阪神5131形・5331形電車

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阪神5131形・5331形電車
5331形 魚崎駅にて
5331形 魚崎駅にて
基本情報
運用者 阪神電気鉄道
製造所 武庫川車両工業
製造年 1981年 - 1983年
製造数 5131形: 14両
5331形: 10両
投入先 本線神戸高速線
主要諸元
編成 2両編成・4両編成
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 106 km/h(各停運行時は91 km/h)
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 4.5 km/h/s
減速度(常用) 5.0 km/h/s
車両定員 先頭車131人・中間車140人
自重 36.5 t
全長 18,880 mm
全幅 2,800 mm
全高 奇数車 4,067 mm
偶数車 4,086 mm
車体 普通鋼
台車 住友金属工業製FS-343
主電動機 東洋電機製造製TDK-814-B
主電動機出力 75 kW
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 74:13 (5.69)
制御方式 電機子チョッパ制御
制御装置 5131形 東芝製 BS-470-A
5331形 三菱電機製 CFM-108-15-RH 
制動装置 HSC-R 電磁直通電空併用抑速
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS
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阪神5131形・5331形電車(はんしん5131がた・5331がたでんしゃ)は、阪神電気鉄道が1981年に導入した各駅停車用の通勤形電車ジェットカー)である。普通用車両の量産車で初の電機子チョッパ制御車であり、制御装置のメーカーの違いで2形式に分かれている。

導入の経緯[編集]

1980年から1981年にかけて実施された5151形および5311形の冷房改造において、同時に制御装置を回生ブレーキ付きの電機子チョッパ制御として実用試験を実施した。その結果、駅間距離が短くて発車、停車の回数が多く、ブレーキ初速の低い阪神本線普通運用では省エネ率が30%を超えるなど[1]、制御装置の初期コストに比べて電力回生量と力行電力節減量による電力節減効果のほうが高いことが判明した。

これを受けて、当時阪神唯一の非冷房車であった5231形の24両を電機子チョッパ制御装置搭載の新車で置き換えることとなり、1981年から1983年にかけて5131形14両、5331形10両の合計24両が製造された[2]

この車両の登場により、阪神の営業車はすべて冷房車となった[2]

概要[編集]

車両形式は制御器のメーカーにより分かれており、5131形は東芝製、5331形は三菱電機製を搭載した[3]。5131形は東芝の「とお(10)」から「1」、5331形は三菱の「みつ(3)」から「3」とされており[3]、阪神の社内関係者の間では形式名よりも「東芝(チョッパ)」・「三菱(チョッパ)」の呼び名が浸透している[3]

車体[編集]

車体は、先に製造された5001形(2代)と同一である[2]

座席はロングシートであり、薄緑色の格子柄の化粧板の模様と合わせて、他の普通系車両と変わりのない車内見付である。

主要機器[編集]

台車住友金属工業製造のペデスタル式コイルばね台車FS-343を装着し、主電動機東洋電機製造製TDK−814−B(出力75kW/300V)を4基搭載した。いずれも5231形の廃車発生品である[2]

制御装置は前述のとおり、電機子チョッパ制御を採用している。5131形は東芝製BS-470-Aを、5331形は三菱電機製CFM-108-15-RHを搭載する[4]

パンタグラフは下枠交差式で、全車とも運転台側に取り付けた[2]。また、各車に分散式冷房装置のMAU-13HAを6基搭載した。

変遷[編集]

製造[編集]

本形式の第1編成である5131 - 5132の2両は、1981年7月6日付で廃車となった5231形5241 - 5242の代替として、同年8月7日付で竣功、本線および西大阪線の普通運用に投入された。

引き続いて同年9月30日に5133 - 5134、同年11月27日に5331 - 5332が竣功、同数の5231形を置き換えた[5]ほか、5001(2代)・5261・5151・5311の各形式とともに、早朝深夜およびデータイムの西大阪線では2両編成、それ以外の時間の本線普通およびラッシュ時の西大阪線では4両編成を組成するなど、冷房車のみで分割併合を実施した。5131・5331の両形式が順調に増備されるに連れて5231形は予備車扱いとなり、1982年の夏季には運用のやり繰りで5231形を投入する機会はほとんどなくなり、実質的には冷房化率100%といっても差し支えないような状態になった[6]

その後も増備は続き、1983年4月7日付で最後の5231形である5249 - 5252が廃車された後、同日付で5339 - 5340が、同年4月30日付で5143-5144が竣功して置き換えを完了、ここに阪神の営業用車両の100%冷房化が達成された[7]

