Il-38 (航空機)

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Il-38

Il-38 ソビエト軍の機体1986年の撮影

Il-38 ソビエト軍の機体
1986年の撮影

イリューシン Il-38ロシア語: Ильюшин Ил-38NATOコードネーム:メイ、May(5月の意)は、ソビエト連邦イリユーシン設計局で開発されたターボプロップ哨戒機である。

概要[編集]

原型となったのは4発ターボプロップ旅客機Il-18で、後に対潜哨戒機として生まれ変わった。これはロッキードP-3 オライオンと同様であるためら『ロシアン・オライオン』とも呼ばれる[1]

Il-38の存在は1970年に西側にも知られたが、実際は1967年から量産されていた。旧ソ連時代には北大西洋バルト海を哨戒していたが、時にはイエメンリビアシリア等の中東にも派遣され、地中海紅海インド洋にも姿を見せた。近年では日本近海にも姿を見せ航空自衛隊機によるスクランブルが行われている。

20以上の国で運用されたP-3とは対照的に、Il-38を採用したのはロシア海軍とインド海軍のみに終わっている。

機体[編集]

Il-38では真円断面の胴体は原型の旅客機Il-18と基本的に変わらないが、重心位置の変化に伴い主翼が前よりに取り付けられている。胴体後端にはMADのブームが、機首下面にはマッシュルーム形のレドームが張り出し、機体各所にESM等のアンテナが見える。

主な武装は対潜ホーミング魚雷爆雷機雷で、主翼キャリースルー前後の兵装ベイにソノブイとともに収容するが、Kh-35(NATOコードネーム AS-20 カヤック)空対艦ミサイルを翼下に搭載することも可能。

近代化[編集]

現在ロシア海軍では既存のIl-38の機体に対して近代化改修を進めている。 近代化された機体はIl-38Nと呼ばれ、ノヴェッラ海上探知システム複合体を搭載して、半径320km以内の空中目標、レーダー索敵範囲内の水上、水中目標を探知可能である。 ノヴェッラのデジタルコンピュータの操作には2人のオペレータを要し、センサ類は、高解像度の熱映像システム、MAD、レーザとTVとIRを含む光学センサなどから構成される。 またIl-38Nに先んじてインド海軍で近代化改修を受けた機体はIl-38SDと呼ばれ、Il-38Nと多くの共通性を持つ内容になっている。

型式[編集]

Il-38
標準型
Il-38N
現在配備中の改良型
Il-38SD
インド海軍向け改良型

採用国[編集]

インド海軍のIl-38SD

ロシアの旗 ロシア

ソ連からの引継ぎ機をロシア海軍が運用。

インドの旗 インド

インド海軍。5機採用。
老朽化した機体は更新せず、P-8を導入するまでの繋ぎとしてアメリカ海軍から購入したP-3Cを利用していた。

性能諸元[編集]

Il-38 4面図

※使用単位についてはWikipedia:ウィキプロジェクト 航空/物理単位も参照

  • 全長: 39.60 m
  • 全幅: 37.42 m
  • 全高: 10.16 m
  • 主翼面積: 140 m2
  • 自重: 33,700 kg
  • 全備重量: 63,500 kg
  • 発動機: イフチェンコAI-20M(en) ターボプロップエンジン (4,250 shp)×4
  • 最大速度: 650 km/h
  • 航続距離: 9,500 km
  • 実用上昇限度: 10,000 m
  • 乗員: 7-8名
  • 武装: 爆雷、魚雷など(9,000 kgまで)、Kh-35空対艦ミサイル
  • レーダー: ウエットアイ水上捜索レーダー。ベルクート洋上捜索レーダー。

主な対潜哨戒機との比較[編集]

主な対潜哨戒機の比較表
P-3C[2][3] Il-38[1] P-8[4] P-1
画像 Orion.usnavy.750pix.jpg Ilyushin Il-38 in flight 1986.JPEG US Navy P-8 Poseidon taking off at Perth Airport.jpg Kawasaki P-1 - Japan Maritime Self-Defence Force - 5504 - Royal International Air Tattoo 2015 (19103649324).jpg
全長 35.6 m 39.60 m[1] 39.5 m 38 m
全幅 30.4 m 37.42 m[1] 37.6 m 35.4 m
全高 10.3 m 10.16 m[1] 12.83 m 12.1 m
発動機 T56A-14 ×4 イフチェンコ AI-20M×4[1] CFM56-7B ×2 F7-10 ×4
ターボプロップエンジン ターボファンエンジン
最大離陸重量 63.4 t 66 t[1] 85.8 t 79,7 t
実用上昇限度 8,600 m 10,000 m[1] 12,500 m 13,520 m
巡航速度 607.5 km/h n/a 810 km/h 833 km/h
航続距離 6751 km[5] 7500 km[1] 8300 km[6] 8000 km[5]
戦闘行動半径 4410 km n/a 3700 km[7] n/a
最大滞空時間 15時間 13時間[1] n/a n/a
乗員 5-15名 7-8名[1] 9名 11名
運用開始 1962年8月 1971年 2013年3月 2013年3月
運用状況 現役 現役 現役 現役

参考文献[編集]

  • エアワールド1995年6月別冊「世界の軍用機年鑑1994~95」(エアワールド)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]