重言

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重言(じゅうげん、じゅうごん)は、「から落馬する」のように、日本語での同じ意味の語を重ねる修辞技法二重表現重複表現ともいう。

「巨大」「重複」「表現」など類義の漢字を重ねた熟語は、重言としないことがある。ただし、同じ漢字を重ねた「悠々」などの熟語を、畳語の類義語として重言ということがある。

一般的には好ましくない語法とされるが、意識的に用いられる場合もある。

また、言葉の意味の変化とともに二重表現とされなくなってきた例もある。さらに「きつねうどん」のように、地域によって正誤の差がある場合もある。

二重表現の例[編集]

一般に好ましくないとされるもの[要出典][編集]

  • 修飾語が不要なもの
    • 馬から落馬[1]
    • 馬に乗馬/○○に乗車
    • 公に公表する
    • お金を入金する/お金を出金する
    • 水で冠水
    • 被害を被る
    • 後で後悔する(「後で」は「時がたてば」の意味で使われているが、重言的に聞こえる)[2]
    • 天皇の勅使
    • 日本に来日する、アメリカに渡米する
    • まだ未完成/まだ時期尚早[2]
    • 今の現状
    • 必ず必要
    • 若くして夭折
    • 期待して待つ[2]
    • 余分な贅肉
    • あらかじめ予約する
  • 被修飾語が不適なもの
    • 訃報を伝える/訃報を知らせる[2]
    • 頭痛が痛い[1]
    • 犯罪を犯す
    • 返事を返す[2]
    • 尽力を尽くす
    • 射程距離(射程の「程」は距離の意味)[3][2]
    • 古来より[2]
    • 沿岸沿い[2]
    • 各○○ごと[2]
    • EBM(Evidence Based Medicine)に基づく
    • 危険が危ない
    • 今朝の朝刊
  • 外来語との重複
    • 思いがけないハプニング
    • 昼食のランチ
    • 生ライブ(ライブの録画との対比で使われるなら重言とは言えない)
    • 製造メーカー
    • ヒットを打つ(「放つ」が好ましい)

慣例上許容されているもの[要出典][編集]

  • 強調の意味を持つ重複
    • 一番最初/一番最後
    • 最後の追い込み
  • すでに使用が定着しているもの
    • 被害を受ける
    • 旅行に行く
    • 過半数を超える
    • そもそもの発端
    • 事前予約
    • 防犯対策
  • 外来語との重複
    • 排気ガス(「排ガス」と同意)[2]
    • チゲ鍋
    • シェリー酒 - sherryだけで「酒」の意味をふくむ。「ウィスキー酒」と言うようなもの。
    • ラム酒- rumだけで「酒」の意味をふくむ。
    • ランキング順位
    • ハングル文字(「グル」は朝鮮語で「文字」の意味)
    • マスケット銃 - Musketは英語で銃であることも意味している。
    • クーポン券 - フランス語couponに「券」の意味が含まれる。
  • 外来語と外来語の重複
    • ワインビネガー -「ビネガーvinegar」の語源的意味は「すっぱい(egar) ワイン(vin)」。しかし英語でもwine vinegarは普通に使われている。
    • サルサソース - 「サルサ(salsa)」はスペイン語で「ソース」。
    • マグカップ - 「マグ」にカップの意味がある。
    • ガードマン - guardに「警備員」の意味があるので「マン」は重複。
    • フラダンス -「フラ」はハワイ語で「ダンス」の意味。
  • 固有名詞

古典[編集]

浄瑠璃鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』(近松門左衛門作、1717年初演)で重言という言葉が使われている。この作品に何度か出てくる「馬から落ちて落馬」というフレーズは有名で、典型的な重言の例として頻繁に言及される。

の駒にもけつまづき、馬から落ちて落馬いたしたと、片言やら重言やら

これが現代にも伝わり、「古の昔、武士の侍が―」と頭に挿入される言葉遊びになった。

荘子の「重言」[編集]

荘子は、自著『荘子』にて寓言、重言、卮言という3つの文章術を提示したが、ここでいう重言とは古の偉人の言葉を引用して説得力を増す話法を指し、同義語の重複表現とは無関係である。

その他[編集]

長嶋茂雄が現役引退時のスピーチで「我が巨人軍は永久に不滅です」と重言を含む言葉を残している。

脚注[編集]

  1. ^ a b これらはよく用いられる冗句でもある。
  2. ^ a b c d e f g h i j "慣例上許容されているもの"の"すでに使用が定着しているもの"にも分類される。
  3. ^ 但し慣用的に多用されており、軍事用語としても認知されている。
  4. ^ 村上春樹は『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』(マガジンハウス 2012年p.197)の「今週の村上」の中で“「シティバンク銀行」って、看板を見るとつい声に出して読んでしまう僕は変だろうか?”と述懐している。
  5. ^ 過去、これに類似した名称として、アイワイバンク銀行(現:セブン銀行)というのが存在したが、現銀行名への改称により、重言状態は解消された。

関連項目[編集]