝刊2020年7月11日(地方版)2020年9月1日閲覧</ref>。 |
一方でササの繁茂は地中の水分を吸い上げて土壌を乾燥化させたり、日光を遮って他の植物の[[光合成]]を妨げたりする面もある。特に[[地球温暖化]]に伴う[[雪解け]]の早まりで土地が乾燥化して、湿潤な環境に適した[[高山植物]]の群落を脅かす状態が[[北海道]]の[[大雪山国立公園]]や[[礼文島]]、[[本州]]の[[平ヶ岳 (群馬県・新潟県)|平ヶ岳]]、[[立山]]、[[白山]]などで起きており、ササの刈り取りによる高山植物保護が試みられている地域もある<ref>「[https://mainichi.jp/articles/20200709/ddl/k16/040/183000c 大雪山国立公園でササ繁殖 高山植物を脅かす/温暖化影響 環境省、対応に苦慮]」『[[毎日新聞]]』朝刊2020年7月11日(地方版)2020年9月1日閲覧{{リンク切れ|date=2021年11月}} <br/>[https://www.chukei-news.co.jp/news/2020/07/18/OK0002007180d01_01/ ササ繁殖、高山植物脅かす 温暖化、各地で生息域拡大 2020年7月18日の記事] 中部経済新聞{{要購読}}</ref>。 |
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== 分類 == |
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* [[戦国武将]]の[[可児吉長]]は[[指物]]に笹を用い、討ち取った敵の首にその笹の葉を含ませて手柄の証としたため、「笹の才蔵」の異名をとった。 |
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* 笹の実は古来から食用にも供されてきた。 |
* 笹の実は古来から食用にも供されてきた。 |
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* 笹の葉を浴槽に入れて入浴すると「ウルシカブレ」が治るという伝統風習が、[[長野県]][[阿智村]]や[[喬木村]]にある<ref>信濃生薬研究会林兼道編集『信州の民間薬』(医療タイムス社、昭和46年12月10日発行)全212頁中83頁</ref>。 |
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===ササの実をめぐる出来事=== |
===ササの実をめぐる出来事=== |
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*[[太平洋戦争]]下の[[1943年]]7月、[[岩手県]]ではオオバザサ(チマキザサの一種)が開花、結実。[[盛岡市]]内の中学生が報国団を結成し、5日間で |
*[[太平洋戦争]]下の[[1943年]]7月、[[岩手県]]ではオオバザサ(チマキザサの一種)が開花、結実。[[盛岡市]]内の中学生が報国団を結成し、5日間で36m<sup>3</sup>の実を採取した。県の食糧公団は、採取した実を用いた[[パン]]を[[配給 (物資)|配給]]した、実が[[麦角菌]]に感染していたため多くの妊婦が[[流産]]した<ref>[http://www.morioka-times.com/topics/bungei/senjika/senjikamokuji.html 戦時下の盛岡中学:昭和18年流産事件の真相]{{リンク切れ|date=2021年11月}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=香田徹也, 日本林業調査会 |title=日本近代林政年表 : 1867-2009 |publisher=日本林業調査会 |year=2011 |edition=増補版 |NCID=BB06053168 |ISBN=9784889652086 |url=https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011241130-00 |page=472 |id={{全国書誌番号|22018608}}}}</ref>。 |
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== 文化 == |
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* 欧米ではササ (sasa) と呼ばれるように、日本的な植物と認知されている。 |
* 欧米ではササ (sasa) と呼ばれるように、日本的な植物と認知されている。 |
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* [[家紋]]の代表的な図案の一つに[[竹紋#笹紋|笹紋]]がある。 |
* [[家紋]]の代表的な図案の一つに[[竹紋#笹紋|笹紋]]がある。 |
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== 出典 == |
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2021年11月30日 (火) 14:25時点における版
ササ(笹、篠、筱、筿)は、イネ科タケ亜科に属する植物のうち、その茎にあたる稈(かん)を包んでいる葉鞘が枯れる時まで残るものの総称[1]。
