SPECシリーズのエピソード一覧

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SPECシリーズのエピソード一覧は、日本TBSテレビ製作の映像作品シリーズ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』のエピソード一覧である。スピンオフの漫画化作品『SPEC〜零〜』についてはそちらを参照のこと。

以下、脚本は全て西荻弓絵による。話数表示は放送ではすべて話数は甲乙丙と十干で表記されている。本項では便宜上数字の話数で表記し、十干はエピソードタイトルの下に併記した。

連続ドラマ[編集]

話数エピソードタイトル初回放送日 演出視聴率
第1話魔弾の射手
甲の回
2010年10月8日堤幸彦11.5%
警視庁SIT丙部隊長の瀬文焚流(演:加瀬亮)は部隊を率いて出動中、部下の一人である志村優作(演:伊藤毅)に突然銃を向けられる。しかし発砲された弾が全て撃った側に向かって反転するというあり得ない現象によって、志村は弾丸を浴びて瀕死の重体となる。

瀬文は彼を誤射したと警察上層部に疑われ、庁内の閑職と噂される「未詳」に異動させられる。そこにいたのは若い婦警の正汽雅(演:有村架純)と不倫中の頼りない係長・野々村光太郎(演:竜雷太)と、無銭飲食を疑われていた奇妙な刑事・当麻紗綾(演:戸田恵梨香)であった。そこへ未詳始まって以来、初の客としてタレント国会議員の五木谷春樹(演:金子賢)が、自分が殺害されるとの予言を占い師から受けたため、秘書の脇智宏(演:上川隆也)と共に警備の依頼にやって来る。

