Il-106 (航空機)

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Il-106

Il-106(イリューシン106;ロシア語:Ил-106)は、2013年S・V・イリユーシン記念航空複合体が発表し、開発中の輸送機である。PAK TA(ПАК ТА[2]とも称されるが[3]、イリューシンでは、PTS(ПТС[4]またはPAK VTA(ПАК ВТА[5]という名称を使っている[6]。2015年に型式がIl-106になることが発表された[7]。開発コード名はエルマークロシア語Ермак、イェルマーク[8])。

概要[編集]

ロシア空軍のAn-124An-22の後継となる重輸送機で、2016年から開発を開始して、2024年より量産を開始[6]2025年頃の運用開始を見込んでいる[9]。機体の製造や設計はウリヤノフスクにあるアヴィアスタル-SPロシア語版で行われる[10]。開発においては中国がロシアのパートナーになる可能性があるとされている[11]

開発とその経緯[編集]

ロシアでは、An-124を生産再開を目論み、2008年ウクライナと合意に達した[12]。しかし政治情勢によりこれは二転三転し、最終的に2014年ウクライナ騒乱が発生したことで生産再開は不可能となり、アントノフからのサポートも不可能となった[13]。また新規に開発された主力戦車であるT-14は全備重量が60トンを超え、その重量と大きさからIl-76での輸送が不可能となっていたことから[11][14]、予備設計段階で終わったIl-106をベースに代替案として発表されたのが本機である。

開発はエルマークまたはPTSの名称で2013年より開始された[10]2014年3月18日に開発を行うことが発表され[15]、同年10月にはIl-106のためのアビオニクスの種類が決定された[16]

2014年11月23日、「ロシア24」はエンジン双発の80トンクラス、4基の160トンクラス、6基の240トンクラスのものが構想されていることを報じた[17][18]

2015年11月10日、イリューシンのゼネラルディレクターであるセルゲイ・ベルモジュキンは「ロシア24」の取材に対し、Il-106が予備設計の段階であり、最終的なデザインは2017年に決定されること、不整地での運用能力を持たせること、完全にロシア製の部品から組み立てられることを明かし、Il-106は外国の類似体よりもはるかに良くなると発言した[19][20]

2016年3月3日、セルゲイ・ベルモジュキンはロシア軍がまだ輸送機のための要件を策定していないことを明かした[21]

2016年4月16日、国防副大臣のユーリボリソフはロシア国防省の利益のために新しい重輸送機が開発されると述べた。統一航空機製造会社(UAC)の社長であるユーリ・シュルサルは、80トン、120トン、160トンの3つのタイプを作業中と発言した[22]

2016年6月20日、アヴィアスタル-SPのマネージングディレクターであるアンドレイ・カプースチンはAn-124の代わりに新しい貨物航空機の生産に従事することができると述べた[23]

2016年8月23日、セルゲイ・ベルモジュキンはインテルファクス通信のインタビューに対し開発を始めたことを明らかとした[24]。。

2016年9月7日、機体の外観上の具体的な決定はまだ保留中であり、研究機関と顧客と共に2017年にペイロードや寸法などを決定する具体的な研究開発を2017年に始める必要があるという意見で合意した。また、開発者によりペイロードが80トンと120トンの軍用輸送機が提供されることが発表された[1]

2016年9月22日、アンドレイ・ボギンスキー副産業貿易大臣はGIDROAVIASALONでのインタビューにおいて開発は初期段階であり、現在設計局において概念およびコンセプト設計が行われており、完了には2年かかるだろうと発言した。また機体は2020年以降に発表され、搭載エンジンについてPD-14に基づいて開発することは可能だとも発言した[25][26]

2016年11月8日、統一航空機製造会社のニコライ・タリコフはタス通信のインタビューに対し軍と民間両方でAn-124の不足があること、Il-106の設計は2019年から2020年に開始され、エンジンとしてPS-90あるいはPD-14が装備される可能性があること、予備設計はすでに存在しており承認されていること、PD-35を装備した双発のIl-106は大きな費用対効果を一方搭載するPD-35は2020年代半ばよりも早くは現れないと発言した[27]

設計[編集]

