赤根智子
赤根 智子 あかね ともこ | |
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生年月日 | 1956年6月28日(68歳) |
出生地 | 日本 愛知県名古屋市 |
国籍 | 日本 |
出身校 |
東京大学法学部卒業 ジャクソンヴィル州立大学刑事司法コース修了 |
署名 | |
国際刑事裁判所所長 | |
任期 | 2024年3月11日 - 現職[注 1] |
前任者 | ピュートル・ホフマンスキー |
任期 | 2018年3月11日 - 現職[注 1] |
任期 | 2014年7月18日 - 2016年6月16日 |
前任者 | 酒井邦彦 |
後任者 | 佐久間達哉 |
任期 | 2010年10月26日 - 2012年4月9日 |
前任者 | 八幡雄治 |
後任者 | 稲葉一生 |
赤根 智子(あかね ともこ、1956年〈昭和31年〉6月28日[2] - )は、日本の検察官、裁判官。国際刑事裁判所裁判官、同所長。
名古屋大学法科大学院教授兼中京大学大学院法務研究科教授、国際連合アジア極東犯罪防止研修所教官、札幌地方検察庁公判部長、国際連合アジア極東犯罪防止研修所次長、法務省法務総合研究所国際協力部長、函館地方検察庁検事正、法務総合研究所国際連合研修協力部長兼国連アジア極東犯罪防止研修所所長、法務省法務総合研究所長、最高検察庁検事兼国際司法協力担当大使等を歴任した。
経歴
[編集]愛知県名古屋市出身[3]。愛知県立旭丘高等学校卒業。1980年(昭和55年)に東京大学法学部を卒業後、1982年(昭和57年)に検事任官。横浜、名古屋、仙台、東京各地方検察庁で勤務。
名古屋大学大学院法学研究科教授や中京大学大学院法務研究科教授として高等教育に関わるほか、法務省法務総合研究所国際協力部長、国際連合アジア極東犯罪防止研修所所長などとして法整備支援にも携わる。
函館地方検察庁検事正、法務総合研究所所長、最高検察庁検事なども歴任した後、齋賀富美子、尾崎久仁子に次ぐ日本人3人目となる国際刑事裁判所(ICC)判事に就任[4]。
2023年(令和5年)3月20日、ロシア連邦捜査委員会はICCが戦争犯罪容疑で同国のウラジーミル・プーチン大統領に逮捕状を出したことを受け、ICCのカリム・カーン主任検察官や赤根ら3人の裁判官に対する捜査を始めたと発表し[5]、同年7月27日にロシア内務省は刑法違反容疑で赤根を指名手配した[6][7][8]。
2024年(令和6年)3月11日、国際刑事裁判所所長に就任[9]。
略歴
[編集]- 1975年
- 3月 - 愛知県立旭丘高等学校卒業
- 4月 - 東京大学教養学部文科一類入学[10]。
- 1979年10月 - 司法試験合格[10]。
- 1980年
- 1982年 4月 - 検事任官(横浜地方検察庁)[11]。
- 1989年 9月 - 休職[注 2]、アメリカへ私費留学[11][2][1][注 3]。
- 1990年12月 - ジャクソンヴィル州立大学大学院刑事司法コース[注 4]修了[2]。
- 1991年 5月 - 検事復帰(仙台地方検察庁)[11][2]。
- 1994年 4月 - 東京地方検察庁検事[注 5]。
- 1996年 4月 - 法務省法務総合研究所国際連合研修協力部(次長)[11][注 6]。
- 1999年 4月 - 東京地方検察庁検事[2]。
- 2000年 4月 - 札幌地方検察庁検事・同公判部長[11][2][注 7]。
- 2002年 4月 - 法務省法務総合研究所国際連合研修協力部(教官)[11][2][注 8]。国連アジア極東犯罪防止研修所次長[注 9]兼任。
- 2005年 4月 - 名古屋高等検察庁検事・名古屋大学大学院法学研究科教授・中京大学大学院法務研究科教授。
- 2008年 4月 - 東京高等検察庁検事[2]。
- 2009年 1月 - 大阪高等検察庁検事・法務省法務総合研究所国際協力部長[10][注 10]。
- 2010年
- 2013年
- 2014年 7月 - 法務省法務総合研究所所長[11][注 16]
- 2016年
- 2017年12月 - 国際刑事裁判所裁判官選挙 当選[27]。
- 2018年 3月 - 国際刑事裁判所判事就任[28][29]。
- 2022年 3月 - 国際刑事裁判所判事として、ウクライナ情勢に伴う戦争犯罪等の捜査開始申立て事件を担当[30]。
- 2024年 3月 - 国際刑事裁判所所長[9]。
思想
[編集]赤根は、日本の検察官としてのキャリアを重ねる一方で、法整備支援など法分野における国際交流、司法外交にも継続的に関わり、さらに、日本の法曹としては初の国際刑事裁判所判事に就任したという経歴を有し、そのような法律と国際性というハイブリッドの視点から、日本(の法曹)の強み・弱みの両面を分析しつつ、アジア圏など国際舞台で日本が果たすべき役割の潜在性は大きいものと考えている[1]。
