触肢

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触肢(pedipalp)とは、節足動物のうち鋏角類に特有の器官、鋏角と第一歩脚の間に付く頭胸部の第二付属肢である。

大顎類との関係[編集]

大顎類(多足類甲殻類六脚類)の持つ大顎相同な器官と考えられるが、遺伝子分析により甲殻類の第二触角と相同であるとの説もある。

概要[編集]

触肢は6節で構成され、カブトガニの場合は歩脚と一致、クモ綱の場合は7節の歩脚より一節少ない(前符節を欠く)。カブトガニ綱など原始的な鋏角類の触肢は分化せず、歩脚として使われることが多いが、クモ綱の触肢は顕著に歩脚から分化し、ほとんど歩行に使わず、感覚や捕食器官としての役割を果たす。

また、複雑な口器を持つ大顎類と違い、鋏角類の口器となる附属肢は鋏角しかなく、口は鋏角と触肢の間にあるため、触肢基部(基節)は食事を補助する突起を持つことが多い。クモは触肢基節に下顎と呼ばれる突起を持ち、ザトウムシカブトガニは更に特化し、歩脚の基節まで加えて餌を咀嚼できる構造となる。

カブトガニ綱の触肢[編集]

カブトガニの触肢は歩脚から分化せず、ほぼ同一の外見を持ち、形態学的にも第一脚として扱われることが多い。ただし雄の場合は次の歩脚と共に先端が肥大する(アメリカカブトガニは触肢のみ)。ウミサソリの場合も同様だが、ミクソプテルスなど隣接した歩脚と共に捕脚状になる種もある。

このため、カブトガニ綱についての説明では "鋏角1対・歩脚5対" として書かれることが多い(クモ綱などの場合は "鋏角1対・触肢1対・歩脚4対" となる)。

クモ綱の触肢[編集]

  • コヨリムシの触肢は歩脚と同じく歩行用で、残り全ての分類群では捕食や感覚器官などの功能を持つ。
  • クモの触肢は短い歩脚状の感覚器官であるが、雄の場合は同時に交接用の器官でもあり、先端に精液を蓄える複雑な構造を持つ。
  • サソリカニムシの場合、触肢は捕食器官であり、立派な鋏状となる。ウデムシヤイトムシは同じ役割で鎌状となり、サソリモドキは前後両者を合わせた形となる。
  • ヒヨケムシの触肢は発達した歩脚状で先端に吸盤を持ち、感覚器官であると同時に捕食にも使い、平滑な表面に登るなど多くの役割を持つ[1]
  • ザトウムシの触肢は主に歩脚状で、鎌状の捕食器官となる種もある。イトグチザトウムシ科(Nemastomatidae)に属するMitostoma chrysomelasは長い歩脚状の触肢表面にモウセンゴケのような粘毛を持ち、トビムシなども捕まえる[2]

脚注[編集]

  1. ^ Holm, Erik; Dippenaar-Schoeman, Ansie (2010). Goggo Guide: The arthropods of southern Africa. Pretoria: LAPA Publishers. ISBN 0799346896.
  2. ^ soil-dwelling harvestmen use viscoelastic fluids for capturing springtails

関連項目[編集]