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Ruenessによる系統、エジプトジャッカルについて 他
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<!--[[Image:Schabrackenschakal cropped.jpg|thumb|240px|セグロジャッカル]]-->
<!--[[Image:Schabrackenschakal cropped.jpg|thumb|240px|セグロジャッカル]]-->
'''ジャッカル'''(胡狼、{{lang-en|Jackal}})は、[[哺乳類|哺乳綱]][[食肉目]][[イヌ科]][[イヌ属]]の、[[キンイロジャッカル]]に似た中小型種種の総称である。
'''ジャッカル'''・'''ジャコール'''(胡狼、{{lang-en|Jackal}})は、[[哺乳類|哺乳綱]][[食肉目]][[イヌ科]][[イヌ属]] {{snamei|Canis}} の、[[キンイロジャッカル]]に似た中小型種3<ref name="AWF">[http://www.awf.org/wildlife-conservation/jackal Jackal | African Wildlife Foundation]</ref>–4<ref>{{Yahoo!百科事典|ジャッカル|author=[[今泉吉典]]}}</ref>種の総称である。ただしこれらは、互いに最も近縁な関係になく、[[単系統]]ではない


==名称==
==名称==
語源は[[サンスクリット]]で[[キンイロジャッカル]]を意味するシュリガーラ ({{lang|sa|शृगाल}}、{{Unicode|''śṛgāla''}}) であり、漢訳[[仏典]]では「悉伽羅」と[[音訳]]された。[[ペルシャ語]]のシャガール ({{lang|fa|شغال}}、{{en|''shaghāl''}})、[[トルコ語]]のチャカル ({{lang|tr|çakal}}) を経由して<ref>[http://www.bartleby.com/61/23/J0002300.html American Heritage Dictionary - Jackal entry]</ref><ref>[http://www.etymonline.com/index.php?term=jackal Online Etymology Dictionary - Jackal entry]</ref>、[[英語]]に入った。
語源は[[サンスクリット]]で[[キンイロジャッカル]]を意味するシュリガーラ ({{lang|sa|शृगाल}}、{{Unicode|''śṛgāla''}}) であり、漢訳[[仏典]]では「[[野干]]」「悉伽羅」などと音訳された。
シュリガーラは、[[ペルシャ語]]のシャガール ({{lang|fa|شغال}}、{{en|''shaghāl''}})、[[トルコ語]]のチャカル ({{lang|tr|çakal}}) を経由して<ref>[http://www.bartleby.com/61/23/J0002300.html American Heritage Dictionary - Jackal entry]</ref><ref>[http://www.etymonline.com/index.php?term=jackal Online Etymology Dictionary - Jackal entry]</ref>、[[英語]]に入った。


== 特徴 ==
== 特徴 ==
<!--どのジャッカル? 全種に当てはまるのか?-->
<!--どのジャッカル? 全種に当てはまるのか?-->

体長65〜106cm、尾20〜41cmほどで、[[オオカミ]]に似るが耳は大きく、体は薄い金色〜黄褐色で、背と尾には黒色の毛が多い。アジア南部〜ヨーロッパ南東部、アフリカに分布。平原や林に1〜6頭で棲み、夜出て猛獣の食べ残しをあさるほか、[[ネズミ]]や[[ウサギ]]などを襲い、[[サトウキビ]]なども食べる。穴を掘るのが上手く、4〜9匹の子を生む。
体長65〜106cm、尾20〜41cmほどで、[[オオカミ]]に似るが耳は大きく、体は薄い金色〜黄褐色で、背と尾には黒色の毛が多い。アジア南部〜ヨーロッパ南東部、アフリカに分布。平原や林に1〜6頭で棲み、夜出て猛獣の食べ残しをあさるほか、[[ネズミ]]や[[ウサギ]]などを襲い、[[サトウキビ]]なども食べる。穴を掘るのが上手く、4〜9匹の子を生む。


==系統関係==
== 種類 ==
=== 種 ===
[[キンイロジャッカル]] {{snamei|Canis aureus}}、[[セグロジャッカル]] {{snamei|C. mesomelas}}、[[アビシニアジャッカル]] {{snamei|C. simensis}}、[[ヨコスジジャッカル]] {{snamei|C. adustus}} の4種がいるが、これらは[[単系統群]]を作らない。[[ユーラシア]]・[[北アフリカ]]のキンイロジャッカルとアビシニアジャッカルはオオカミやコヨーテに近縁だが、[[サハラ以南のアフリカ|中南部アフリカ]]のセグロジャッカルとアビシニアジャッカルは近縁ではなく、イヌ属とは別属である[[ドール]]や[[リカオン]]よりも離れている<ref name="L-T">Lindblad-Toh ''et al.'' 2005. [http://www.nature.com/nature/journal/v438/n7069/pdf/nature04338.pdf Genome sequence, comparative analysis and haplotype structure of the domestic dog.] [[ネイチャー|Nature]] '''438''': 803-819.</ref>。
; [[キンイロジャッカル]] {{snamei|C. aureus}}