例えば、日本の法曹について、事案把握能力、法的思考力、証拠分析力など、法律家としての基本的な能力が、国際的にも高いレベルにあるとする一方で、国際分野を含め、新たな一歩を踏み出す積極性や発信力の弱さなどの課題を指摘。そして、日本、そして、日本の法曹が、これら課題を克服しながら、アジア圏における法分野のリーダーとしての潜在性を有することを自覚し、法の支配による平和で安定した世界・社会に向けて、より積極的な役割・貢献を果たしていくことへの期待を述べている[1]。
脚注
[編集]注記
[編集]- ^ a b 任期は2027年3月10日まで。
- ^ 研究休職中は法務事務官に職種変更[1]。
- ^ アメリカ滞在は1991年5月まで[12]。
- ^ 学位は "Master of Science in Criminal Justice"。
- ^ 1994年4月1日付け[13]。
- ^ 異動前の東京地方検察庁検事との併任。1996年4月1日付け[14]。
- ^ 2000年4月1日付け[15]。
- ^ 2002年4月1日付け[16]。
- ^ 在任期間は2002年4月から2005年3月まで[17]。
- ^ 2009年1月19日付け[3][18]。
- ^ 2010年8月10日付け[19]。
- ^ 2010年10月26日付け[20]。在任は2012年4月9日まで[21]。
- ^ 2013年4月10日付け[22]。
- ^ 最高検察庁検事のままの充て職。2013年7月5日付け[23]。
- ^ 在任期間は2013年7月から2014年10月まで[17]。2014年7月以降は、後任の国際連合研修協力部長が10月10日付けで発令されるまで、本務となった法務省法務総合研究所所長との兼任。
- ^ 2014年7月18日付け[25]。
- ^ 法務総合研修所長への充て職の解除。2016年6月17日付け[26]。
出典
[編集]- ^ a b c d e 「法整備支援の先を語る(国際刑事裁判所判事の視点から)――ICD創設20周年記念 赤根智子判事スペシャルインタビュー」『ICD NEWS』第90号、法務省法務総合研究所国際協力部、2022年3月、6-31頁。
- ^ a b c d e f g h i j “Sixth election of judges of the International Criminal Court - Addendum” (PDF) (英語). International Criminal Court. p. 16 (2017年9月11日). 2024年3月18日閲覧。
- ^ a b 「〔巻頭言〕 夢との出会い!法整備支援」『ICD NEWS』第39号、法務省法務総合研究所国際協力部、2009年6月、1-7頁。
- ^ “ひと:赤根智子さん=国際刑事裁判所裁判官になる最高検検事”. 毎日新聞. 2022年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月1日閲覧。
- ^ 「露、ICCの赤根裁判官ら捜査 プーチン氏逮捕状で」『産経新聞』2023年3月20日。2023年5月20日閲覧。
- ^ “Выдавшую ордер на арест Путина судью МУС Томоко Аканэ объявили в розыск” (ロシア語). タス通信. (2023年7月27日) 2023年7月27日閲覧。
- ^ “「裁判官が死んでも代わりがいる」プーチン大統領に逮捕状を出した日本人 国際刑事裁判所の赤根智子判事 現在ロシアから指名手配”. TBSテレビ (2023年12月7日). 2023年12月15日閲覧。
- ^ 「「訴追の積み重ねが重要」=国際刑事裁判所の赤根智子裁判官――プーチン氏に逮捕状、ロシアが指名手配」『時事通信ニュース』2023年7月28日。オリジナルの2024年3月17日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “New ICC Presidency elected for 2024-2027” (英語). 国際刑事裁判所 (2024年3月11日). 2024年3月12日閲覧。
- ^ a b c d “CALE BOOKLET No.3 法律家と国際協力の世界” (PDF). 名古屋大学法政国際教育協力研究センター. p. 20 (2009年7月). 2024年3月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 「11 法務省 赤根智子 法務総合研究所長」『国家公務員女性幹部職員からのメッセージ』内閣人事局、2015年、24-25頁 。
