ONE PATTERN

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ONE PATTERN
P-MODELスタジオ・アルバム
リリース
録音 ALFA Studio A
LDKスタジオ
Music Inn(yamanakako)
ジャンル ロック
テクノポップ
時間
レーベル アルファレコード
プロデュース 有島(神尾)明朗
P-MODEL アルバム 年表
KARKADOR
1985年
ONE PATTERN
1986年
P-MODEL
1992年
平沢進関連のアルバム 年表
KARKADOR
(1985年)
ONE PATTERN
(1986年)
時空の水
1989年
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ONE PATTERN(ワン・パターン)は、日本の音楽グループであるP-MODELの7枚目のスタジオ・アルバム

1986年6月25日にアルファレコードより発売された。1か月遅れの1986年7月25日にはP-MODELにとって初のCDとして発売。2007年7月25日ソニー・ミュージックエンタテインメントよりデジタルリマスタリングされ、紙ジャケット仕様で発売された。2012年4月には限定店舗(タワーレコードディスクユニオン、ショップメカノ等)でのみ再発売された。

概要[編集]

横川理彦、三浦俊一が脱退し、高橋芳一、中野照夫の加入後にリリースされた、活動「凍結」前のP-MODELにおける最後のアルバムである。

本来ならば次作『モンスター』が1987年頃発売される予定であったが、スタジオに入り初日にアルファから突然レコーディングの中止というトラブルが発生し、その後同年に契約を解除したが、次のレコード会社との交渉が難航。その間に荒木と高橋が脱退し、田井中が復帰・ことぶきが加入するも、レコーディングは進まずにお蔵入りとなる。最終的にバンド活動自体1988年12月を以って「凍結」となり、各メンバーはそれぞれの活動をしていく事となる。『モンスター』に収録される予定だった一部の楽曲は平沢ソロアルバム『時空の水』、中野ソロアルバム『USER UNKNOWN』、P-MODELボックスセット『太陽系亞種音』に収録されている。

「OH MAMA!」「Zebra」「おやすみDOG」の3曲は、P-MODEL再結成後にもアレンジを変えて披露された。解凍期のアレンジはスタジオレコーディングされており、1994年に発売されたアルバム『LIVEの方法』に収録されている。

平沢ソロライブでは最初期に「OH MAMA!」や「Zebra」が披露されており、ライブ音源が『error CD』に収録されている。2010年以降は『突弦変異』でリメイクされた「Another Day」が披露される事がある。

楽曲制作について[編集]

この時期のP-MODELには新たな試みが導入された。平沢進がMIDIギターを使用し、打ち込みのドラムやサンプラー、カセット・デッキによるコーラスを担当する高橋はキーボード演奏にとどまらない役割として「Systems」というクレジット名で登録された。これは、機械類を得意としていた反面、ベース経験こそあるもののキーボードでのステージ経験が皆無な高橋への配慮のためでもあった。この時期について高橋は後にキーボード・マガジン内で「演奏的には、混沌たるデジアナ世界黎明期、人力・機械式・アナログ・デジタル何でもござれ時代」と回顧している。

楽曲のギミック(サンプリング音源)をライブでも再現するためにMIDIギターを導入したが、まだ黎明期ということもあり、ライブでは不調になる時が多くあった。また、購入したのではなくモニターとして借りただけであり、P-MODEL凍結までは使用していたが、その後は返却してしまった。

今作は収録曲の大部分が山中湖のミュージック・インにて、3週間の合宿でレコーディングされた[1]。中野・高橋が加入決定後、すぐにアルバム・レコーディングに取り掛かった為、ほぼ準備期間は無かったという[2]。平沢は後に「クリエイティブな面より、メンバーといる方が面白かった」と回顧している[2]

楽曲解説[編集]

