ラ・フォル・ジュルネ TOKYO
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO(ラ・フォル・ジュルネ トーキョー、フランス語: La Folle Journée TOKYO)は、2005年から毎年ゴールデンウィーク頃に東京で行われているクラシック音楽を中心とした催しである。以前はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭と呼ばれていた。
東京での開催の成功を受けて、2008年から2016年に金沢(ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭)、2010年から2017年に新潟(ラ・フォル・ジュルネ新潟 「熱狂の日」音楽祭)、大津(ラ・フォル・ジュルネびわ湖「熱狂の日」音楽祭)、2011年から2013年には鳥栖(ラ・フォル・ジュルネ鳥栖 「熱狂の日」音楽祭)で開催されている。本項では金沢、新潟、大津、鳥栖で開催された音楽祭についても取り上げる。
概要
1995年よりフランスのナントで開催されているラ・フォル・ジュルネ(熱狂の一日、祝祭の一日)の日本版で、2005年にスタートした。本国フランス同様、演奏家の選出や演奏会の選曲はルネ・マルタンによって行なわれている。
『一流の演奏を低料金で提供し、明日のクラシック音楽の新しい聴衆を開拓する』というコンセプトのもとに、選曲はクラシック初心者から上級者まで楽しめるように配慮されている。また年齢による入場制限[注 1]をせず幼児や子供が入場できる公演もあり、家族でクラシック音楽を楽しむことができる。
有料公演は東京国際フォーラム内の5つのホール(A、B7、B5、C、D7)・会議棟の2部屋(G402、G409)・相田みつを美術館をフル活用し、朝から夜遅くまで1公演45分 - 60分程度、長いものでも90分程度のコンサートが数多く同時に開かれ[注 2]、入場料も概ね1公演1500円 - 4000円と安く設定されている。
同時に、東京国際フォーラム内や丸の内地区のビルなどで無料演奏会や講演、展示会、ワークショップなどのイベントが開催されている。2018年には池袋地区にも会場を設けることが発表された[1]。
無料公演は、東京近郊のアマチュア演奏家や団体を中心に行われるが、プロの演奏家・音楽家の参加もある。その他イベントでは子ども向けの演奏会、演奏者向けのマスタークラス、音楽史などの講演会、クラシック関連の映画上映などが開催される。これらのうち、ホール内の展示会場で開催されるものには有料公演の半券が必要となるが、イベント自体は無料のケースが多い。
有料公演・無料公演とあわせ、一日に多くの演奏を楽しむことができ、国際フォーラムの中庭に屋台や物販ブースが出店されるなどお祭りの雰囲気を出している。
主催者発表では、初開催の2005年は32万人が来場。周辺で行われた関連イベントを含めると2007年には約106万人、2010年には80万7900人もの観客を動員し、ゴールデンウィークの東京の一大イベントであると同時に、単一の音楽祭としては日本最大級となっている。
音楽祭の特徴であったテーマ作曲家制は結局根付かず、ここ数年は様々な作曲家の作品を演奏できるよう、曖昧なテーマが設定されるようになった。
東京公演の概要
主催等
- 主催:東京国際フォーラム
- 企画制作 CREA/KAJIMOTO
テーマ
- 2005年4月29日 - 5月1日
- 「ベートーヴェンと仲間たち」
- 2006年5月3日 - 6日
- 「モーツァルトと仲間たち」
- 2007年5月2日 - 6日
- 「民族のハーモニー」
- 2008年5月2日 - 6日(丸の内及び周辺エリアは4月29日から)
- 「シューベルトと仲間たち」
- 2009年5月3日 - 5日(丸の内及び周辺エリアは4月28日から)
- 「バッハとヨーロッパ」
- 2010年5月2日 - 4日(丸の内及び周辺エリアは4月28日から)
- 「ショパンの宇宙」
- 2011年5月3日 - 5日(丸の内及び周辺エリアは4月28日から)
- 「とどけ! 音楽の力 広がれ! 音楽の輪」[注 3]
- 2012年5月3日 - 5日(丸の内及び周辺エリアは4月27日から)
- 「サクル・リュス」ロシアの祭典
- 2013年5月3日 - 5日
- 「パリ、至福の時」
- 2014年5月3日 - 5日
- 「10回記念 祝祭の日」
- 2015年5月2日 - 4日
- 「PASSION」ルネサンス期から現代まで、恋と祈りといのちの音楽
- 2016年5月3日 - 5日
- 「ナチュール」自然と音楽
- 2017年5月4日 - 6日
- 「ラ・ダンス」舞曲の祭典
- 2018年5月3日 - 5日
- 「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」
- 2019年5月3日 - 5日
- 「ボヤージュ 旅から生まれた音楽(ものがたり)」[3]
- 2020年5月2日 - 4日 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、開催を中止[4]
- 「Beethoven」ベートーヴェン
