「ヴァイシェーシカ学派」の版間の差分

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'''ヴァイシェーシカ学派'''('''ヴァイシェーシカがくは''')は[[インド哲学]]の学派。[[六派哲学]]の1つ。カナーダが書いたとされるヴァイシェーシカ・スートラを根本経典とする。一種の[[自然哲学]]と見なされることもある。
'''ヴァイシェーシカ学派'''(-がくは)は[[インド哲学]]の学派。[[六派哲学]]の1つ。カナーダが書いたとされるヴァイシェーシカ・スートラを根本経典とする。一種の[[自然哲学]]と見なされることもある。


『ヴァイシェーシカ・スートラ』では、全存在を6種のカテゴリーから説明する。言葉は実在に対応しており、カテゴリーは思惟の形式ではなく客観的なものであるとする。
== ヴァイシェーシカ・スートラの思想 ==
カテゴリーは実体属性運動特殊普遍内属の6種である。
全存在を6種のカテゴリーから説明する。


==6種のカテゴリー==
言葉は実在に対応しており、カテゴリーは思惟の形式ではなく客観的なものであるとする。
===実体===

実体は以下のように分けられる。
カテゴリーは'''実体'''、'''属性'''、'''運動'''、'''特殊'''、'''普遍'''、'''内属'''の6種である。

'''実体'''は以下のように分けられる。
*地
*地
*水
*水
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*時間
*時間
*方向
*方向
*アートマン
*[[アートマン]]
*意(マナス)
*意(マナス)


'''属性'''は以下のように分けられる。
===属性===
属性は以下のように分けられる。
*色
*色
*味
*味
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*意志的努力
*意志的努力


'''運動'''は以下のように分けられる。
===運動===
運動は以下のように分けられる。
*上昇
*上昇
*下降
*下降
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*進行
*進行


===普遍・特殊・内属===
'''普遍'''とは、同類の観念を生む原因である。黒い牛も白い牛も同じ牛であると分かるのは普遍としての「牛性」を牛が持っているからである。
;普遍
:同類の観念を生む原因である。黒い牛も白い牛も同じ牛であると分かるのは普遍としての「牛性」を牛が持っているからである。


;特殊
'''特殊'''とはあるものを別のものから区別する観念の原因である。牛が牛であって馬でないと分かるのは特殊としての「牛性」を牛が持っているからである。
:あるものを別のものから区別する観念の原因である。牛が牛であって馬でないと分かるのは特殊としての「牛性」を牛が持っているからである。


;内属
'''内属'''とは不可分でありながら別個の実在となっているもの同士の関係である。糸と布は内属の関係にある。
:不可分でありながら別個の実在となっているもの同士の関係である。糸と布は内属の関係にある。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[インド哲学]]
*[[六派哲学]]
*[[六派哲学]]
*[[ヴェーダーンタ学派]]
*[[ミーマーンサー学派]]
*[[ヨーガ学派]]
*[[サーンキヤ学派]]
*[[ニヤーヤ学派]]



[[Category:インド哲学|うあいしえしかかくは]]
[[Category:インド哲学|うあいしえしかかくは]]

2008年5月31日 (土) 22:52時点における版

ヴァイシェーシカ学派(-がくは)はインド哲学の学派。六派哲学の1つ。カナーダが書いたとされる『ヴァイシェーシカ・スートラ』を根本経典とする。一種の自然哲学と見なされることもある。

『ヴァイシェーシカ・スートラ』では、全存在を6種のカテゴリーから説明する。言葉は実在に対応しており、カテゴリーは思惟の形式ではなく客観的なものであるとする。 カテゴリーは実体・属性・運動・特殊・普遍・内属の6種である。

6種のカテゴリー

実体

実体は以下のように分けられる。

属性

属性は以下のように分けられる。

    • 芳香
    • 悪臭
  • 可触性
    • 非冷非熱
  • 別異性
  • 結合
  • 分離
  • 彼方此方
  • 知識作用
  • 快感
  • 不快感
  • 欲求
  • 嫌悪
  • 意志的努力

運動

運動は以下のように分けられる。

  • 上昇
  • 下降
  • 収縮
  • 伸張
  • 進行

普遍・特殊・内属

普遍
同類の観念を生む原因である。黒い牛も白い牛も同じ牛であると分かるのは普遍としての「牛性」を牛が持っているからである。
特殊
あるものを別のものから区別する観念の原因である。牛が牛であって馬でないと分かるのは特殊としての「牛性」を牛が持っているからである。
内属
不可分でありながら別個の実在となっているもの同士の関係である。糸と布は内属の関係にある。

関連項目