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愛称は、『従来の車両を[[プロペラ機]]にたとえるならこの車両は[[ジェット機]]に匹敵するぐらいの加速・減速の良さである』という比喩から名付けられた。
愛称は、『従来の車両を[[プロペラ機]]にたとえるならこの車両は[[ジェット機]]に匹敵するぐらいの加速・減速の良さである』という比喩から名付けられた。


5001形は[[起動加速度]]4.5km/h/s(5500系、5550系、5700系は4.0km/h/s)だが、この数値は日本の鉄輪式の鉄道車両の中で阪神が唯一である{{efn|[[磁気浮上式鉄道]]であれば、[[愛知高速交通]]([[愛知高速交通東部丘陵線|リニモ]])の[[愛知高速交通100形電車|100形電車]]が、VVVFのジェットカーとほぼ同じ起動加速度である。}}。
5001形は[[起動加速度]]4.5km/h/s(5500系、5550系、5700系は4.0km/h/s)だが、この数値は日本の鉄輪式の鉄道車両の中で阪神が唯一である{{efn|[[磁気浮上式鉄道]]であれば、[[愛知高速交通]]([[愛知高速交通東部丘陵線|リニモ]])の[[愛知高速交通100形電車|100形電車]]が、VVVFのジェットカーとほぼ同じ起動加速度である。}}。減速度も日本の鉄道車両ではトップクラスであったが、こちらはJR東日本E233系0番台および相鉄12000系に並ばれている


阪神では、駅間が非常に短いため古くから普通用と急行用を区別して車両を運用していたが、車両の大型化に際し、最も路線環境に適した普通列車の専用車両を試作し、各種試験を行い量産され現在に至る(旧型車時代の普通専用車両[[阪神1001形電車|1001形]]<愛称:「センコウ」>なども起動加速度3.0km/h/s、減速度3.3km/h/sと高かった)。
阪神では、駅間が非常に短いため古くから普通用と急行用を区別して車両を運用していたが、車両の大型化に際し、最も路線環境に適した普通列車の専用車両を試作し、各種試験を行い量産され現在に至る(旧型車時代の普通専用車両[[阪神1001形電車|1001形]]<愛称:「センコウ」>なども起動加速度3.0km/h/s、減速度3.3km/h/sと高かった)。

2019年11月10日 (日) 12:03時点における版

阪神ウルトラマリンブルー
 
16進表記 #232067
RGB (35, 32, 103)
マンセル値 7.5PB 1.7/10
出典 「阪神車両 -音と色-」
阪神クリーム
 
16進表記 #d3b68b
RGB (211, 182, 139)
マンセル値 10YR 7.5/4
出典 「阪神車両 -音と色-」
阪神アレグロブルー
 
16進表記 #577da1
RGB (87, 125, 161)
マンセル値 2.5PB 5/6
出典 「阪神車両 -音と色-」
阪神シルキーグレー
 
16進表記 #bdbbb3
RGB (189, 187, 179)
マンセル値 5Y 7.5/0.5
出典 「阪神車両 -音と色-」
阪神ラピスブルー
 
16進表記 #283880
RGB (40, 56, 128)
マンセル値 6.9PB 2.6/10.1
出典 「阪神車両 -音と色-」
阪神モダングレー
 
16進表記 #a09488
RGB (160, 148, 136)
マンセル値 9.3YR 6.1/1.3
出典 「阪神車両 -音と色-」
阪神カインドブルー
 
16進表記 #2961a3
RGB (41, 97, 163)
マンセル値 5PB 4/10
出典 「阪神車両 -音と色-」

ジェットカーとは、阪神電気鉄道の所有する主に普通列車に供する鉄道車両につけられた愛称

本項では車両性能面のほかに、「青胴車」との呼称の由来となった車両塗色についても記述する。

概要

ジェットカーは、日本で初めての高加減速車両である近畿日本鉄道の「ラビットカー」に次いで、日本で2番目の高加減速車両である[注釈 1]

阪神では1950年代前半から、車両関係者・技術者や電機メーカーなどと高加減速度車両の開発を行っていた。

愛称は、『従来の車両をプロペラ機にたとえるならこの車両はジェット機に匹敵するぐらいの加速・減速の良さである』という比喩から名付けられた。

5001形は起動加速度4.5km/h/s(5500系、5550系、5700系は4.0km/h/s)だが、この数値は日本の鉄輪式の鉄道車両の中で阪神が唯一である[注釈 2]。減速度も日本の鉄道車両ではトップクラスであったが、こちらはJR東日本E233系0番台および相鉄12000系に並ばれている。