未詳はその占い師・冷泉俊明(演:田中哲司)の身柄を拘束し厳重な警備を敷いたが、五木谷はパーティー会場で突然死亡する。心臓麻痺による自然死とされ事件は終わったかに見えたが、当麻は冷泉の予言どおりに五木谷が毒殺されたと見抜く。真犯人と対峙(たいじ)した2人がSPECによって攻撃を受け、負傷し殺害されようというとき、時の止まった世界の中に謎めいた少年ニノマエ(演:神木隆之介)が現れ、次の瞬間真犯人は志村と同じように自ら撃った銃弾を受けて死亡する。一方、冷泉は公安部の津田助広(演:椎名桔平)によって留置場から連れ去られ、身の安全を守る代わりに取引に応じるよう脅される。
第2話天の双眸
乙の回
2010年10月15日堤幸彦8.2%
誤射事件で瀬文を恨む志村の妹・美鈴(演:福田沙紀)は、自分に不思議な力が芽生えたことを不安に思い、兄の担当医である海野亮太(演:安田顕)に相談する。未詳には神父の大島優一(演:佐野史郎)が訪れ、教誨師として面会している死刑囚の桂小次郎(演:山内圭哉)が千里眼の能力を得たと主張していることを話す。桂は警察に、期限内にある未解決事件を解決しなければ真犯人に裁きを下すと対決を迫っていた。桂が指定したのは10年前に起きた「青山華道家死体なき殺人事件」。再捜査を経て当麻と瀬文は犯人を逮捕するが、桂は「もうひとりの犯人」の存在を告げ、そちらに裁きを下したという。その夜、桂のもとに津田がある会議での決定を伝えに来て、それにより桂の死刑が執行される。
第3話漂泊の憑依者
丙の回
2010年10月22日加藤新10.1%
瀬文は海野から「病を治す人間」を探すという取引を持ちかけられ断るが、その直後通りすがりの人物に肩の骨折を一瞬で治癒されるという現象に遭う。対象不明の張り込みに駆り出された当麻と瀬文は、目的地のガソリンスタンドで店員の武藤純(演:清水優)が何者かに憑依される事件に遭遇する。姿の見えない犯人は取り調べの最中、林実という名の巡査(演:正名僕蔵)に憑依したのを皮切りに、全国の「林実」に次々に憑依しては軽度の犯罪を重ねていく。一連の奇妙な事件が報道され始めた頃、警察に届いた挑戦状には、制限時間内に自分を捕まえられなければ憑依のSPECを公表するという内容が記されていた。ありふれた名前に途方に暮れる未詳のもとに、ついに大学助手の林実(演:村杉蝉之介)が殺人を犯したとの一報が入る。事件の真相を暴いた当麻は真犯人のSPECを前に窮地に陥るが、瀬文の機転に救われる。当麻は拘束された犯人を使って宿敵であるニノマエを誘い出そうとしていたが、犯人は突然殺害される。
第4話希死念慮の饗宴
丁の回
2010年10月29日今井夏木11.6%
自殺者遺族ネットワークの弁護士・古戸久子(演:奥貫薫)が未詳を訪れ、自殺サークル「パーフェクト・スーサイド(PS)」に参加し失踪した娘・美智花(演:三浦由衣)の捜索を依頼する。古戸は未詳の捜査に参加し、PSの参加者である植松育児(演:湯山大一郎)が快楽殺人を犯すためにサークルで自殺志願者を集めたのではと指摘する。当麻らはPSに捜査メンバーを登録して直接対決に向かうが、その結末は残酷なものだった。事実を知った真犯人のSPECホルダーは逆上し当麻たちを襲う。瀬文たちが反撃して確保しようとした途端、犯人は突然未詳に現われた男たちにいずこかへ連れ去られてしまう。
第5話堕天刑事
戊の回
2010年11月12日堤幸彦12.1%
瀬文が敬愛する先輩・里中貢(演:大森南朋)と久々に再会した翌日、未詳には潜入捜査官らの謎の死の調査が持ち込まれ、さらに瀬文は機密データへのハッキング容疑をかけられる。当麻は瀬文の無実を信じ、ハッキング用に瀬文からIDを盗んだと思われる里中を救おうと共に奔走する。やがて、里中は公安の潜入捜査官であり、愛娘・梨花(演:堀田悠衣)に病を処方され脅された彼が、警察を裏切りSPECホルダー組織と取引して冷泉を拉致するために動いていることが判明する。拉致は未然に防ぐことができたが、里中は何者かに狙撃されて死亡する。国家機密に関わるその死の真実は遺族に知らせることもできず、瀬文は里中に代わって梨花の命を救うことを決意し、当麻はその気持を受け止める。
第6話病の処方箋
己の回
2010年11月19日金子文紀10.0%
里中が巧妙に残していたSPECホルダーのリストには病を処方する者もあったが、名前は分からずリストにはある暗号があった。瀬文は海野から病を処方する医師・宮崎洋介(演:井原啓介)の噂を聞き調査するが、対象は捕えられず、結局梨花は手術に望みをかけることになる。だが、その直前に病を処方するSPECホルダーが海野だと判明。当麻たちはサイコメトリーのSPECで海野の正体に気付いた美鈴と共にホルダーに対峙するが、海野は梨花の命を救うことができるのは自分の手術の腕だけであることを盾に逮捕を拒み、梨花の手術を成功させたのちに逃亡する。当麻に最後の電話をかけてきた海野は、これはマイノリティのSPECホルダーによる生存のための革命だと語るが、彼の背後にはすでに追手が迫っていた。
第7話覚吾知真
庚の回
2010年11月26日加藤新9.6%
脳死状態に陥った志村に対し、病院は強制尊厳死を迫り、妹の美鈴は経済的な理由もあり受け入れざるを得ない状態に追い込まれた。美鈴に責められ焦る瀬文に、当麻は予言者冷泉に病を治す人間探しを頼むことを提案する。ところが海外の組織をバックに持ち、心を読むSPECホルダーのサトリ(演:真野恵里菜)が冷泉を拉致したために計画は危うくなる。当麻は瀬文にも意図を明かさない作戦を進め、サトリを追い詰めようとする。当麻たちはサトリの弱点を突いて冷泉を奪還することに成功した。冷泉は自由を求めて警察から解放されることを条件に当麻たちと取引し、ニノマエの自宅と志村を救うためのヒーラーの出現場所を予知して、死の危険があることを感じながらも独りその場を去って行く。
第8話魑魅魍魎
辛の回
2010年12月3日今井夏木10.1%
当麻は冷泉の予言に従いニノマエの自宅を訪れるが、彼の反撃にあい恐怖を覚える。瀬文は辞表を提出して未詳を出てゆき、志村を救うためにヒーラーのバックの組織と取引するが、その過程で殺人の容疑を着せられ警察に追われる身となる。当麻は野々村から未詳の取り潰しと公安零課の存在を知らされる。瀬文は取引の条件として組織の一員であるニノマエの協力のもと津田を拉致する。そこで瀬文は志村を撃った弾丸がニノマエが組織の命令で起こした現象によるものだと知る。津田を引き渡し約束通り志村はヒーラーのEXILE・NAOTO(演:NAOTO)に治療されるが、その直後瀬文たちの目の前で絶望的な惨劇が起きる。
第9話冥王降臨
壬の回
2010年12月10日堤幸彦9.0%
組織が瀬文との約束を破って志村を殺したため、これに反発したニノマエは自ら世界の王(キング)を名乗り、逆らう者たちを次々と殺害し始めた。瀬文は当麻に別れを告げ、志村の仇であるニノマエを倒し未詳の仲間を守るため、津田のスカウトで公安零課の一員となる。しかし襲撃するも全く歯が立たず、零課は壊滅状態に。独りで自首を勧めた野々村も重傷を負わされる。そしてニノマエと対戦し絶体絶命の瀬文の元に当麻が現れる。当麻はSPECに対抗する究極の作戦で挑む。
最終話百年の孤独
癸(起)の回
2010年12月17日堤幸彦12.9%[1]
ついにニノマエを倒した2人だが、当麻はニノマエの正体が記憶を操作されていた自分の実の弟・陽太であると知り、衝撃を受ける。2人はこれまでの闘いを裏で操ってきた者を知るが、一連の事件の記憶を敵の記憶操作のSPECにより消されてしまう。当麻が警察病院で目覚めたとき、瀬文は作戦の影響で眠り続けていた。当麻は元婚約者の地居聖(演:城田優)に再度プロポーズされるが気が進まない。ようやく目覚めた瀬文はある人物に苦しめられる。やがて病院を抜け出した当麻は推理によって真の敵が地居であることにたどりつき、教会に呼び出す。そこへ美鈴の助けを借りて瀬文が駆け付けるが、敵の利用するSPECに痛めつけられる中、ある不思議な現象が起こり当麻は地居を倒すことに成功する。