全車就役後も、本形式は形式を問わず前述のような普通系車両の分割併合運用を行っていたことから、同形式だけで4両編成を組んだほか、他形式とも分割併合のうえ4両編成を組んでいた。

4両固定編成化[編集]

1987年12月のダイヤ改正で、普通運用の終日4両編成化が実施され、ジェットカー各形式は基本的に同形式で4両編成を組むこととなった。しかし、5131・5331の両形式とも同形式同士で4両編成を組むと2両ずつ余るため、最終増備車の5143 - 5144+5339 - 5340で混成4両編成を組成した。4両固定編成での運用が常態化したため、翌1988年から5001・5131・5331各形式の4両固定編成化改造を行った。改造内容は以下のとおり。

  • 中間に連結される車両の乗務員室および乗務員扉を撤去、撤去後のスペースは客室に改装するとともに同じ場所に簡易運転台を設置された。
  • 奇数番号車のパンタグラフを撤去するとともに、偶数番号車のうち神戸方先頭車のパンタグラフ搭載位置を連結面側に変更、同時に冷房装置の位置も入れ替えた。
  • 奇数番号車のパンタグラフ撤去跡に冷房装置を増設した。1988年改造の車両については従来同様MAU-13HAを搭載したが、1989年以降改造の車両は運転室部分の冷房化を図るため、CU-10Hが搭載された。同じく、1989年以降は神戸方先頭車の最前部冷房装置もCU-10Hに換装されている。初期に4両編成化を施工した車両は、後年の改造で先頭車最前部の冷房装置をCU-10Hに換装した。
  • 前面・側面に行先表示器が設置された。
  • 分割併合運用がなくなったことから、貫通幌と桟板が撤去され、幌枠のあった部分にステンレス製の飾り板が設けられた。
  • 車体側のジャンパ栓が撤去された。
  • ドア開閉装置(車掌スイッチ)を、腰あたり(ボタン式)から胸元あたり(レバー式)に移設、ドアエンジンの交換も行った。

改造は混成編成の5143 - 5144+5339 - 5340から始まり、ユニットを組む2両単位で改造が行われて1988年8月および9月に竣功、4両揃ってから固定編成が組成された。その後も同様に改造が行われ、1990年11月から12月にかけて竣功した5331 - 5332+5333 - 5334の編成を最後に全編成の4両固定編成化が完了し、両形式で4両×6編成が出揃った。

阪神・淡路大震災[編集]

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、半数に当たる3編成12両が被災した。被災箇所とその後の経過は以下のとおり。

  • 5131Fは応急補修のうえ三宮駅に引き上げ、2月1日に復旧した三宮駅 - 高速神戸駅間の運用に投入。その後運用区間を西灘駅 - 新開地駅間に拡大、6月26日の全線復旧後は尼崎車庫に収容、5131 - 5132は8月9日、5133 - 5134は8月18日に復旧。
  • 5139Fも5131Fと同様に応急補修のうえ、三宮駅 - 高速神戸駅間、後には西灘駅 - 新開地駅間の運用に投入。
  • 5335Fは大阪市西淀川区に設けられた仮設の車両置き場へ搬入。破損程度の大きい5337 - 5338は3月31日付で廃車、5335 - 5336は7月5日に復旧。

この結果、5335Fが連結相手を失ったことから編成替えを実施、混成編成の5143Fを分解して、5339 - 5340を5335 - 5336の神戸方に連結して新5335Fとした。余った5143 - 5144は同じく連結相手を失った5269 - 5270を神戸方に連結して、5143 - 5144+5269 - 5270で4両編成を組成することとなった。なお、4両編成化改造第1号の5340と後期改造の5335では、先頭車最前部に搭載している冷房装置が、前者はMAU-13HA、後者がCU-10Hと前後で異なっていた。

保全工事[編集]

震災復旧後の1996年から5001形と同様に保全工事を開始した。中間車の神戸方の座席を2名分撤去し、車椅子スペースが設置された。また、5261形1次車の全廃に伴い、5143 - 5144は連結相手を5313 - 5314に変更、1999年4月から新たに4両編成を組成した。

廃車[編集]

経年により電機子チョッパ装置の保守が困難となり、交換部品の入手も困難となっていた[3]。これに加え台車が5231形から流用しており老朽化が目立っていたため、制御器の更新は行われず、新製車へ代替し本系列は廃車することとなった[8]

2010年の5550系の竣工に伴い、5143 - 5144は2010年10月13日付で5311形5313・5314とともに廃車となった[9]

