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ブルック級ミサイルフリゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブルック級ミサイルフリゲート
基本情報
艦種 ミサイル護衛艦(DEG)
ミサイルフリゲート(FFG)
命名基準 海軍功労者。
一番艦はジョン・マーサー・ブルックに因む。
運用者  アメリカ海軍
 パキスタン海軍
建造期間 1962年 - 1968年
就役期間 アメリカ合衆国の旗1966年 - 1988年
パキスタンの旗1989年 - 1995年
建造数 6隻
原型艦 ガーシア級(DE→FF)
次級 ノックス級(DE→FF)
オリバー・ハザード・ペリー級(FFG)
要目
基準排水量 2,640トン
満載排水量 3,600トン
全長 126.33 m
最大幅 13.47 m
吃水 7.9 m
ボイラー FW堅型過給水管ボイラー×2缶
(84.4kgf/cm2, 510℃)
主機 WEC蒸気タービン×1基
推進器 スクリュープロペラ×1軸
出力 35,000 hp (26 MW)
速力 設計値:27.2ノット
航続距離 4,000海里 (20kt巡航時)
乗員 士官16名+下士官兵250名
兵装
搭載機 QH-50 DASH×2機(就役時)
SH-2F LAMPSヘリコプター×1機(改装後)
FCS
  • Mk.56 艦砲用×1基
  • Mk.74 SAM誘導用×1基
  • Mk.114 水中用×1基
レーダー
  • AN/SPS-39 3次元用×1基
    ※後にAN/SPS-52Bに換装
  • AN/SPS-10F 対水上捜索用×1基
  • LN-66 航海用×1基
  • AN/SPG-51 SAM誘導用×1基
  • AN/SPG-35 砲射撃指揮用×1基
  • ソナー AN/SQS-26 艦首装備式×1基
    電子戦
    対抗手段
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    ブルック級ミサイルフリゲート(ブルックきゅうミサイルフリゲート、英語: Brooke-class guided missile frigates) は、アメリカ海軍ミサイルフリゲートの艦級。ガーシア級を元にして、52番砲のかわりにターター・システムを搭載して改設計したものであり、19623年度で6隻が建造された。基本計画番号はSCB-199B[1]

    当初はミサイル航洋護衛艦(DEG)として類別されていたが、1975年の類別変更に伴ってミサイル・フリゲート(FFG)に再類別された[2]

    来歴

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    アメリカ海軍では、1956年12月に大西洋艦隊駆逐艦部隊(DesLant)司令官ジョン・ダニエル少将が提唱したように、かなり早期から航洋護衛艦(DE)ミサイル艦とすることについて議論されてきた。基本計画審議委員会(SCB)でも、1959年8月頃より、最大限の対潜戦能力と一定程度の対空・対水上戦能力を備えた駆逐艦についての検討が着手されていた。一方、通常の航洋護衛艦(DE)としては、まず戦後第2世代DEの嚆矢として1960年度でブロンシュタイン級(SCB-199型)が建造されており、1961年度では、高速化を図るなどした発展型が建造される予定となっていた[3]

    1960年3月、艦船局(BuShips)局長ジェイムズ少将は、1962年度で、この発展型を元にしたミサイル護衛艦(DEG)を建造するよう提言した。そして同年10月の基本計画審議委員会(SCB)において、砲装型DEとミサイル型DEGの建造が発表された。このDEGとして建造されたのが本級である。一方、砲装型DEとして建造されたのがガーシア級(SCB-199A型)であり、まず1961年度からガーシア級が、続いて1962年度より本級の建造が開始された[4]

    設計

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    上記の経緯より、本級の基本設計はガーシア級と同一であり、マック構造を備えた遮浪甲板型とされた[5]。また同級より導入された過給水管ボイラーも踏襲されており、蒸気性状は主力戦闘艦並みの圧力1,200 lbf/in2 (84 kgf/cm2)・温度510 °C (950 °F)であった[6]電源も同構成で、タービン主発電機(出力500キロワット)2基とディーゼル非常発電機(出力500キロワット)2基が搭載された[7]

    装備

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    本級は、基本的にガーシア級をもとにして、一部の装備をバーターとしてターター・システムを搭載した構成となっている。

    センサー

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    SPS-10対水上、SPS-52 3次元レーダー、SPG-51射撃指揮用

    ガーシア級ではマック上に2次元式のAN/SPS-40対空捜索レーダーを搭載していたのに対し、本級では3次元式のAN/SPS-39に変更された[4]。また竣工後まもなく、発展型のAN/SPS-52に更新された[1]

    その他のセンサはガーシア級の構成を踏襲しており、対水上捜索レーダーとしてはAN/SPS-10を搭載した。探信儀はバウ・ドームに収容されており[4]、62年度計画艦ではAN/SQS-26AXRが、63年度計画艦ではAN/SQS-26BXが搭載された[1]

    電子戦装置としては、当初はAN/WLR-1電波探知装置およびAN/WLR-3レーダー警報受信機AN/ULQ-6電波妨害装置が搭載されていたが、後にAN/SLQ-32(V)2電波探知装置に換装された[8]

    武器システム

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    中央の上部構造物上には、ガーシア級の52番砲にかえて、Mk.22 単装ミサイル発射機が搭載された。これは59年度計画DDGから装備化されたMk.13 単装ミサイル発射機の軽量化版であり、弾庫容量を40発から16発に削減している。艦対空ミサイルとしては、当初はターターを搭載していたが、後にSM-1MRに更新した[1]

