127時間

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127時間
127 Hours
127Hours logo.png
監督 ダニー・ボイル
脚本 ダニー・ボイル
サイモン・ボーファイ
原作 アーロン・ラルストン
製作 ダニー・ボイル
クリスチャン・コルソン
ジョン・スミッソン英語版
製作総指揮 バーナード・ベリュー
リサ・マリア・ファルコーネ
フランソワ・イヴェルネル
ジョン・J・ケリー
キャメロン・マクラッケン
テッサ・ロス
音楽 A・R・ラフマーン
撮影 アンソニー・ドッド・マントル
エンリケ・シャディアック[1]
編集 ジョン・ハリス
製作会社 Cloud Eight
Decibel Films
Darlow Smithson Productions
ハンドメイド・フィルムス
フォルム4・プロダクションズ英語版
配給 アメリカ合衆国の旗 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
イギリスの旗 パテ
日本の旗 20世紀フォックス/ギャガ
公開 カナダの旗 2010年9月12日TIFF
アメリカ合衆国の旗 2010年11月5日
イギリスの旗 2011年1月7日
日本の旗 2011年6月18日
上映時間 94分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $18,000,000[2]
興行収入 $57,547,568[2]
2億360万円[3] 日本の旗
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127時間』(原題: 127 Hours)は、ダニー・ボイル監督、脚本、製作による2010年の映画作品である。登山家のアーロン・リー・ラルストンの自伝『奇跡の6日間』(Between a Rock and a Hard Place)を原作としており、ジェームズ・フランコがラルストンを演じる。共同脚本にサイモン・ボーファイ、共同製作者にクリスチャン・コルソンなど、『スラムドッグ$ミリオネア』のスタッフが再結集している。

あらすじ[編集]

2003年4月25日金曜日夜。アーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、ユタ州キャニオンランズ国立公園キャニオニングに出かける準備をしており、妹からの電話も無視して出発した。翌朝彼は自転車で走り、その後は徒歩で目的地を目指した。道中、道に迷っていたクリスティ(ケイト・マーラ)とミーガン(アンバー・タンブリン)の二人と出会い、アーロンはガイドを買って出た。彼はおもしろいものがあると言い、幅の狭い峡谷を通って地下プールへ案内した。3人はそのプールに何度も飛び込んで楽しみ、ビデオカメラでその姿を撮影した。遊び終わった2人は別れ際にアーロンをグリーン・リバー英語版町外れでの明日のパーティに誘い、彼は出席を約束した。しかし、彼女らは本当に彼が来てくれるのか疑問に思った。

アーロンがユタ州中部、グリーン・リバーの町付近一帯のサン・ラファエル・スウェル英語版と呼ばれる地域にある目的地のブルー・ジョン・キャニオン英語版というスロット・キャニオン英語版のキャニオニングを楽しんでいた最中にと共に滑落して、右手が岩と壁の間に挟まれてしまう。アーロンは身動きが取れなくなり、大声で助けを呼んだが周囲に誰も居なかった。アーロン1人の力では岩はびくともせず、岩を削ろうにも持っていた万能ツールのナイフはまるで役に立たなかった。彼はボトル1本のとわずかな食糧で食いつなぎ、そしてビデオカメラに様子を記録し始めた。

岩を崩す試みが無駄とわかると、今度は挟まった自分の右を切り離そうとし始めるが、ナイフは皮膚を切ることすらできないくらい鈍いことがわかる。次にアーロンはナイフを腕に突き刺すが、を深く切れないとわかる。また彼は水を飲み干すとやむ得ず貯めていた自分の尿を飲んでしまう。彼が自分のにゆくのを感じ始めると、ビデオ日記はますます狂っていった。彼は自分の家族、元恋人との思い出、事故前の2人のハイカーのことを夢に見始めるようになる。死を目前にし、彼は、これまでの人生のすべてがこの峡谷での孤独の状態に向かうように運命づけられたのだと悟るのだった。

翌朝(2003年5月1日木曜日)には自身は死んでいるだろうと思ったが、夜明けにまだ生きていた。その後、すぐに「挟まった腕をねじって力を加えることで、前腕部の二本の骨(尺骨と橈骨)を折ることができるのではないか」と直感して実行に移したが、彼の持っていた15ドルの懐中電灯を買った時におまけで貰ったナイフが短かったので切断には1時間程かかった。

腕の切断に成功した後、長く留まっていた狭い渓谷を脱出して垂直の壁を片手で懸垂下降し、真昼の太陽の降り注ぐ中、渓谷を歩き通した。車を駐車したところまで8km程離れていたのだが、オランダから休暇に来ていたエリク&モニクのマイヤー夫妻とその息子アンディに遭遇した。彼らはラルストンに水を与えて救助を要請するために急いで移動したが、偶然にもラルストンを探していたレスキュー隊がヘリコプターで着陸し救助されたのだった。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
アーロン・ラルストン ジェームズ・フランコ[4] 加瀬康之
クリスティ・ムーア ケイト・マーラ[4] 峯香織
ミーガン・マックブライド アンバー・タンブリン[4] 平野夏那子
ラナ クレマンス・ポエジー[4] 小林沙苗
ソニヤ・ラルストン リジー・キャプラン[5] 川島悠美
ドナ・ラルストン ケイト・バートン英語版[4] 新田万紀子
ラリー・ラルストン トリート・ウィリアムズ[4] 中村浩太郎