- 2021年 「ラ・プティット・フォル・ジュルネ2021」として一日のみの開催とするはずだったが「蔓延防止等重点措置」発令の為中止
- 2022年 開催が見通せないことを理由に開催を見合わせを発表
- 2023年5月4日 - 6日 (4年ぶりの開催)
- 「Beethoven」ベートーヴェン
会場
- 東京国際フォーラム
- よみうりホール
- よみうり大手町ホール(2014年-)
- 丸の内地区
- 池袋地区(2018年)
かつて開催されていた都市
新潟
- 主催等
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- 主催:ラ・フォル・ジュルネ新潟「熱狂の日」音楽祭実行委員会(新潟市芸術文化振興財団、新潟市音楽芸能協会、新潟商工会議所、新潟市国際交流協会、新潟日報社、新潟青年会議所、新潟・フランス協会、新潟市中学校長会、にいがた音楽協会、新潟市)
- 企画制作:CREA/KAJIMOTO
- 日程とテーマ
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- 2010年4月30日・5月1日
- 「ショパンとバロック」
- 2011年5月6日 - 8日(プレイベントは5月1日から5月5日)
- 「ウィーンのベートーヴェン」
- 2012年4月27日 - 29日(プレ公演は4月22日、関連イベントは4月20日から5月6日)
- 「サクル・リュス」ロシアの祭典
- 2013年4月26日 - 28日
- 「モーツァルト」
- 2014年4月25日 - 27日
- 「三都物語 ウィーン・プラハ・ブダペスト - ドナウとモルダウの間で - 」
- 2015年5月8日 - 10日(プレ公演は4月26日)
- 「パシオン - 恋する作曲家たち -」
- 2016年4月28日 - 30日(プレ公演は4月16日)
- 「ナチュール - 自然と音楽 -」
- 2017年4月28日 - 30日(プレ公演は4月15日)
- 「ラ・ダンス - 舞曲の祭典 -」
- 2010年4月30日・5月1日
- 会場
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- りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)
- 新潟市音楽文化会館
- 燕喜館(白山公園内)
大津
- 主催等
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- 主催:公益財団法人びわ湖ホール
- 企画制作:CREA/KAJIMOTO、公益財団法人びわ湖ホール
- 日程とテーマ
- 会場
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- 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
- ピアザ淡海 滋賀県立県民交流センター
- 遊覧船ミシガン
金沢
- 主催等
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- 主催:ラ・フォル・ジュルネ金沢音楽祭実行委員会、石川県
- 企画制作:CREA/KAJIMOTO、ケィ・シィ・エス、オーケストラ・アンサンブル金沢
- 日程とテーマ
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- 2008年5月3日 - 5日(金沢駅及び周辺エリアは4月29日から)
- 「ベートーヴェンと仲間たち」
- 2009年5月2日 - 4日(福井・石川・富山の北陸3県エリアは4月28日から)
- 「モーツァルトと仲間たち」
- 2010年5月3日 - 5日(福井・石川・富山の北陸3県エリアは4月29日から)
- 「ショパン、ジェネラシオン1810」
- 2011年5月2日 - 4日(福井・石川・富山の北陸3県エリアは4月28日から)
- 2012年5月3日 - 5日(福井・石川・富山の北陸3県エリアは4月28日から)
- 「サクル・リュス」ロシアの祭典
- 2013年5月2日 - 4日
- 「パリ、至福の時」
- 2014年5月3日 - 5日
- 「ウィーン・プラハ・ブダペスト - 三都物語 - 」
- 2015年5月3日 - 5日
- 2016年5月3日 - 5月5日
- 「ナチュール - 自然と音楽 -」
- 2008年5月3日 - 5日(金沢駅及び周辺エリアは4月29日から)
- 会場
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- 石川県立音楽堂
- 金沢駅周辺
- 金沢市アートホール(ポルテ金沢内)
- 北國新聞赤羽ホール
- 富山県高岡文化ホール(富山県高岡市、2009年から)
- ハーモニーホールふくい(福井県福井市、2009年から)
ラフォルジュルネ金沢は、実行委員会側とKAJIMOTO側との運営方針に相違が生じたため2016年の「ナチュール - 自然と音楽 -」を最後に終了となった[5]。2017年からは、形式を変えた新たな音楽祭「風と緑の楽都音楽祭」が開催されている[6][注 4]。