    マック直後にはMk.74 mod.2 ミサイル射撃指揮装置(GMFCS)が設置された。同世代のDDGでは2基を搭載した上に砲射撃指揮装置(GFCS)にもミサイル誘導機能が付加されており、同時に3個の目標と交戦できたのに対し[9]、本級ではGMFCS 1基のみの搭載であり、同時に1個の目標としか交戦できない[4]。なおGMFCSはのちにmod.6に更新されたほか、これと連接される武器管制システムとしてはWDS Mk.4が搭載された[8]

    艦砲は、ガーシア級から52番砲を省いた構成となっており、船首甲板に38口径127mm単装砲(Mk.30 5インチ砲)を搭載して、艦橋構造物上のMk.56 砲射撃指揮装置(GFCS)により管制した。また「タルボット」は、オリバー・ハザード・ペリー級の新しい艦砲システムの試験艦となり、1974年8月には艦砲を62口径76mm単装速射砲(Mk.75 3インチ砲)に、またGFCSをMk.92に換装した[10]。ただし試験終了後、これらの装備は従前に復された[2]

    対潜兵器はガーシア級と同構成であり、艦橋直前にはアスロック対潜ミサイルのMk.112 8連装発射機が搭載された。また62年度艦では人力での再装填とされて、艦橋構造物前面に折りたたみ式のクレーンが設置されていたのに対し、63年度艦では機力による次発装填装置が搭載され、発射機が艦橋構造物に近づけられているのも同級と同様である[3][1]魚雷としては、両舷には短距離用の324mm3連装短魚雷発射管(Mk.32)が搭載されたほか、多くの艦では、船尾にも長距離用の533mm連装魚雷発射管(Mk.24/25)が設置された。ただしMk.48魚雷の水上艦発射版の計画中止に伴い、533mm魚雷発射管は後日撤去された[3]。これらを管制する水中攻撃指揮装置(UBFCS)としては、Mk.114が搭載された[8]

    艦載機

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    設計段階ではQH-50 DASHの搭載が予定されており、船尾甲板をヘリコプター甲板として、その直前にはDASHの無人航空機2機またはHUL連絡ヘリコプター1機を収容できる格納庫が設置されていた[3]。しかしDASHは1960年代末に運用停止となったことから、実際の運用は行われなかった[10]

    その後、1972年から1975年にかけて、LAMPS Mk.Iの運用に対応する改修を受けた[2]。これに伴い、SH-2Fヘリコプターを収容できるよう、伸縮式の格納庫が設置された[8]

    同型艦

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    当初計画では、1964年度で10隻、その後の会計年度で更に3隻の建造が予定されていたが、通常のDEと比して建造費が高いわりにはDDGと比して性能に劣る点が問題視され、1963年1月、ロバート・マクナマラ国防長官は以後の追加建造中止を決定した[4]

     アメリカ海軍  パキスタン海軍
    会計年度 # 艦名 起工 進水 就役 退役 # 艦名 再就役 返還
    1962年 DEG-1
    → FFG-1
    ブルック
    USS Brooke
    1962年
    12月19日
    1963年
    7月19日
    1966年
    3月12日
    1988年
    9月16日
    D-162 カイバル
    PNS Khaibar
    1989年
    2月1日
    1994年
    1月
    DEG-2
    → FFG-2
    ラムゼー
    USS Ramsey
    1963年
    2月4日
    1963年
    10月15日
    1967年
    6月3日
    1988年
    9月1日
    貸与されず
    DEG-3
    → FFG-3
    スコフィールド
    USS Schofield
    1963年
    4月15日
    1963年
    12月7日
    1968年
    5月11日
    1988年
    9月8日
    1963年 DEG-4
    → FFG-4
    タルボット
    USS Talbot
    1964年
    5月4日
    1966年
    1月6日
    1967年
    4月22日
    1988年
    9月30日
    D-164 フナイン
    PNS Hunain
    1989年
    4月
    1993年
    12月
    DEG-5
    → FFG-5
    リチャード・L・ペイジ
    USS Richard L. Page
    1965年
    1月4日
    1966年
    4月4日
    1967年
    8月5日
    D-163 タブーク
    PNS Tabuk
    1989年
    3月
    1994年
    1月
    DEG-6
    → FFG-6
    ジュリアス・A・フューアー
    USS Julius A. Furer
    1965年
    7月12日
    1966年
    7月22日
    1967年
    11月11日
    1989年
    1月31日
    D-161 バドル
    PNS Badr
    1989年
    1月
    1995年
    12月

    出典

    [編集]

    参考文献

    [編集]
    • Drenkard, Carl C. (2015年). “First-Hand: The Anti-Submarine Warfare Ship Command and Control System - The First Spin Off from the Naval Tactical Data System” (英語). 2017年9月24日閲覧。
    • Friedman, Norman (2004). U.S. Destroyers: An Illustrated Design History, Revised Edition. Naval Institute Press. ISBN 1-55750-442-3 
    • Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325 
    • Prezelin, Bernard (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 809-810. ISBN 978-0870212505 
    • Moore, John E. (1975). Jane's Fighting Ships 1974-1975. Watts. p. 442. ASIN B000NHY68W 
    • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 449. ISBN 978-1591149545 
    • 阿部, 安雄「アメリカ護衛艦史」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、94-97頁、NAID 40007060042 
    • 「船体 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、118-123頁、NAID 40007060042 
    • 阿部, 安雄「機関 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、124-129頁、NAID 40007060042 
    • 多田, 智彦「兵装 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、130-135頁、NAID 40007060042 

    関連項目

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