事実との差異[編集]

映画の序盤でラルストンが2人のハイカーを秘密の天然プールに案内し、飛び込む場面があるが、ラルストン本人は「峡谷には常に危険が潜んでいる(からそのようなことはしていない)」と、事実ではないと述べている[6]。だがこのような変更点はあるものの、残りの部分についてはドキュメンタリーに近いほど正確であるとラルストンは評している[7]

製作[編集]

ダニー・ボイルは4年間にわたってラルストンの遭難映画を作りたがっていた[8]。当初はドキュメンタリー映画としての製作が予定されていたが、ボイルはドラマ仕立てでの映画化を提案した[9]。ボイルが映画のトリートメントを書き、そしてサイモン・ボーファイがスクリーンプレイを執筆した[10]。ボイルは本作を「動かないアクション映画」と説明した[11]

2009年11月、『ニュース・オブ・ザ・ワールド』はボイルがラルストン役にキリアン・マーフィーを希望していると報じた[12]。2010年1月、ラルストン役はジェームズ・フランコに決定した[13]

撮影は2010年3月にユタ州で始まった[13]。撮影にはフィルム用、スチル用、デジタルの3種類のカメラが使われた[9]。ボイルはダイアログ無しでフィルムの最初部分を撮るつもりだった[8]。2010年6月17日までには既にポストプロダクションに入っていた[14]

公開[編集]

2010年のテルライド映画祭トロント国際映画祭で上映された[15]。2010年10月28日にはロンドン映画祭のクロージング作品として上映された[16]。アメリカ合衆国では2010年11月5日に限定公開された[17]。日本では2011年6月に20世紀フォックスギャガの共同配給で公開された[18]

テルライド映画祭、トロント国際映画祭ではジェームズ・フランコ演じるラルストンが自らの腕を切り落とすシーンが映し出されると、鑑賞中に気を失ったり発作を起こした観客が数名居たことが報じられた[19][20][21]。オランダでもプレス試写中気を失う者が居た[22]

評価[編集]

『127時間』は多くの批評家から称賛された。Rotten Tomatoesでは202人のプロの評論家のうち93%が肯定的な論評をし、平均点は10点満点で8.2点であった[23]。更に同サイトのTop Criticsの中では、32のレビューで91%の支持を得た[24]。またMetacriticでは37のレビューで100点満点中87点だった[25]。『シカゴ・サンタイムズ』のリチャード・ローパーは映画を「A」とし、フランコの完璧な演技はオスカーノミネートに値すると述べ、「過去十年間のベスト作品の一つ」と評した。また、ロジャー・イーバートは4つ星満点を与えた[26]

受賞とノミネート[編集]

サウンドトラック[編集]

出典[編集]

