ミズナ

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ミズナ
ミズナ
ミズナ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: アブラナ属 Brassica
: ラパ B. rapa
変種 : ミズナ var. laciniifolia
学名
Brassica rapa L.
var. laciniifolia (L.H.Bailey) Kitam.
シノニム
Brassica japonica
Sieb.
和名
ミズナ
英名
Potherb Mustard
Mizuna

ミズナ水菜、学名:Brassica rapa var. laciniifolia)は、アブラナ科越年草学名が示す通り、植物学的には、アブラナカブなどと同種である。また、同種同変種にミブナがある。カラシナの一種として説明されることもある。別名で、キョウナ(京菜)[1][2]、ヒイラギナ[3](柊菜)、センスジナ(千筋菜)[1][2]、センボンナ(千本菜)[2]、センスジキョウナ(千筋京菜)[2]、イトナ(糸菜)[1]などがある。またキョウナを標準和名として用いている図鑑も多い[† 1]

名称

雍州府志』(貞享3年、1686年)に「水菜」として記載されていて、すでに京都西南部の東寺九条付近で栽培されていた[1]人糞尿などを使用せず、流水(清流)を間に引き入れて栽培するため「水菜」の名がある[1][2]

形態

花を咲かせたミズナ

越冬して栽培する一年生植物で、微かに白粉を帯びる[1]。根はあまり肥大せず、細い根葉を多数生じる[1]。形は狭い長形で多数の細かい鋭片に分裂した葉をつける。分蘖は旺盛で[1]、濃緑色のギザギザした葉が何十枚にも分蘖する[2]。葉茎の基部は耳状にならないが茎を抱く[1]。花は萌黄色で直径1cm程度、4枚の花弁は十字花ではなく2枚ずつが近寄り矩形に近い[1]

品種

伝統的な品種としては、大阪京都など、近畿地方を中心として、葉の切れ込みが深く、葉柄が細く、収穫期にはほとんど株立ちしない関西系の品種と、静岡県愛知県など、東海地方を中心として、葉の切れ込みが比較的浅く、葉柄ががっしりと太く、若干の株立ち状態で収穫される関東系とされる品種がある。前者は、生食も可能であるが、はりはり鍋に不可欠な食材として、大阪などでは昔から親しまれてきた品種である。後者は野趣に富んでいるため、専ら加熱調理がなされることが多い。浜松を中心とする静岡県西部から愛知県東部にかけての地域では、正月料理の雑煮の具として親しまれている。

利用

水菜と大根のサラダ

京都付近では秋に苗床に播種し、晩秋畑に定植して管理する[1]耐寒性が強く[1]、旬は晩秋から冬[2]。 独特の芳香と繊維分をもつ[2]ビタミンAビタミンCカルシウムが多く含まれている[2]。煮食が多く、鯨の水炊きなどに使われる[1]。またほかの鍋物煮物漬物などにも使われる[2]。独特な歯触りを損なわないため火を通しすぎないように調理する[2]

近畿地方を中心とする地域で、古くから常用されてきた葉野菜であるが、近年では関東地方以北など、全国的に普及してきている。農林水産省のまとめた平成30年度野菜生産出荷統計によると、水菜の年間出荷量第1位は茨城県の19,700tとなっている。これは第2位の福岡県(3,080t)、第3位の京都府(2,000t)と比べても圧倒的である[4]近年では、ミズナを生野菜サラダとして生食する習慣が根付きつつあり、この用途に適する関西系の品種が、従来は関東系の品種が栽培されてきた地域や、そもそも馴染みのなかった地域にまで広く普及しつつある[要出典]

脚注

注釈

  1. ^ 出典に挙げた 『標準原色図鑑 全集 有用植物』や『野菜と果物 ポケット図鑑』など。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 高嶋四郎、傍島善次、村上道夫『標準原色図鑑 全集 有用植物』保育社、1971年、47頁。 
  2. ^ a b c d e f g h i j k 石尾員浩『野菜と果物 ポケット図鑑』主婦の友社、1995年、22頁。ISBN 9784072166390 
  3. ^ 『世界大百科事典』(第2版)平凡社 
  4. ^ 作物統計調査 作況調査(野菜)「平成30年産野菜生産出荷統計 (2018年確報)」〜みずな(都道府県別の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量)2019-12-09 政府統計コード:00500215 農林水産省生産流通消費統計課

関連項目