西鉄9000形電車

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西鉄9000形電車
9002F
9002F
基本情報
製造所 川崎重工業
主要諸元
編成 2両編成 (Mc-Tc2)
3両編成 (Tc1-M-Tc2)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
編成定員 2両編成 248人(座席80人)
3両編成 386人(座席128人)
車両定員 先頭車 124人(座席40人)
中間車 138人(座席48人)
車両重量 36.3t(Mc)
34.6t(M)
27.2t(Tc2)
26.0t(Tc1)
編成重量 2両編成 63.5t
3両編成 87.8t
全長 19,500 mm
車体長 19,000 mm
全幅 2,760 mm
車体幅 2,714 mm
全高 4,091 mm
パンタグラフ搭載車4,165 mm
車体高 3,715 mm
パンタグラフ搭載車3,690 mm
主電動機 全閉型誘導電動機(全閉IM)
主電動機出力 175kW
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比 6.21
編成出力 700kW
制御装置 SiCハイブリッドモジュール素子採用IGBT-VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
純電気ブレーキ
保安装置 西鉄型ATS
備考 出典:交友社『鉄道ファン 2017年1・6月号』
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車内(9301)

西鉄9000形電車(にしてつ9000けいでんしゃ)は、西日本鉄道西鉄天神大牟田線用の通勤形電車

概要[編集]

天神大牟田線の主力車両である5000形の代替として[1]製造された車両で、西鉄では3000形以来11年ぶりの新形式車両である。

制御装置にSiC素子を適用したVVVFインバータを採用したことに加え、前照灯・尾灯・車内照明など、すべての照明装置をLED化した[1]。これにより、消費電力量は5000形との比較で約半分に抑えられている[1]

車両構造[編集]

車体[編集]

車体は3000形と同様のステンレス車体[2]で、組み立てにはレーザー溶接を採用している。前頭部のみ、事故時の補修に備え、保守が容易な普通鋼製[2]である。

7050形と同様、両開き扉を片側3か所に配置し、扉の間に大型窓2枚を配置している。側面窓は西鉄初のUVカットガラスを採用しているが[1]、従来車と同様にロールカーテンも設置されている[3]。前頭部は7000形以降の従来車と同様に貫通形で、前面窓が両側とも側面まで回り込んだパノラミックウインドウである。前照灯尾灯は従来車と同様、前面窓下の左右に配置されているが、本形式では前照灯と尾灯が縦一列に並べられている。

車体色は無塗装ステンレス地(前頭部は銀色地)とし、車体側面窓下と側面上部にはロイヤルレッド[1]の帯を入れている。車体前面部もロイヤルレッドに塗装されている。行先表示器は前面・側面とも、従来の幕式に代わり、西鉄では初となる4言語表示フルカラーLED表示器が採用されている[1]

台車・機器[編集]

台車は1999年以来の新製車に採用されている川崎重工業製空気ばねボルスタレス台車で、ユニットブレーキとし、滑走防止検知装置を設置して増粘着材噴射装置を廃止するなどの変更を行い、動力台車がKW-161C、付随台車がKW-162Cとなっている[4]。3000形と同様、3両編成の大牟田側制御車(ク9000)は電動車化が可能となるよう、電動機未装備の動力台車とされている[4]

走行機器の誘導電動機・VVVFインバータ・SIV東芝製で、VVVFインバータとSIVはSiC素子(ハイブリッドSiCモジュール)を採用したインバータとなった。

また、3000形で実績のあるトリプルモードを、本形式では全編成に搭載している。3000形と同様、通常走行時の1C2M-VVVF制御の他、1C4M-VVVF制御、CVCF (SIV) 制御の3つのモードを制御ユニットに持たせることによって、インバータ1群故障時、またはSIV故障時においても切り替え健全なインバータユニットを活用し、起動加速度2.5km/h/sを維持しての営業運転が可能となっている。

パンタグラフは、電動車(2両編成の大牟田方先頭車と3両編成の中間車)に3000形と同型のシングルアーム式[5]のものを2基設置している。冷房装置についても、3000形と同様の集中式となっている[5]

車内[編集]

座席は全席ロングシートで、1人あたりの座面幅は470mm[1]と、5000形に比べ20mm拡大されている。そのため扉間の座席は9人掛けに、車端部の座席は4人掛けになった(5000形・7050形は扉間10人掛け、車端部5人掛け)。着座時の立ち上がりやすさを改善するため、座面の傾斜角は3度から6度に拡大されている。扉間座席の中間部のスタンションポールは7050形や5000形更新車では1本ずつであったが本形式では2本ずつとなったほか、本形式では車端部の座席の中間部にもスタンションポールを設けている。このためスタンションポールの数は先頭車9本、中間車11本となった[1]。座席端部の袖仕切りは事故時の安全性向上のため7000形・7050形に比べ大型化され[3]、ガラス製となった[1]。また、本形式では車椅子・ベビーカー優先スペースが中間車も含め全車両に1か所ずつ設置されている[1]

本形式では床敷物が中央通路部に柄を入れた敷物となっている[1][3]。この敷物の柄は水の流れをデザインしたもので[3]、着席時に足を前方に投げ出すことを防ぐ心理的な効果も狙っている[3]

3000形と同様、車両間の連結面の貫通路にも扉を設けている。これまで西鉄では連結面に窓を設けていたが、本形式では連結面の窓が廃止されたため、閉塞感を出さないよう、連結面の貫通扉はガラス製となっている[3]

出入口の戸袋部や足元には注意喚起のため黄色の線を入れているほか、扉上部には扉の開閉動作中に点滅する動作ランプを設置している。出入口上の鴨居部には各種案内や広告を表示する17インチ液晶ディスプレイを2つずつ設置しており、うち1つは広告用、もう1つは案内用となっている[5]

室内灯は上述のとおり従来車の蛍光灯ではなくLEDとなっている。

形式番号・編成[編集]

以下の各形式がある。編成ごとに車両番号の末尾2桁の数字は統一されている[2]

  • ク9000 - 3両編成の大牟田方先頭車、制御車、SIV(三相交流200V、60Hz、120kVA)設置
  • モ9100 - 2両編成の大牟田方先頭車、制御電動車、パンタグラフ2基、SIV(三相交流200V、60Hz、120kVA)設置
  • モ9300 - 3両編成の中間電動車、パンタグラフ2基
  • ク9500 - 福岡(天神)太宰府方先頭車、制御車

編成は以下のようになっている。

← 大牟田
福岡(天神)
太宰府 →
末尾の番号
90xx
(Tc1)
93xx
(M)
95xx
(Tc2)
01・02・06・07・08
91xx
(Mc)
95xx
(Tc2)
  03・04・05・09・10

製造・運用[編集]

2016年度に3両編成2本・2両編成2本の計10両が[1]、2017年度に3両編成2本・2両編成1本の計8両が導入された[1]。2016年度の増備車は2017年3月18日に試乗会を行い、3月20日に9001F+9103Fが、3月30日に9002F+9104Fが運用を開始した。2017年度の増備車は9105Fが5月26日、9006Fが5月27日、9007Fが5月31日に運転を開始した。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 杉山明央「西日本鉄道9000形」『鉄道ファン』通巻674号、交友社、2017年6月、 85-89頁。

外部リンク[編集]