  1. ^ Caranicas, Peter (2010年10月26日). “Boyle hikes up number of d.p.'s on '127 Hours'”. Variety. http://www.variety.com/article/VR1118026341.html?categoryid=3683&cs=1. 
  2. ^ a b 127 Hours (2010)”. Box Office Mojo. 2011年6月22日閲覧。
  3. ^ キネマ旬報」2012年2月下旬決算特別号 211頁
  4. ^ a b c d e f Sciretta, Peter (2010年8月24日). “Movie Trailer: Danny Boyle's 127 Hours”. /Film. http://www.slashfilm.com/2010/08/24/movie-trailer-danny-boyles-127-hours/ 2010年8月27日閲覧。 
  5. ^ Indrisek, Scott (2010年4月27日). “Lizzy Caplan on 'Party Down' and Her 'True Blood' Nude Scenes”. BlackBook. http://www.blackbookmag.com/article/party-downs-lizzy-caplan-is-back-with-bangs/18215 2010年7月1日閲覧。 
  6. ^ “アカデミー賞ノミネート作品に見る嘘と隠された秘密に迫る”. MovieWalker. (2011年2月24日). http://news.walkerplus.com/2011/0224/7/ 2011年6月22日閲覧。 
  7. ^ Barkham, Patrick (2010年12月15日). “The extraordinary story behind Danny Boyle's 127 Hours”. The Guardian (ロンドン). http://www.guardian.co.uk/film/2010/dec/15/story-danny-boyles-127-hours 2011年4月14日閲覧。 
  8. ^ a b Thompson, Anne (2009年11月6日). “Nine Things I Learned at BAFTA's Brittania Awards”. indieWire. オリジナル2010年6月19日時点によるアーカイブ。. http://www.webcitation.org/5qb0XsnxN?url=http://blogs.indiewire.com/thompsononhollywood/2009/11/06/bafta_brittania_awards_stiller_mcgregor_douglas_schwarzenegger_blunt/ 2010年6月19日閲覧。 
  9. ^ a b “注目映画紹介 :「127時間」 命の限界に迫る孤独な戦い ジェームズ・フランコの名演光る”. まんたんウェブ. (2011年6月17日). オリジナル2011年6月22日時点によるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2011-0622-2243-33/mantan-web.jp/2011/06/17/20110617dog00m200013000c.html 2011年6月22日閲覧。 
  10. ^ Fleming, Mike (2009年11月4日). “Boyle, Searchlight Firm Mountaineer Tale”. Variety (Reed Business Information). オリジナル2009年11月9日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091109102900/http://weblogs.variety.com/bfdealmemo/2009/11/boyle-searchlight-firm-mountaineer-tale.html 2010年6月19日閲覧。 
  11. ^ Jury, Louise (2010年8月13日). “Danny Boyle's latest movie boosts London Film Festival”. London Evening Standard. http://www.thisislondon.co.uk/film/article-23866813-danny-boyles-latest-movie-boosts-london-film-festival.do#readerComments 2010年8月15日閲覧。 
  12. ^ Colin, Robbie (2009年11月15日). “Tale of climber who amputated his own arm”. News of the World. オリジナル2010年6月19日時点によるアーカイブ。. http://www.webcitation.org/5qaydKrPg?url=http://www.newsoftheworld.co.uk/showbiz/598263/Tale-of-climber-who-amputated-his-own-arm.html 2010年6月19日閲覧。 
  13. ^ a b Siegel, Tatiana (2010年1月6日). “James Franco puts in 'Hours'”. Variety (Reed Business Information). http://www.variety.com/article/VR1118013420.html?categoryid=13&cs=1 2010年6月19日閲覧。 
  14. ^ Kemp, Stuart (2010年6月17日). “Boyle, Daldry to oversee Olympic ceremonies”. The Hollywood Reporter (e5 Global Media). オリジナル2010年6月19日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100619005703/http://www.hollywoodreporter.com/hr/content_display/news/e3idc38443dc8d2ef1ad6600ba950f63143 2010年6月19日閲覧。 
  15. ^ 127 Hours”. Toronto International Film Festival (2010年). 2010年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月28日閲覧。
  16. ^ Brooks, Xan (2010年8月13日). “Danny Boyle's 127 Hours to close London film festival”. The Guardian. オリジナル2010年8月27日時点によるアーカイブ。. http://www.webcitation.org/5sHk7mqoB?url=http://www.guardian.co.uk/film/2010/aug/13/danny-boyle-127-hours-festival 2010年8月27日閲覧。 
  17. ^ Fischer, Russ (2010年7月30日). “Fox Searchlight Sets November 5th Release Date For Danny Boyle's '127 Hours'”. /Film. http://www.slashfilm.com/2010/07/30/fox-searchlight-sets-november-5-release-date-for-danny-boyles-127-hours/ 2010年8月5日閲覧。 
  18. ^ “『スラムドッグ$ミリオネア』のスタッフが再結集。『127時間』の日本公開が決定”. ぴあ. http://cinema.pia.co.jp/news/0/41830/ 2011年6月22日閲覧。 
  19. ^ Nemiroff, Perri (2010年9月7日). “Danny Boyle's '127 Hours' Labeled "Too Intense" After Medics Called to Screenings”. Cinematical.com. オリジナル2012年6月30日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20120630185809/http://blog.moviefone.com/2010/09/06/danny-boyles-127-hours-too-intense/ 2010年9月6日閲覧。 
  20. ^ “Audience faints at 'realistic' amputation film”. (2010年9月15日). http://www.theage.com.au/entertainment/movies/audience-faints--at-realistic-amputation-film-20100915-15bpo.html?autostart=1 2010年9月15日閲覧。 
  21. ^ “ダニー・ボイル監督の最新作、衝撃的なシーンに気を失う観客も!”. シネマトゥデイ. (2010年9月16日). http://www.cinematoday.jp/page/N0026951 2011年1月25日閲覧。 
  22. ^ “Vrouw onwel tijdens persvoorstelling”. (2010年12月29日). http://nos.nl/artikel/208274-vrouw-onwel-tijdens-persvoorstelling.html 2011年1月12日閲覧。 
  23. ^ 127 Hours”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2011年6月22日閲覧。
  24. ^ 127 Hours Reviews: Top Critics”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2011年1月25日閲覧。
  25. ^ 127 Hours (2010): Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2010年12月12日閲覧。
  26. ^ Ebert, Roger (2010年11月10日). “127 Hours :: rogerebert.com :: Reviews”. Chicago Sun-Times. http://rogerebert.suntimes.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20101110/REVIEWS/101119996 2010年11月14日閲覧。 

外部リンク[編集]