定義
ササは単子葉植物イネ科タケ亜科(タケ科とすることもある)に属する植物である[1]。タケ(竹)やササは多くの草本類と同じく茎にあたる稈には年輪がみられないが、一方で木本類のように堅くなる性質がある[1]。
植物学上はイネ科タケ亜科のうち、タケは稈が成長するとともにそれを包む葉鞘が早く脱落してしまうものをいい、ササは枯れるまで稈に葉鞘が残るものをいう[1][2]。マダケなどタケの場合は芽(タケノコ)の段階にはあった葉鞘が成長すると剥がれ落ちるが、ササの場合は成長しても葉鞘はそのままである[1]。
タケとササの分類は必ずしも標準和名と一致しない。分類上、ヤダケは稈に皮がついたままなのでササ、オカメザサは皮が脱落するのでタケに分類される[2]。
生育環境
地下に匍匐茎を伸ばし、密集した群落を作る。一面に生えた場合、これを笹原という。
笹のよく生える条件として、日本ではいくつかのパターンがある。一つはパイオニア植物として振る舞う場合である。よく河川周辺や道端などにネザサ類が出現する。これは、草刈りや川の氾濫などによる不定期な攪乱(かくらん)に強いためである。 また、寒冷地では森林の伐採や山火事跡地でササが優占植生となり、木本類の更新を阻害して無立木地となる例がよくある。ササの優占を打破するためにブルドーザーなどで人為的な掻き起こしを行い、あえて鉱質土壌を露出させて樹木の実生の定着に適した環境を造成することがある[3]。
もう一つはブナ林の下生えで、日本のブナ林では林床でササ類が優占する例が多い。その種は地域によって異なり、太平洋側ではスズタケ、日本海側ではチシマザサの場合が多い。
ササは放置すると藪になってしまうが、生物多様性の観点からは小動物の隠れ家や昆虫の食草となっている[2]。
一方でササの繁茂は地中の水分を吸い上げて土壌を乾燥化させたり、日光を遮って他の植物の光合成を妨げたりする面もある。特に地球温暖化に伴う雪解けの早まりで土地が乾燥化して、湿潤な環境に適した高山植物の群落を脅かす状態が北海道の大雪山国立公園や礼文島、本州の平ヶ岳、立山、白山などで起きており、ササの刈り取りによる高山植物保護が試みられている地域もある[4]。
分類
非常に多くの種がある。日本のタケ類のほとんどが中国渡来であるのに比べ、ササ類は土着の種が多く、しかも地方変異が多い。
- メダケ属 Pleioblastus:カンザンチク、リュウキュウチク、タイミンチク、ケネザサ、カムロザサ、ゴキタケ、アカネザサ、ギボウシノ、ハコネダケ、アズマネザサ、メダケ
- アズマザサ属 Arundinaria:アズマザサ、スエコザサ、トウゲザサ、サドザサ、タンゴシノチク、ヤブザサ、アリマシノ
- ササ属 Sasa:ミヤコザサ、ウンゼンザサ、オオクマザサ、ニッコウザサ、アポイザサ、クマザサ、オオササ、オオバザサ、ミヤマザサ、チマキザサ、クマイザサ、チシマザサ、オクヤマザサ、イブキザサ、トクガワザサ、キンキナンブスズ、ミカワザサ、タキザワザサ
- スズタケ属 Sasamorpha:スズタケ、ケスズ
- ヤダケ属 Pseudosasa:ヤダケ、ヤクシマダケ
- インヨウチク属 ×Hibanobambusa:インヨウチク
ほかに、葉の幅が広いイネ科植物には、ササの名を持つ例が多い。代表的なものを以下に挙げるが、最もササに似ているのはササクサである。
それ以外にも、細長くてある程度幅のある葉をササになぞらえる例は多々ある。
利用
- 笹の葉には防腐作用があり、料理や食材、特に保存食を包む為に使用される(鱒寿司、ちまきなど)。
- 日本では、七夕において笹飾りとして使われる。
- 戦国武将の可児吉長は指物に笹を用い、討ち取った敵の首にその笹の葉を含ませて手柄の証としたため、「笹の才蔵」の異名をとった。
- 笹の実は古来から食用にも供されてきた。
ササの実をめぐる出来事
- 太平洋戦争下の1943年7月、岩手県ではオオバザサ(チマキザサの一種)が開花、結実。盛岡市内の中学生が報国団を結成し、5日間で36m3の実を採取した。県の食糧公団は、採取した実を用いたパンを配給した、実が麦角菌に感染していたため多くの妊婦が流産した[5][6]。
文化
出典
- ^ a b c d e 岩槻秀明『散歩の樹木図鑑』新星出版社、2013年、247頁。
- ^ a b c “植物多様性センターの「ササとタケ」”. 東京都公園協会. 2019年10月1日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 原田茜, 吉田俊也, Resco de Dios Victor, 野口麻穂子, 河原輝彦「北海道のササ掻き起こし地における施工後6〜8年の高木性樹種の動態」『日本森林学会誌』第90巻第6号、日本森林学会、2008年12月、397-403頁、doi:10.4005/jjfs.90.397、ISSN 13498509、NAID 110007024339、2021年11月28日閲覧。
- ^ 「大雪山国立公園でササ繁殖 高山植物を脅かす/温暖化影響 環境省、対応に苦慮」『毎日新聞』朝刊2020年7月11日(地方版)2020年9月1日閲覧[リンク切れ]
ササ繁殖、高山植物脅かす 温暖化、各地で生息域拡大 2020年7月18日の記事 中部経済新聞(要購読契約) - ^ 戦時下の盛岡中学:昭和18年流産事件の真相[リンク切れ]
- ^ 香田徹也, 日本林業調査会『日本近代林政年表 : 1867-2009』(増補版)日本林業調査会、2011年、472頁。ISBN 9784889652086。 NCID BB06053168。全国書誌番号:22018608 。