設計は1987年に、An-22とIl-76を代替する次世代大型四発戦略輸送機の選考に選ばれ、ソ連崩壊で実現しなかった初代 Il-106が元になっている[28]

機体には重量の減少と、空力特性と飛行特性改善のため複合材料が使用される見込みで、2016年には割合を増加させるための提案があることが明かされている[24]。貨物室はアルマータシリーズを輸送できるように設計され[14]、前述のとおり不整地での運用能力が付加される[19]

エンジンにはPS-90A1あるいはPD-14を搭載し、将来的にPD-35に換装する見込み。ペイロードは80-100トンと想定されている[27]

またベルモジュキンは新しい輸送機が武器を装備することができると述べている[1]

運用[編集]

ロシア空軍がAn-124とAn-22の後継として調達予定であるほか、インドが興味を示している[29]。また、民間機としても売り込む予定で、専門家は2030年には新しいAn-124のような航空機が民間機として少なくとも55機が必要と予測している[16]

関連項目[編集]

設計原案
規模の似た航空機

脚注[編集]

  1. ^ a b c Работы над обликом перспективного транспортного самолета начнутся в 2017 году
  2. ^ ロシア語:Перспективный Авиационный Комплекс Транспортный самолёт Авиации:戦術空軍向け将来輸送航空複合体の頭文字。
  3. ^ Новый, тяжелый, свой
  4. ^ ロシア語:Перспективный Транспортный Самолет:将来輸送機
  5. ^ ロシア語:Перспективный Авиационный Комплекс Военно Транспортный самолёт Авиации:軍事輸送航空コマンド向け将来輸送航空複合体
  6. ^ a b Генеральный директор ОАО «Ил» Сергей Сергеев: «Я хочу, чтобы через два-три года в небо поднялся первый серийный самолет Ил-112»
  7. ^ Военно-транспортный самолет Ил-106 будет иметь грузоподъемность 80-100 тонн
  8. ^ イェルマークシベリア探検を行いその後のロシアのシベリア進出を招いたといわれている。ロシア民話の英雄
  9. ^ Новые военно-транспортные самолеты появятся в России к 2025 году
  10. ^ a b Авиационные комплексы авиации
  11. ^ a b Новый, тяжелый, свой
  12. ^ Thomson Financial NewsUkraine, Russia to resume production of giant cargo planes
  13. ^ “(世界発2014)ロシアの主翼、視界不良 世界最大の量産貨物機「ルスラン」”. 朝日新聞. (2014年9月9日). オリジナル2015年11月30日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20141101044637/http://www.asahi.com/articles/DA3S11340651.html 2014年11月1日閲覧。 
  14. ^ a b Россия создаст транспортный самолет для танка «Армата»
  15. ^ В России началась разработка перспективного военно-транспортного самолета
  16. ^ a b Серийный выпуск широкофюзеляжного транспортного самолета "Ермак" грузоподъемностью 80 и более тонн планируется начать к 2024 году. Об этом заявил генеральный директор ОАО "Ил" Сергей Сергеев.
  17. ^ Авиация: перезагрузка. Транспортные самолеты - воздушные грузовики
  18. ^ Авиация: перезагрузка Транспортные самолеты - воздушные грузовики
  19. ^ a b военно-транспортный Ил-106 сможет садиться на грунт
  20. ^ Russia’s New Il-106 Plane Will Need No Airfields
  21. ^ "Ил": военные пока не сформулировали требования к перспективному самолету Ил-106
  22. ^ Минобороны РФ закажет промышленности разработку сверхтяжелого военно-транспортного самолета
  23. ^ "Авиастар" может начать производство нового самолета вместо Ан-124
  24. ^ a b Перспективный авиационный комплекс Военно-транспортной авиации будет создаваться на современных технических решениях - гендиректор ОАО "Ил"
  25. ^ Russia may develop concept aircraft similar to Ukraine’s An-124 in next two years - News - Russian Aviation - RUAVIATION.COM
  26. ^ Российский аналог "Руслана" может появиться после 2020 года | РИА Новости
  27. ^ a b Russia to begin Il-106 airlifter design phase within three years
  28. ^ Самый большой в мире: чего ожидать от проекта «Ермак»
  29. ^ ПАК ТА сделает мгновенным передислоцирование Т-14 «Армата»

外部リンク[編集]