E-mote

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E-mote(エモート)は、M2が開発した、イラストを立体的にアニメーションさせる技術、および開発ツールの名称である[1][2]。なお、名称は「Emotional Motion Technology」の略[2]

概要[編集]

映像外部リンク
E-moteサンプル(M2) - YouTube
E-moteサンプル・テンプレート(M2) - YouTube

キャラクターの立ち絵で、表情やポーズなどのアニメーションを簡単に作成することができる[2]。例えば表情をアニメーションさせる場合、通常は口パク・目パチ・眉毛など様々な差分パターン画像を用意しなければならないが、E-moteでは目・口・眉などの各パーツを変形させてパターンを作るため、少ない画像素材で簡単にアニメーションが作成できる[2]。各パーツについて、物理挙動(硬さ・重さ・揺れ具合)、風や角度の影響、変形遷移・円形クランプなど、様々な設定が可能[3]。また「男子正面」「女子正面」などのテンプレートがあらかじめ用意されており、立ち絵画像をそのテンプレートに当てはめることで、すぐに立体的なアニメーションとして動かすことができる[3]

また、開発元のM2は、E-moteをベースとした機能限定版のツール、E-mote Free Movie Maker(通称・えもふり)も無償で公開している[4]

開発の経緯[編集]

M2では以前から、アクションゲームのキャラクターやユーザーインターフェイスの制作ツールを社内で開発していた[2]。『魂斗羅ReBirth』や『ドラキュラ伝説 ReBirth』の開発で使用したモーションエディターをベースに、アドベンチャーゲームのキャラクターを動かすことに特化した技術として「E-mote」が開発された[2]

開発のきっかけはういんどみるからの「動く立ち絵」についての相談で[2]、2012年11月30日に発売された『ウィッチズガーデン』(ういんどみるOasis)で正式に導入された[5][6]。『ウィッチズガーデン』開発時にはまだE-mote用のUIツールが無く、元々のモーションエディターを使って開発していたが、そのままでは複雑で操作が難しいため、キャラクター作成に必要な機能だけを搭載した専用ツール「E-mote Lite」が開発された[2]

なお、E-moteの技術には、雪などの背景パーティクルを動かす機能もあるが、これらの背景テンプレートについては今後E-mote Liteに組み込まれる予定[2]

歴史[編集]

  • 2012年12月 - E-mote技術のライセンス提供を開始[2]
  • 2013年
    • 2月5日 - 専用ツール「E-mote Lite」の試用版を公開[7]
    • 4月4日 - E-mote Liteの正式版を提供開始[3]
  • 2014年
    • 6月9日 - E-mote 3.0を正式リリース。Adobe PhotoshopのPSD画像からの一括インポート、吉里吉里2Unity Proへの対応、インディーズライセンスの提供など[1][8]
    • 6月27日 - E-mote Free Movie Maker(通称「えもふり」)をリリース。アニメーションGIF・連番PNG・WMV動画ファイル出力に特化した簡易版で、個人利用のみで無償ダウンロード提供[9][4]

対応プラットフォーム[編集]

(出典:[10]

採用作品[編集]

アプリ[編集]

家庭用ゲーム[編集]

アーケードゲーム[編集]

ブラウザゲーム[編集]

  • 戦国武将姫 MURAMASA 乱(GMOゲームポット)[11]
  • ジェミニシード(合同会社DMM GAMES)[11]

Windows用ゲーム[編集]

  • Go!Go!Nippon!(MangaGamer)[11]
  • Malus Code(Dogenzaka Lab)[11]
  • ネコぱら(NEKO WORKs)[11]
  • 剣と幻想のアカデミア(TECHNOFRONEX )[11]
  • NinNinDays(qureate)[11]
  • TroubleDays(qureate)[11]
  • くっころでいず(qureate)[11]

その他[編集]

  • ふれあえるシアンちゃん(サンリオとの共同開発・サンリオアニメストアにて公開展示)[12]
  • E-mote Communicator まいてつ(Loseとの共同開発・秋葉原ソフマップSM館にて公開展示)[13]
  • E-mote Communicator ケッコンVR(ポップアップストア in AKIBAにて公開展示)[14]
  • TIGER & BUNNY 10th Anniversary in NAMJATOWN インタラクティブカフェ[15]

アダルト作品[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b キャラクターアニメショーンツールE-mote”. M2. 2014年6月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j アドベンチャーゲームの表現をひとつ上のレベルに―“超・立体”映像イラストアニメーション技術「E-mote」の開発者にインタビュー”. Gamer (2013年3月26日). 2014年6月12日閲覧。
  3. ^ a b c 2Dイラストに3Dグラフィックの自由度を与えるアニメーション技術「E-mote」の正式版が提供開始|Gamer”. Gamer (2013年4月4日). 2014年6月12日閲覧。
  4. ^ a b エムツー、2Dキャラクターアニメ作成ツール「E-mote」の無償版「えもふり」を公開 - 窓の杜”. Impress Watch Corporation (2014年6月27日). 2014年6月30日閲覧。
  5. ^ PUSH!! 2012年12月号 pp.48-55.
  6. ^ TECH GIAN 2012年12月号 pp.55-61.
  7. ^ 4Gamer.net ― 2Dイラストを立体的に動かす技術「E-mote」の“Lite”試用版が公開に”. 4Gamer.net (2013年2月5日). 2014年6月12日閲覧。
  8. ^ 2Dイラストのアニメーション化エンジン「E-mote」が3.0にバージョンアップ。インディーズライセンスの提供を開始 - 4Gamer.net”. 4Gamer.net (2014年6月10日). 2014年6月12日閲覧。
  9. ^ E-mote Free Movie Maker「えもふり」”. M2. 2014年6月30日閲覧。
  10. ^ 特徴”. 2015年2月3日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af 導入事例”. 2015年9月24日閲覧。
  12. ^ 「SHOW BY ROCK!!」よりE-moteを導入した「ふれあえるシアンちゃん」がサンリオアニメストアで公開”. ゲーム情報サイト Gamer. 2021年3月10日閲覧。
  13. ^ エムツー、E-moteを導入しハチロクと触れ合える「E-mote Communicator まいてつ」を秋葉原ソフマップSM館にて公開”. 2021年3月10日閲覧。
  14. ^ 『アズールレーン』の艦船とふれあえる等身大デジタルサイネージ 『E-mote Communicator ケッコンVR』を秋葉原に期間限定設置”. 2021年3月10日閲覧。
  15. ^ ニュース:ナンジャタウン様のインタラクティブカフェ開発をお手伝いしました”. 2021年6月11日閲覧。
  16. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 導入事例(アダルト)”. 2021年3月10日閲覧。
  17. ^ コロナ・ブロッサム:E-moteとは 2016年6月20日閲覧
  18. ^ スタッフ雑記 『あなたは、彼が理解できてしまうかもしれない……』” (2015年9月18日). 2015年9月24日閲覧。

外部リンク[編集]