ニヌルタ

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怪鳥アンズー(左)とニヌルタ[1]

ニヌルタまたはニンウルタ(Ninurta)は、バビロニアアッシリアで崇拝された、メソポタミア神話の、豊穣(農業・狩猟)と戦闘の。意味は「大地の主」。「エンリル」と「ニンリル」(あるいは変形神話では「ニンリル」の代わりに「ニンフルサグ」)の息子。古くは、「ニニブ(Ninib)/ニニプ(Ninip)」と呼ばれ、時には、創造神・太陽神・秩序の神として描かれていた。

「ニヌルタ」はラガシュの都市神「ニンギルス」(Ningirsu)と同じ神とされている。ニヌルタ(ニンギルス)のシンボル(聖獣)は「双頭の鷲」。象徴する惑星は土星

ニヌルタの配偶者はニップルの「ウガルル」(Ugallu)、ニンギルスの配偶者は「バウ」(Bau)。

「ニヌルタ」の名は、聖書の登場人物「ニムロド」(Nimrod)の名の基になったと考えられている。

元来はシュメール地方を中心としてまつられた大地の神で農業狩猟などの豊穣をつかさどった。後に狩猟から戦闘の神の要素が派生し、後者の神として崇められるようになった。当時(紀元前3千年紀)のメソポタミアは都市国家間の争いが激しかった上に、多数の捕虜をしばしば殺害していたために犠牲者が多く、ニヌルタの性格も時代が下るにつれてより戦闘の神としての性格が強くなり、「戦士の王」の祖形となった。

ニヌルタはの神・青銅器の神でもある。ニヌルタは、煮えたぎり姿を変える活きた山「クル」と戦い、「クル」が投げつけてくる緑色の石(酸化銅緑青)を粉々に砕いて、精錬して、赤い物(純銅)に変えて、石の魔力を封じたことで、「クル」は無力な赤い姿となり、それ以降、山は楽園となった。

ニンギルスは「エンリルの洪水」とも称され(「大洪水」参照)、戦闘の神として「洪水のように諸都市を破壊しつくす」と表現されたり、グデア王の夢には「彼の下半身は洪水」という表現もある。ニンギルスの武器を「洪水」と呼ぶ場合もある。

ニヌルタは、単頭のライオン頭の鷲である、怪鳥アンズーを退治する神話が有名である。

脚注

参考文献

関連項目