: [[南アジア]]・[[中央アジア]]・[[西アジア]]、[[東南ヨーロッパ]]、[[北アフリカ]]・[[東アフリカ]]に生息<ref name="Rueness"/>。
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: [[エチオピア]]に生息。アビシニアオオカミなどとも呼び、ジャッカルに含めないこともある<ref name="AWF"/>。
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: [[中部アフリカ]]に生息。
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|[[ドール]]
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|[[リカオン]]
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それゆえ、キンイロジャッカルとアビシニアジャッカルはイヌと野生状態で交雑し<ref name="L-T"/>、繁殖能力を持つ正常な仔が生まれる。イヌ(イエイヌ)とジャッカルの交配種(品種又は雑種)のことをジャッカル・ハイブリッド(・ドッグ)と呼ぶ。交配されたジャッカルの種によっては獰猛なものもいるが、[[狼犬]]と比べると小柄で、[[ペット]]として飼育される国もある。しかし、日本ではジャッカルは[[特定動物]]に指定されているため、その交配種であるジャッカル・ハイブリッドも飼育には許可がいる。[[ロシア]]では[[空港]]で[[爆発物]]や[[麻薬]]を捜索するための探知犬として、[[キンイロジャッカル]]と[[シベリアン・ハスキー]]の交配犬種の[[スリモヴ・ドッグ]]がいる。


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Image:EthiopianWolf1.jpg|[[アビシニアジャッカル]]
Image:EthiopianWolf1.jpg|[[アビシニアジャッカル]]
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=== 旧亜種 ===
; [[アフリカオオカミ]]
: [[エジプト]]、エチオピアに生生息。かつてはキンイロジャッカルの亜種エジプトジャッカル {{snamei|Canis aureus lupaster}} とする説が有力だったが、キンイロジャッカルではなく[[オオカミ]]であると判明した<ref name="Rueness"/>。現在はオオカミの亜種アフリカオオカミ {{snamei|Canis lupus lupaster}} とされている。

=== 雑種 ===
オオカミ(イヌ)と近縁なキンイロジャッカルとアビシニアジャッカルは、イヌと野生状態で交雑し<ref name="L-T"/>、繁殖能力を持つ正常な仔が生まれる。イヌ(イエイヌ)とジャッカルの交配種(品種又は雑種)をジャッカル・ハイブリッド(・ドッグ)と呼ぶ。

交配されたジャッカルの種によっては獰猛なものもいるが、[[狼犬]]と比べると小柄で、[[ペット]]として飼育される国もある。しかし、日本ではジャッカルは[[特定動物]]に指定されているため、その交配種であるジャッカル・ハイブリッドも飼育には許可がいる。[[ロシア]]では[[空港]]で[[爆発物]]や[[麻薬]]を捜索するための探知犬として、[[キンイロジャッカル]]と[[シベリアン・ハスキー]]の交配犬種の[[スリモヴ・ドッグ]]がいる。

==系統関係==
4種の類縁関係は完全には判明していないが、[[単系統群]]を作ることはない<ref name="L-T">{{cite | journal=[[Nature]] | volume=438 | pages=803–819 | year=2005 | doi=10.1038/nature04338 | title=Genome sequence, comparative analysis and haplotype structure of the domestic dog | first=Kerstin | last=Lindblad-Toh | last2=''et al.'' | url=http://www.nature.com/nature/journal/v438/n7069/full/nature04338.html }}</ref><ref name="Rueness">{{cite | title=The Cryptic African Wolf: Canis aureus lupaster Is Not a Golden Jackal and Is Not Endemic to Egypt | journal=[[PLoS ONE]] | first=Eli Knispel | last=Rueness | last2=''et al.'' | volume=6 | issue=1 | url=http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0016385 | year=2011 | doi=10.1371/journal.pone.0016385}}</ref>。

キンイロジャッカルとアビシニアジャッカルは、オオカミやコヨーテに近縁である。

セグロジャッカルとアビシニアジャッカルは、それら(下図の「※」)から若干離れている。※とは離れた系統である(別属の[[ドール]]や[[リカオン]]の方が※に近い)とする説もあった<ref name="L-T"/>が、やはり※に近縁かもしれない<ref name="Rueness"/>。

