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== 概要 ==
== 概要 ==
現在の[[モノのインターネット]]や[[ユビキタスコンピューティング]]の先駆けに相当する概念で、[[センサネットワーク]]を形成するために[[センサー]]と[[発電素子]]を備えた微細な大量のマイクロマシンを使用する概念は1992年に[[ランド研究所]]で考案され、1990年代半ばに[[国防高等研究計画局]]のISAT計画の一環として研究が進められ、1996年にアメリカ真空学会と1999年に[[:en:International Conference on Mobile Computing and Networking|MobiCom]]で発表された<ref name="Smartdust">{{citation|url=http://wired.jp/2001/05/30/光と温度を感知する超小型センサー『スマートダ/ |title=光と温度を感知する超小型センサー『スマートダスト』 }}</ref><ref name="Smartdust2"/>。
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'''モート'''(粒)と呼ばれる個々の[[マイクロマシン|マイクロスケール]]のセンサーには無線通信機と複数のセンサーが備えられており、多数のモートが互いに接近すると自動的に連携して機能的なネットワークを構成する<ref name="Smartdust"/>。
'''モート'''(粒)と呼ばれる個々の[[マイクロマシン|マイクロスケール]]のセンサーには無線通信機と複数のセンサーが備えられており、多数のモートが互いに接近すると自動的に連携して機能的なネットワークを構成する<ref name="Smartdust"/>。


発表当初はセンサネットワークの究極の姿であると考えられていたが、考案から20年以上が経過してもまだ実現されていない<ref>戸辺義人. "センサネットワークの嘘, 本当, これから." 情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理 (DPS) 2008.117 (2008): 41.</ref><ref name="Smartdust2">猿渡俊介. "スマートダストから 10 年: 無線センサネットワーク技術の現状と課題 (RFID とセンサネット, システムオンシリコン, RFID 技術及び一般)." 電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム 108.334 (2008): 57-62.</ref>。
発表当初はセンサネットワークの究極の姿であると考えられていたが、考案から20年以上が経過してもまだ実現されていない<ref>戸辺義人. "[http://id.nii.ac.jp/1001/00033960/ センサネットワークの嘘, 本当, これから]." 情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理 (DPS) 2008.117 (2008): 41.</ref><ref name="Smartdust2">猿渡俊介. "スマートダストから 10 年: 無線センサネットワーク技術の現状と課題 (RFID とセンサネット, システムオンシリコン, RFID 技術及び一般)." 電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム 108.334 (2008): 57-62., {{naid|110007115022}}</ref>。


== 課題 ==
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* [[二乗三乗の法則]]により、小型化すれば[[充電池]]に蓄積できるエネルギー量はサイズの3乗に比例して減少する。
* [[二乗三乗の法則]]により、小型化すれば[[充電池]]に蓄積できるエネルギー量はサイズの3乗に比例して減少する。
* [[太陽電池]]のような発電素子は発電量が[[面積]]に[[比例]]するので、小型化すれば発電量はサイズの2乗に比例して減少する。
* [[太陽電池]]のような発電素子は発電量が[[面積]]に[[比例]]するので、小型化すれば発電量はサイズの2乗に比例して減少する。
* システムのメンテナンスコストが高額となる<ref>寺田崇秀、「[http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=100167 メンテナンスフリーセンサネットワークシステム用低電力無線データ通信及び電力伝送回路]」</ref>。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* 戸辺義人, 蔵田英之. "細粒度気象センサネットワーク構築の実際-群馬県館林市の例." 情報処理 51.6 (2010): 692-699.
* 戸辺義人, 蔵田英之. "[https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=69695&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1 細粒度気象センサネットワーク構築の実際-群馬県館林市の例]." 情報処理 51.6 (2010): 692-699.
* Brewer, Eric A. "When everything is searchable." Communications of the ACM 44.3 (2001): 53-54.
* Brewer, Eric A. "[https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=64634&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1&page_id=13&block_id=8 When everything is searchable]." Communications of the ACM 44.3 (2001): 53-54.
* 亀岡慎一、礒田修平、橋本篤 ほか、[https://doi.org/10.3173/air.26.11 【原著論文】圃場における生育環境情報取得のための無線センサネットワーク構築] 農業情報研究 2017年 26巻 1号 p.11-25, {{doi|10.3173/air.26.11}}
* 長健太, 大須賀昭彦, 本位田真一. "知的移動エージェントによるマルチパーパスワイヤレスセンサネットワークアプリケーション." 情報処理学会論文誌 47.12 (2006): 3165-3178.


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* 倉田成人、[https://doi.org/10.11499/sicejl.52.943 都市のスマートセンシング] 計測と制御 2013年 52巻 11号 p.943-945, {{doi|10.11499/sicejl.52.943}}
* {{YouTube|aw7LLgGvVGw|What is Smart Dust}}
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2018年11月6日 (火) 04:11時点における版

スマートダスト(賢い塵、英語: Smartdust)は、多数のマイクロマシン (MEMS) が連携して機能的なネットワークを構成する概念。

概要

現在のモノのインターネットユビキタスコンピューティングの先駆けに相当する概念で[1]センサネットワークを形成するためにセンサー発電素子を備えた微細な大量のマイクロマシンを使用する概念は1992年にランド研究所で考案され、1990年代半ばに国防高等研究計画局のISAT計画の一環として研究が進められ、1996年にアメリカ真空学会と1999年にMobiComで発表された[2][3]。ワイヤレスセンサーそのものをスマートダストと呼ぶ事もある[1]

モート(粒)と呼ばれる個々のマイクロスケールのセンサーには無線通信機と複数のセンサーが備えられており、多数のモートが互いに接近すると自動的に連携して機能的なネットワークを構成する[2]

発表当初はセンサネットワークの究極の姿であると考えられていたが、考案から20年以上が経過してもまだ実現されていない[4][3]

課題

  • センサーを小型化すれば感度が下がるので、感度を上げようとすれば増幅率を上げる必要があり、消費電力が増える。
  • 二乗三乗の法則により、小型化すれば充電池に蓄積できるエネルギー量はサイズの3乗に比例して減少する。
  • 太陽電池のような発電素子は発電量が面積比例するので、小型化すれば発電量はサイズの2乗に比例して減少する。
  • システムのメンテナンスコストが高額となる[5]

関連項目

脚注

  1. ^ a b 長健太、大須賀昭彦、本位田真一. "知的移動エージェントによるマルチパーパスワイヤレスセンサネットワークアプリケーション." 情報処理学会論文誌 47.12 (2006): 3165-3178.
  2. ^ a b 光と温度を感知する超小型センサー『スマートダスト』, http://wired.jp/2001/05/30/光と温度を感知する超小型センサー『スマートダ/ 
  3. ^ a b 猿渡俊介. "スマートダストから 10 年: 無線センサネットワーク技術の現状と課題 (RFID とセンサネット, システムオンシリコン, RFID 技術及び一般)." 電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム 108.334 (2008): 57-62., NAID 110007115022
  4. ^ 戸辺義人. "センサネットワークの嘘, 本当, これから." 情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理 (DPS) 2008.117 (2008): 41.
  5. ^ 寺田崇秀、「メンテナンスフリーセンサネットワークシステム用低電力無線データ通信及び電力伝送回路

参考文献

外部リンク