2015年からは5700系への置き換え対象となり、5335Fが2015年12月21日付で[10]、5331Fが2017年3月13日付けで廃車され[11][12]、5331形は形式消滅した。2017年7月には5135Fが、同年11月には5139Fが廃車され、2019年4月1日時点では5131形1編成4両 (5131F) が残るのみとなっていた[13]

編成[編集]

登場時[編集]

5131形が1981年8月から1983年4月にかけて5131 - 5144の14両が、5331形が同じく1981年11月から1983年4月にかけて5331 - 5340の10両が製造された。

← 大阪
神戸 →
竣工[14]
Mc1 Mc2
5131 5132 1981年8月7日
5133 5134 1981年9月30日
5135 5136 1982年2月6日
5137 5138 1982年5月29日
5139 5140 1982年9月22日
5141 5142 1983年2月5日
5143 5144 1983年4月30日
Mc1 Mc2
5331 5332 1981年11月27日
5333 5334 1982年3月30日
5335 5336 1982年7月29日
5337 5338 1982年11月30日
5339 5340 1983年4月7日

固定編成化後[編集]

← 大阪
神戸 →
備考
Mc1 M2 M1 Mc2
5131 5132 5133 5134
5135 5136 5137 5138
5139 5140 5141 5142
5331 5332 5333 5334
5335 5336 5337 5338 5337・5338は1995年廃車
5143 5144 5339 5340 1995年編成解消

震災復旧後[編集]

← 大阪
神戸 →
備考
Mc1 M2 M1 Mc2
5131 5132 5133 5134
5135 5136 5137 5138
5139 5140 5141 5142
5331 5332 5333 5334
5335 5336 5339 5340 1995年編成結成
Mc1 M2 Mc1 Mc2
5143 5144 (5269) (5270) 1999年編成解消

組成変更後[編集]

2006年4月1日現在[15]

← 大阪
神戸 →
廃車 備考
Mc1 M2 M1 Mc2
5131 5132 5133 5134 前照灯LED化
5135 5136 5137 5138 2017年7月6日[16]
5139 5140 5141 5142 2017年11月30日[16]
5331 5332 5333 5334 2017年3月13日[12]
5335 5336 5339 5340 2015年12月21日[10]
Mc1 M2 Mc1 Mc2
5143 5144 5313 5314 2010年10月13日[9] 1999年組成変更

脚注[編集]

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  1. ^ 『日本の私鉄5 阪神』103-104頁。
  2. ^ a b c d e 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』68頁。
  3. ^ a b c d 木下和弘「阪神電気鉄道 現有車両プロフィール2017」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。218頁。
  4. ^ 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』133頁。
  5. ^ 置き換え対象となった5231形の廃車から約1か月後に5131・5331形が登場することが多かった。
  6. ^ 1982年7月末の5231形在籍車は10両、そのうち5253 - 5254が同年8月12日付で廃車になったほか、残った車両も休車状態で尼崎駅構内の側線に留置されていた。
  7. ^ この時点では武庫川線で運用中の3301形が自車に大容量のサービス電源を持たないために冷房を作動できなかったことから、全路線の冷房化は1984年となった。
  8. ^ 木下和弘「阪神電気鉄道 現有車両プロフィール2017」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。219頁。
  9. ^ a b ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表 2011』2011年、187頁。
  10. ^ a b ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2016』交通新聞社、2016年、199頁。
  11. ^ 『鉄道ファン』2017年8月号 交友社「大手私鉄車両ファイル2017 車両データバンク」
  12. ^ a b ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2017』交通新聞社、2017年、197頁。
  13. ^ 鉄道ファン』2019年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2019 車両配置表」
  14. ^ 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』160頁。
  15. ^ ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表 '06年版』2006年、131頁。
  16. ^ a b ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2018』交通新聞社、2018年、197頁。

参考文献[編集]

  • 鉄道ピクトリアル』各号 1997年7月臨時増刊号 No.640 「特集:阪神電気鉄道」 1999年3月号 No.666 「特集:電機子チョッパ車の30年」 電気車研究会 
  • 鉄道ファン』1980年8月号 No.232 「新車ガイド1:リフレッシュ阪神 ジェットカーにチョッパ車が登場」 交友社
  • 鉄道ダイヤ情報』1995年3月号 No.131 「特集:阪神電車の研究」 弘済出版社
  • 『関西の鉄道』No.34 「阪神間ライバル特集」 1997年 関西鉄道研究会
  • 『サイドビュー阪神』 1996年 レイルロード
  • 『車両発達史シリーズ 7 阪神電気鉄道』 2002年 関西鉄道研究会

外部リンク[編集]