鳥栖
- 主催等
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- 主催:ラ・フォル・ジュルネ鳥栖「熱狂の日」音楽祭実行委員会
- 企画制作:CREA/KAJIMOTO、九州交響楽団
- 会場
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- 鳥栖市民文化会館
- 鳥栖市中央公民館
なお、2014年も開催が計画されていたが、制作会社から同規模でも契約金を1.5倍とすることを要求し、交渉が難航したことから2013年10月7日に中止が発表された。今後は2,3年ごとの開催も視野に入れて交渉を継続するとされている[7]。
脚注
注記
- ^ 通常、クラシック音楽の公演では未就学児の入場は拒否されることが多い。
- ^ 2010年は東京国際フォーラムで有料公演が170公演、無料公演が91公演、丸の内・周辺エリアで92公演、東京芸術劇場で1公演、合計358公演。出演者総数1327人。東京国際フォーラムのチケット販売数13万9030枚。
- ^ ナントの本家同様に「タイタンたち」(リスト、ブラームス、マーラー、リヒャルト・シュトラウス、シェーンベルク) というテーマの予定だったが、東日本大震災によって東京国際フォーラムのAホール、B5、B7ホールが使用不能になったこと、一部の海外演奏家が福島第一原子力発電所事故の影響で来日しなくなったことなどを受けて変更された[2]。ただし、演奏された曲目は当初のテーマで取り上げる予定だった上述の作曲家達の作品が中心となっている。
- ^ 2018年度よりITビジネスプラザ武蔵にて開催されるリアル脱出ゲーム全国ツアー金沢公演が協賛行事として位置づけられている(2018年度はドラえもん のび太の宝島とのコラボ、2019年度は逆転裁判 〜その「真実」、異議あり!〜とのコラボ)。
出典
- ^ 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2018 ゴールデンウィーク開催決定 東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、そして 2018 は池袋エリアへ拡大」東京国際フォーラム/株式会社KAJIMOTO/豊島区プレスリリース(2017年9月6日)
- ^ “【謹告】ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2011の開催内容変更のお知らせ”. ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2011公式サイト (2011年4月18日). 2014年5月6日閲覧。
- ^ 「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019」『ショパン』第36巻第4号、ハンナ、2019年4月、50-51ページ。
- ^ “ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020 開催中止のお知らせ”. ラ・フォル・ジュルネTOKYO2020公式サイト (2020年3月27日). 2020年3月27日閲覧。
- ^ 『ラ・フォル・ジュルネ金沢 開催中止のお知らせ』(プレスリリース)KAJIMOTO、2016年12月1日 。2017年5月14日閲覧。
- ^ “ラ・フォル・ジュルネ金沢 終了決定 実行委、独自に新音楽祭 来年から 邦楽、地元参加増やす /石川”. 毎日新聞. (2016年12月8日) 2017年5月14日閲覧。
- ^ “ラ・フォル・ジュルネ、来年度開催は見送り”. 佐賀新聞. (2013年10月7日) 2014年5月6日閲覧。
関連項目
- おとなの時間割『ラ・フォル・ジュルネの旅』(TBSラジオ、2006年11月 - 2007年3月)
- 今日は一日○○三昧(NHK-FM)
- 2006年より2015年まで「今日は一日“ラ・フォル・ジュルネ”三昧」として、2016年以降は「まるっと ラ・フォル・ジュルネ」として、東京国際フォーラムでの公演の一部が生放送または時差放送されている。
- OTTAVA - 毎年、会場より公開生中継をしている。
- 仙台クラシックフェスティバル(ラ・フォル・ジュルネと同様のフォーマットの音楽祭。観客約3万人)
外部リンク
- ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 公式サイト
- ラ・フォル・ジュルネ金沢 公式サイト
- ラ・フォル・ジュルネ新潟 公式サイト
- ラ・フォル・ジュルネびわ湖 公式サイト
- “ラ・フォル・ジュルネ鳥栖 公式サイト”. 2014年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月6日閲覧。
- 株式会社KAJIMOTO公式サイト内 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」 音楽祭 (2005年〜)」過去のポスターが閲覧できる。