高銀

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高銀
ポーランドにて(2009年10月)
各種表記
ハングル 고은
漢字 高銀
発音: コ ウン
日本語読み: こう ぎん
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高 銀(コ・ウン、1933年8月1日 - )は、韓国詩人作家。本名は高 銀泰(コ・ウンテ、고은태)。

2015年現在、詩作が27ヶ国語に翻訳されており[1]、韓国の報道機関では2002年ごろからノーベル文学賞候補者」として毎年候補者に名を挙げられている[2][3]

来歴[編集]

1933年、全羅北道群山(現群山市)に生まれる。群山中学校中退。1952年、慶尚南道の古刹海印寺に入山し、一超という法名を授かる。僧侶生活を送るなか、1958年に「肺結核」を発表した。1960年、初の詩集「彼岸桜」を発表。直後に還俗し、本格的に作家活動を開始する。

創作活動の一方で社会活動にも参画し、朴正煕政権下の1970年代には、当時獄中にあった金芝河の救援活動を行うなど、民主化運動に取り組む中で複数回にわたって投獄され、拷問によって片耳の聴覚を失った(その後の手術により回復)。

1980年には金大中(当時は在野の民主化運動家)らとともに国家保安法違反で逮捕され、懲役10年の判決を受けた。1982年、刑の執行停止で出獄した後も韓国論壇を代表する存在として投獄中の作家や芸術家の釈放運動に取り組んだ。1988年、『創作と批評』誌の万海文学賞を受賞。現在まで南北朝鮮の作家や芸術家の交流に力を入れており、南北作家会談の代表団長も務めている。韓国芸術総合学校で教鞭もとる。

2000年6月の南北首脳会談の際には金大中大統領に同行し、南北両首脳の前で統一への思いを詠んだ詩を朗読した。また2014年には京畿道水原市に建立された慰安婦像の除幕式に出席し、詩を捧げた[4]

2017年には朴槿恵政権を退陣させて、積弊精算を公約とする文在寅新大統領を生んだろうそく集会[5]に積極参加し、それに関わる詩も発表していたことで韓国では今年こそと期待されていた。韓国ではノーベル賞発表まで、度々騒がれている韓国文学を代表する人物として尊敬されていた[6]

しかし、2017年末に女性詩人のチェ・ヨンミ韓国語版が新しく発表した詩作の中で、高銀の名前を「ウン」と隠しながら、かなり前から常習的なセクハラを行っていたことを告発した。チェは「彼(高)は常習犯であり、彼による被害を受けたことやセクハラを目撃したことが複数回ある。被害者が数え切れないほど多い。」と暴露した。別の男性詩人は同月7日の深夜頃に自分のフェイスブックで、高銀の罪を知っておきながら韓国文学のトップに祭り上げたマスコミや文学関係者なども共犯だと韓国自体の問題であると批判した[7][8]。この事件を受け、ソウル市ソウル図書館内に設置された、高銀の書斎を再現する空間「万人の部屋」の撤去を決定した[9]

文学賞受賞歴[編集]

  • 1974年 第1回 韓国文学賞
  • 1989年 第3回 萬海文学賞
  • 1992年 中央文化大賞
  • 1993年 第1回 大山文学賞
  • 1998年 第1回 萬海詩文学賞
  • 2004年 第18回 丹斎賞
  • 2005年 第10回 ヌッポム統一賞
  • 2006年 第3回 シカダ賞
  • 2007年 第5回 永郎詩文学賞
  • 2007年 グリフィン詩賞(en) 生涯功労賞
  • 2008年 大韓民国芸術院賞 文学部門賞
  • 2011年 アメリカ・アワード(en)
  • 2014年 ストルガ詩の夕べ金冠賞
  • 2014年 北南国際文学賞
  • 2017年 国際詩人賞(Fondazione Roma)

栄典[編集]

  • 2002年 銀冠文化勲章
  • 2005年 ビョルンソン勲章
  • 2011年 済州島 名誉島民証

日本語訳[編集]

自著[編集]

  • 『祖国の星 高銀詩集』(新幹社草風館、1989年)
  • 『華厳経』(御茶の水書房、1995年)
  • 『「アジア」の渚で 日韓詩人の対話』(吉増剛造共著、藤原書店、2005年)
  • 『高銀詩選集 いま、君に詩が来たのか』(藤原書店、2007年)
  • 『韓国三人詩選』(金洙暎・金春洙共著、彩流社、2007年)
  • 『詩魂』(石牟礼道子共著、藤原書店、2015年)

寄稿[編集]

  • 「民族文学の行方」(金学鉉編「第三世界と民衆文学 韓国文学の思想」所収、社会評論社、1981年)
  • 「世紀末の精神的指向もとめ苦悩する時」(李恢成編「時代と人間の運命」所収、同時代社、1996年)
  • 「東アジアにおける自然と文学を考える」(山里勝己編「自然と文学のダイアローグ」所収、彩流社、2004年)
  • 「海の華厳」(日野原重明編「いのちの叫び」所収、藤原書店、2006年)
  • 「韓国のまなざし.ささやかな省察」(結城正美編「「場所」の詩学 環境文学とは何か」所収、藤原書店、2008年)
  • 「東アジア言語の広場のために」(石崎晴己編「21世紀の知識人 フランス、東アジア、そして世界」所収、藤原書店、2008年)
  • 「青空」(佐川亜紀編「地球は美しい 日韓環境詩選集」所収、土曜美術社出版、2010年)
  • 「ある隣人の衷心」(藤原書店編集部編「3・11と私 東日本大震災で考えたこと」所収、藤原書店、2012年)
  • 「詩を探し求める鄭喜成、十年の苦闘」(鄭喜成著「詩を探し求めて 鄭喜成詩選集」所収、藤原書店、2012年)
  • 「あなたは“友”です」(藤原書店編集部編「われわれの小田実」所収、藤原書店、2013年)
  • 「現在の東アジアをどうみるか」(小倉紀蔵編「日韓関係の争点」所収、藤原書店、2014年)
  • 「新しい時代の文学」(富岡幸一郎編「文学の再生へ 野間宏から現代を読む」所収、藤原書店、2015年)
  • 「「アジア」はあるか」(藤原書店編集部編「「アジア」を考える 2000〜2015」所収、藤原書店、2015年)

脚注[編集]

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外部リンク[編集]