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|'''[[セグロジャッカル]]''' {{snamei|C. mesomelas}}
|'''[[ヨコスジジャッカル]]''' {{snamei|C. adustus}}
|[[ドール]] {{snamei|Cuon alpinus}}
|[[リカオン]] {{snamei|Lycaon pictus}}
}}
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==文化==
==文化==
死肉を漁るジャッカルの姿から、死に関係する神と結び付けられる。
死肉を漁るジャッカルの姿から、死に関係する神と結び付けられる。


[[エジプト神話]]の[[双子]]の冥界神(異説あり)[[アヌビス]]と[[ウプウアウト]]は、それらはエジプトのイヌ属であるエジプトジャッカルの頭部を持つ半人半獣、あるいはエジプトジャッカルそのものの姿に描かれてきた。しかし、エジプトジャッカルは、実際はオオカミであることが判明した<ref name="Rueness"/><ref>{{cite | title=A wolf in jackal’s clothing | first=Cheryl Lyn | last=Dybas | url=http://phe-ethiopia.org/admin/uploads/attachment-1252-Africa%20Geographic_African%20Wolf_July%202012.pdf | journal=Africa Geographic | year=2012 | number=July 2012 | pages=43–48 }}</ref>。
[[エジプト神話]]には、ジャッカルの頭部を持つ半人半獣、あるいはジャッカルそのものの姿で表される冥界の神[[アヌビス]]がいる。[[ミイラ]]の作製を司る。


[[ヒンドゥー教]]では、チャームンダー([[ドゥルガー]]の分身の[[七母神]]の一人)が、ジャッカルを乗り物(ヴァーハナ)とする最も一般的な女神である。火葬場に住み、痩せ細った体でしばしば死体の上に立つ姿で表される。また、同じくドゥルガーの分身である[[カーリー]]も、幾多のジャッカルに囲まれて火葬場に居住するとされる。動物の肉が供えられると、カーリーはジャッカルの姿で司祭者の前に現われるとも伝えられる<ref>Alexandra V.D.Geer 『Animals in stone:Indian mammals sculptured through time』「the golden jackal」 2008年、 Brill Academic Pub。</ref>。
[[ヒンドゥー教]]では、チャームンダー([[ドゥルガー]]の分身の[[七母神]]の一人)が、ジャッカルを乗り物(ヴァーハナ)とする最も一般的な女神である。火葬場に住み、痩せ細った体でしばしば死体の上に立つ姿で表される。また、同じくドゥルガーの分身である[[カーリー]]も、幾多のジャッカルに囲まれて火葬場に居住するとされる。動物の肉が供えられると、カーリーはジャッカルの姿で司祭者の前に現われるとも伝えられる<ref>Alexandra V.D.Geer 『Animals in stone:Indian mammals sculptured through time』「the golden jackal」 2008年、 Brill Academic Pub。</ref>。

[[仏教]]では、漢訳[[仏典]]において「[[野干]]」・「射干」(やかん)と音写され、ジャッカルのいない[[中国]]では[[キツネ|狐]]と混同された。そして日本にも野干は狐のこととして伝えられた「ダーキニー([[荼枳尼]])の乗り物はジャッカル(野干)で、中国・日本に伝わったさいに狐に乗るとされた」というのは俗説である。漢訳仏典には荼枳尼が野干に乗るという記述はい。


[[仏教]]では、漢訳[[仏典]]において「[[野干]]」・「射干」(やかん)と音写され、ジャッカルのいない[[中国]]では[[キツネ|狐]]と混同された。そして日本にも野干は狐のこととして伝えられた<ref>「ダーキニー([[荼枳尼]])の乗り物はジャッカル(野干)で、中国・日本に伝わったさいに狐に乗るとされた」というのは'''俗説'''である。漢訳仏典には荼枳尼が野干に乗るという記述は。</ref>
== 脚注 ==
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2013年5月8日 (水) 10:20時点における版

ジャッカル
セグロジャッカル
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目(食肉目)Carnivora
: イヌ科 Canidae
亜科 : イヌ亜科 Canini
: イヌ属 Canis
階級なし : “ジャッカル” “Jackal”
和名
ジャッカル
英名
Jackal
  キンイロジャッカル(おそらくエジプトジャッカルを含む)   ヨコスジジャッカル   セグロジャッカル
  キンイロジャッカル(おそらくエジプトジャッカルを含む)
  ヨコスジジャッカル
  セグロジャッカル