平均視聴率 10.5%[2](視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

スペシャルドラマ『SPEC〜翔〜』[編集]

話数エピソードタイトル初回放送日 演出視聴率
スペシャル〜翔〜(承)
ハリウッドも注目のあのドラマが
完全新作で帰ってきた!
全ての謎が今、明かされる[注 1]
2012年4月1日堤幸彦10.7%[2]
ニノマエを裏で操っていた黒幕との死闘から1年、未詳では瀬文がその戦いで負傷した目の療養から復帰し、野々村は係長待遇に降格、新たに係長の市柳賢蔵(演:でんでん)と捜査員の吉川州(演:北村一輝)が加入していた。そんな折、白昼の羽田空港近くの街中でマシンガンによる銃撃事件が発生、その被害者の中にはかつて当麻と瀬文が確保したサトリも含まれていた。

唯一の生存者・女子高生の久遠望(演:谷村美月)から話を聞いた当麻たちは、犯人が全身黒ずくめの男で瞬間移動を使っていたことを聞き、ニノマエの犯行を疑う瀬文とニノマエは死んでいると確信を持って主張する当麻は対立してしまう。瀬文は1年前の決戦以来当麻に抱いていた不信感をぶつけ、やがて彼女の左腕に死んだSPECホルダーを呼び出す能力があることを知る。容疑者の黒男(くろおとこ)に命を狙われながらどうしても両親の葬儀に出席したいという望のため、当麻たちは敵をかく乱し、野々村は市柳に迫り望を公安零課の保護施設「デッドエンド」に匿うことを約束させる。だが施設に敵が侵入し、保護中のSPECホルダーたちも巻き込んだ対戦となる。

サトリ・冷泉・海野、そしてニノマエこと弟の陽太ら、呼び出された亡きSPECホルダーたちの協力の下、闘いの末真犯人を倒した当麻はその左手の能力を未詳の仲間との絆のために封印する。このために左手の感覚をも失ってしまった当麻を瀬文は慰め、2人の対立は解消した。しかし、吉川がミイラ死体となり、当麻らに発見された。その事件と当麻の左手を巡る謎は映画『劇場版 SPEC〜天〜』へと繋がっていく。

映画『劇場版 SPEC〜天〜』[編集]

タイトル日本公開日 監督
映画第1作劇場版 SPEC〜天〜2012年4月7日堤幸彦
『SPEC〜翔〜』での仲間の死に続き、未詳の当麻と瀬文に船上の乗客たちがミイラ化した死体で発見される事件が伝えられる。事件を追う二人は、瀬文の元恋人で内閣情報調査室所属の青池里子(演:栗山千明)らと出会う。やがて事件は死んだはずのニノマエが復活して立ち上げた組織によるものであること、日本を影で動かす謎の組織・御前会議の進める対SPECホルダー作戦「シンプルプラン」への抵抗であることが明らかになる。警視庁や政府による極秘の捜査会議の最中、ニノマエらは警視総監および青池の一人娘でSPECホルダーとされる潤(演:森山樹)の2人を誘拐する。瀬文たちがアジトを襲撃しマダム陽(演:浅野ゆう子)らと死闘を繰り広げる中で、当麻の封印していたSPECは意志に反し復活してしまう。SPECのコントロールを失いそうになる当麻は、瀬文と一度は銃を向け合うまでになるが、野々村に励まされながらニノマエらとの最後の戦いに向かう。戦いの中、美鈴の死が示唆され、津田は自爆、ニノマエは当麻に自身が陽太の細胞から作られたクローンだと見ぬかれ、当麻が仕掛けたトラップにより死亡する。瀕死の瀬文が息を吹き返したころ、潤を傍らに連れた謎の青年・セカイ(演:向井理)は他のニノマエのクローンたちを消してゆく。そしてラスト、正汽雅のたたずむ2014年の東京は荒野と化している。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 放送時、サブタイトルがないため、ラテ欄より抜粋。

出典[編集]

  1. ^ SPEC : 最終回視聴率12.9% ケイゾクの続編的ドラマ 戸田恵梨香がIQ201の変人女刑事に”. MANTANWEB. 毎日新聞デジタル (2010年12月20日). 2012年6月15日閲覧。
  2. ^ a b ORIGINAL CONFIDENCE (2012年6月11日). “『SPEC』に見る劇場ヒットの新傾向〜コア層を繋ぎとめたSNS&イベント戦略”. ORICON Biz Online. オリコン・リサーチ. 2012年6月11日閲覧。

関連項目[編集]