OH MAMA!
1988年のライブ「Shoot the Monster」ではブラスセクションによる演奏がフィーチャーされた。この時の模様は家庭用8mmビデオで撮影されており、当時のファンクラブ「モアレ・クラブ」会員向けにビデオが販売された。その後、同シーンが映像作品『BITMAP 1979-1992』に収録され、ブラスセクションがステージに居る事が確認できる。
松本かよによるコーラス部分はP-MODEL解凍後も使用された。凍結以前は高橋またはことぶきによるタイミングで手動でテープの再生ボタンを押していたが、解凍後は同期で再生されている。
2018年には核P-MODELのライブ「回=回」にて新たにアレンジされたバージョンが披露された。
LICORICE LEAF
メインボーカルは中野が取っている。当時のライブではMIDIギターの不調がよくあった曲。
メビウスの帯
2019年、P-MODELの元メンバーである三浦俊一がプロデュースするバンドFLOPPYがアルバム『2045survivor』にてカヴァーしている。
Zebra
曲間奏部はMIDIギターで演奏されている。解凍期のリメイクにおいては代わりに秋山勝彦のキーボードがフィーチャーされている。
2018年には核P-MODELのライブ「回=回」にて新たにアレンジされたバージョンが披露され、スタジオ音源がM∞CARD『平沢進・核P-MODEL エムカード大阪公演』に収録されている。
おやすみDOG
曲間奏部では過去に平沢が制作した楽曲「いりよう蜂の誘惑」のフレーズが使われている。また、当時のライブではこの部分でドラム・ソロが披露されており、映像作品「三界の人体地図」にて確認できる。
イントロがMIDIギターで演奏されている。1987年のライブ中、MIDIギターの不調のためこの曲が演奏できなくなるハプニングが発生した。[3]
2020年には平沢進+会人名義で行われたライブ「会然TREK2K20▲03」にて新たなアレンジで披露され、スタジオ音源がM∞CARD『「会然TREK2K20▲03」メモリアルパッケージカード』に収録されている。
Another Day
プロモーション・ビデオが制作されている。しかし、平沢はこのPVの出来に不満を感じ、独力で映像作品を制作するためにAMIGAを購入した[4]。以降、平沢ソロ作品の映像や楽曲の制作で多用することとなる。
当初「Zebra」とセットでシングルとしてリリースする計画があったものの諸事情でボツとなり、プロモーション用に少数のみプレスされた。
ハーモニウム
ハーモニウムとはカート・ヴォネガット作SF小説「タイタンの妖女」に登場する水星の生物のこと。
サンパリーツ
2013年、中野が自身のソロアルバム「Deep Architecture」でリメイクしている。

収録曲[編集]

  • 全編曲:P-MODEL
#タイトル作詞作曲時間
1.OH MAMA!平沢進平沢進
2.LICORICE LEAF中野照夫中野照夫
3.Astro Notes平沢進平沢進
4.メビウスの帯(Möbius band)」中野照夫中野照夫
5.Drums平沢進平沢進
6.Zebra平沢進平沢進
7.おやすみDOG(Oyasumi Dog)」平沢進平沢進
8.Another Day平沢進平沢進
9.ハーモニウム(Harmonium)」平沢進平沢進
10.サンパリーツ(Sunpaleets)」中野照夫中野照夫
合計時間:

リリース履歴[編集]

リリース日 レーベル 規格 規格品番 備考
1986年6月25日 アルファレコード LP ELR-28004
1986年7月25日 アルファレコード CD 32XA-79
1992年2月21日 アルファミュージック ALCA-259
1994年12月21日 アルファミュージック ALCA-9135
2002年5月10日 ケイオスユニオン/TESLAKITE CHTE-0010 ボックスセット『太陽系亞種音』Disc6
2007年7月25日 ソニー・ミュージックダイレクト MHCL-1137 紙ジャケット仕様
2012年4月12日 ソニー・ミュージックダイレクト MHCL-1137 紙ジャケット仕様、限定再プレス盤

参加ミュージシャン[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『改訂復刻版音楽産業廃棄物』 ブッキング (2005年) p80
  2. ^ a b 『改訂復刻版音楽産業廃棄物』 ブッキング (2005年) p39
  3. ^ イ●■ーズの馬鹿野郎事件 - 凝縮する過去 還弦主義8760時間、2012年10月15日閲覧。
  4. ^ 平沢進『来なかった近未来』ファッシネイション(2012年)

外部リンク[編集]