- ^ 赤根智子「随筆 アメリカ庶民と警察官の暴力」『研修』通巻第523号、法務総合研究所、1992年1月、40頁、NDLJP:2678915/23。
- ^ 「人事異動 内閣」『官報』号外 第71号、大蔵省印刷局、1994年4月15日、1頁。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』号外 第90号、大蔵省印刷局、1996年4月16日、17頁。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』号外 第85号、大蔵省印刷局、2000年4月28日、58頁。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』号外 第87号、財務省印刷局、2002年4月25日、30頁。
- ^ a b “職員・歴代所長・次長”. 国連アジア極東犯罪防止研修所. 2024年3月17日閲覧。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』本紙 第4998号、国立印刷局、2009年1月27日、8頁。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』本紙 第5377号、国立印刷局、2010年8月17日、9頁。
- ^ 「平成22年法務省主要人事一覧」『法務年鑑』(平成22年)法務省、2011年11月、515頁。NDLJP:10268798/1。
- ^ 「平成24年法務省主要人事一覧」『法務年鑑』(平成24年)法務省、2013年11月、506頁。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』本紙 第5790号、国立印刷局、2012年4月27日、9頁。
- ^ 「人事異動 内閣」『官報』本紙 第6089号、国立印刷局、2013年7月17日、8頁。
- ^ “赤根 智子”. 国連広報センター. 2020年6月1日閲覧。
- ^ 「平成26年法務省主要人事一覧」『法務年鑑』(平成26年)法務省、2015年11月、535頁。NDLJP:10268802/1。
- ^ 「人事異動 法務省」『官報』本紙 第6801号、国立印刷局、2016年6月22日、9頁。
- ^ 赤根国際司法協力担当大使兼最高検察庁検事の国際刑事裁判所裁判官当選について(2017年12月5日 外務大臣談話)(2020年2月15日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 「国際刑事裁判所判事に赤根智子氏就任 任期9年、人道犯罪裁く」『産経新聞』2018年3月9日。オリジナルの2019年4月17日時点におけるアーカイブ。
- ^ "Six new judges sworn in today at the seat of the International Criminal Court" (Press release) (英語). 国際刑事裁判所. 9 March 2018.
- ^ ICC Presidency assigns the Situation in Ukraine to Pre-Trial Chamber II (ICCプレスリリース、2022年3月2日)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Judge Tomoko Akane - 国際刑事裁判所
- 赤根智子・国際刑事裁判所(ICC)所長会見(日本記者クラブ会見動画、2024年6月14日)
- ICC President addresses United Nations General Assembly to present Court’s annual report(プレスリリース) - 2024年10月28日国連総会(動画)でのICCレポートとして、赤根智子所長がスピーチしたもの。世界の平和と発展の基礎となる法の支配を守り、浸透していくことができるかの岐路にあるとの危機意識などを述べる中で、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞にも言及。
- 「赤根智子×フィリップ・オステン プーチンに逮捕状を出した日本人裁判官が語る、逮捕の可能性と自身への「指名手配」 (中央公論.jp, 2023年9月19日)
- 赤根智子判事インタビュー「法整備支援の先を語る(国際刑事裁判所判事の視点から)」 - 国際刑事裁判所や日本の法整備支援、「司法外交」などについて。