ジャッカルジャコール(胡狼、英語: Jackal)は、哺乳綱食肉目イヌ科イヌ属 Canis の、キンイロジャッカルに似た中小型種3[1]–4[2]種の総称である。ただしこれらは、互いに最も近縁な関係になく、単系統ではない。

名称

語源はサンスクリットキンイロジャッカルを意味するシュリガーラ (शृगालśṛgāla) であり、漢訳仏典では「野干」「悉伽羅」などと音訳された。

シュリガーラは、ペルシャ語のシャガール (شغالshaghāl)、トルコ語のチャカル (çakal) を経由して[3][4]英語に入った。

特徴

体長65〜106cm、尾20〜41cmほどで、オオカミに似るが耳は大きく、体は薄い金色〜黄褐色で、背と尾には黒色の毛が多い。アジア南部〜ヨーロッパ南東部、アフリカに分布。平原や林に1〜6頭で棲み、夜出て猛獣の食べ残しをあさるほか、ネズミウサギなどを襲い、サトウキビなども食べる。穴を掘るのが上手く、4〜9匹の子を生む。

種類

キンイロジャッカル C. aureus
南アジア中央アジア西アジア東南ヨーロッパ北アフリカ東アフリカに生息[5]
アビシニアジャッカル C. simensis
エチオピアに生息。アビシニアオオカミなどとも呼び、ジャッカルに含めないこともある[1]
セグロジャッカル C. mesomelas
南部アフリカに生息。
ヨコスジジャッカル C. adustus
中部アフリカに生息。

旧亜種

アフリカオオカミ
エジプト、エチオピアに生生息。かつてはキンイロジャッカルの亜種エジプトジャッカル Canis aureus lupaster とする説が有力だったが、キンイロジャッカルではなくオオカミであると判明した[5]。現在はオオカミの亜種アフリカオオカミ Canis lupus lupaster とされている。

雑種

オオカミ(イヌ)と近縁なキンイロジャッカルとアビシニアジャッカルは、イヌと野生状態で交雑し[6]、繁殖能力を持つ正常な仔が生まれる。イヌ(イエイヌ)とジャッカルの交配種(品種又は雑種)をジャッカル・ハイブリッド(・ドッグ)と呼ぶ。

交配されたジャッカルの種によっては獰猛なものもいるが、狼犬と比べると小柄で、ペットとして飼育される国もある。しかし、日本ではジャッカルは特定動物に指定されているため、その交配種であるジャッカル・ハイブリッドも飼育には許可がいる。ロシアでは空港爆発物麻薬を捜索するための探知犬として、キンイロジャッカルシベリアン・ハスキーの交配犬種のスリモヴ・ドッグがいる。

系統関係

4種の類縁関係は完全には判明していないが、単系統群を作ることはない[6][5]

キンイロジャッカルとアビシニアジャッカルは、オオカミやコヨーテに近縁である。

セグロジャッカルとアビシニアジャッカルは、それら(下図の「※」)から若干離れている。※とは離れた系統である(別属のドールリカオンの方が※に近い)とする説もあった[6]が、やはり※に近縁かもしれない[5]

オオカミ(含 イヌC. lupus

キンイロジャッカル C. aureus

コヨーテ C. latrans

アビシニアジャッカル C. simensis

セグロジャッカル C. mesomelas

ヨコスジジャッカル C. adustus

ドール Cuon alpinus

リカオン Lycaon pictus

文化

死肉を漁るジャッカルの姿から、死に関係する神と結び付けられる。

エジプト神話双子の冥界神(異説あり)アヌビスウプウアウトは、それらはエジプトのイヌ属であるエジプトジャッカルの頭部を持つ半人半獣、あるいはエジプトジャッカルそのものの姿に描かれてきた。しかし、エジプトジャッカルは、実際はオオカミであることが判明した[5][7]

ヒンドゥー教では、チャームンダー(ドゥルガーの分身の七母神の一人)が、ジャッカルを乗り物(ヴァーハナ)とする最も一般的な女神である。火葬場に住み、痩せ細った体でしばしば死体の上に立つ姿で表される。また、同じくドゥルガーの分身であるカーリーも、幾多のジャッカルに囲まれて火葬場に居住するとされる。動物の肉が供えられると、カーリーはジャッカルの姿で司祭者の前に現われるとも伝えられる[8]

仏教では、漢訳仏典において「野干」・「射干」(やかん)と音写され、ジャッカルのいない中国ではと混同された。そして日本にも野干は狐のこととして伝えられた。「ダーキニー(荼枳尼)の乗り物はジャッカル(野干)で、中国・日本に伝わったさいに狐に乗るとされた」というのは俗説である。漢訳仏典には荼枳尼が野干に乗るという記述はない。

脚注