阪神では、駅間が非常に短いため古くから普通用と急行用を区別して車両を運用していたが、車両の大型化に際し、最も路線環境に適した普通列車の専用車両を試作し、各種試験を行い量産され現在に至る(旧型車時代の普通専用車両1001形<愛称:「センコウ」>なども起動加速度3.0km/h/s、減速度3.3km/h/sと高かった)。

ジェットカーに類する高加減速車は京阪電気鉄道2000系(「スーパーカー」)近畿日本鉄道6800系(前述の「ラビットカー」)などが存在したが、いずれも沿線人口の増大に車両増備が追いつかなくなり、通常の加減速度を有する車両と併結されたり付随車を連結されるなどして高加減速運用を解除された。

阪神のみ高加減速車が生き残ったのは、元々沿線が成熟しており沿線人口の増大が緩やかであったことや、普通列車の運用本数が少なく普通専用車両の維持がしやすかったこと、本線の平均駅間距離が短いことなどが理由とされる。

塗装

旧塗装車はクリームとウルトラマリンブルー、5500系原型車と5550系はアレグロブルーとシルキーグレイ、5500系リノベーション車はラピスブルーとモダングレー、5700系はカインドブルーを基調とした塗装となっており、このように青色を基調とした塗色から「青胴車」とも呼ばれる(5500系以降とそれ以前の車両では塗り分けパターンが逆になっている。なお、旧塗装は山陽電気鉄道でも似たような塗装が使われていたことがある)。

同社では、青胴車以外の営業車は銀色(ステンレス鋼製)の1000系9000系も含め「赤胴車」と呼ばれる(ただし銀色の車両でもかつて存在していたジェットシルバーと、2015年に導入された5700系<愛称:「ジェット・シルバー5700」>は青胴車扱いである)。

ジェットカーは1965年9月15日実施のダイヤ改正から1968年4月6日まではダイヤの関係で休日ダイヤでの梅田 - 甲子園間の一部の不定期準急に使用された以外は、一貫して普通列車として運用されている(その他回送運用もある)。

5500系までは伝統的に全車電動車であったが、5550系ではジェットカーで初めて付随車(厳密にはTc車であり制御車)が編成内に1両挿入された(5561形)。5700系では再び全車電動車に戻されたが、それぞれの先頭車の片側台車(運転台より)には主電動機を装備していないため、実質的なMT比は5550系と同じく3M1T相当である。

車両形式

ジェットカーを巡るエピソード

  • 実際のジェット機の加速度は戦闘機で20km/h/s、民間機でも12km/h/s前後であり、「ジェットカーがジェット機に匹敵する加速度を持つ」ことはない。
  • 水島新司原作の漫画『ドカベン』において、主人公山田太郎がジェットカーの車内で捕球の構えのまま乗車したシーンが登場する。高加減速にも耐えられる山田の強靱な足腰を描いたものである。
  • 日本テレビの番組「ザ!鉄腕!DASH!!」においてTOKIOとのリレー対決を行っている。深江駅付近での対決では2度ジェットカーが勝利したが、再戦となった打出駅付近での対決ではTOKIOが勝利してリベンジに成功した。2015年には、ザ!鉄腕!DASH!!20周年企画として打出駅で再々戦した[1]。なお対戦した車両は、1998年放送時は当時最新鋭の5500系、2015年放送時は当時デビューしたばかりの5700系であった。
  • 過去、「技術の阪神」と高く評価されながらブルーリボン賞ローレル賞には縁遠かった阪神だが、5700系が2016年に阪神の車両としては初となるブルーリボン賞を受賞した[2][3]

脚注

注釈

  1. ^ なお、5500系、5550系、5700系と近鉄6800系は起動加速度および減速度が同じである。
  2. ^ 磁気浮上式鉄道であれば、愛知高速交通リニモ)の100形電車が、VVVFのジェットカーとほぼ同じ起動加速度である。

出典

  1. ^ TOKIO、阪神電車“ジェットカー”と17年ぶり対決 城島「グループの意地は出せた」 - ORICON STYLE 2015年10月31日
  2. ^ "2016年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両" (Press release). 鉄道友の会. 24 May 2016. 2016年5月24日閲覧
  3. ^ 阪神電気鉄道株式会社 (24 May 2016). "普通用車両5700系(ジェット・シルバー5700)が、「ブルーリボン賞」を受賞!" (PDF) (Press release). 阪神電車. 2016年6月8日閲覧

参考文献・出典

  • 阪神電気鉄道車両部『NEW-JET CAR 5500』、1995年。
  • 阪神電気鉄道公式ファンサイト「まにあっく・阪神」(2010年4月1日に閉鎖)。
  • 阪神電車鉄道同好会/河渕則彦「私鉄車両めぐり 阪神電気鉄道」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号。
  • 中山嘉彦「阪神車両 -音と色-」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号。

関連項目