西鉄500形電車 (軌道)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

西鉄500形電車(にしてつ500かたでんしゃ)は、かつて西日本鉄道(西鉄)で使用されていた路面電車車両の一形式である。

両形式は同時に存在した時期があるが、製造経緯、車両構造がまったく異なっており、相互の関連性はない。

福岡市内線500形とほぼ同一形態の551形・561形についても本記事で記す。

福岡市内線500形・551形・561形[編集]

福岡市内線時代の561形578
博多駅前電停 1958年頃)

戦時中の輸送力増強および、老朽化した木造2軸車の置き換えを目的に1944年から1948年にかけて30両(501~520・551~560)が日本車輌汽車会社で製造された。501~520は日本車輌製、551~560は汽車会社製である。手続き上は木造2軸車の改造名義となっている。

車体は全長11m、前面3枚窓で、側面両端に折り戸を配置し、扉間に上段固定下段上昇式の窓を9枚配する。台車はボギー式日本車輌C-10・汽車LHの2種類がある。主電動機は当初、木造2軸車のものを流用し、22.4kW×2個と14.9kW×4個のものがあったが、のちに新製の37.3kW×2個に統一した。

主要機器を廃車から転用するため501~520は高床式としたが部品が揃わず、福岡市内線に登場したのは1946年になってからである。部品を転用したのは一部にとどまり、後に全車新品の部品に揃えられた。

500形に続き、1948年から1951年にわたり、ほぼ同設計の561形(561~608)が日本鉄道自動車近畿車輛・日本車輌・日立製作所で製造された。車体形状や性能は500形とほぼ同一だが、台車はK-10に変更されている。なお601~608は北九州線600形と番号が重複している。

1960年から窓枠の金属化や蛍光灯化などの近代化改装が施され、1968年から1970年にかけてワンマンカーへの改造が行われた。

1975年の福岡市内線一部廃止で553~560の8両が廃車となり、561~593がツーマン車の置き換えのため北九州線へ移籍した。残った501~520・551・552・594~608は1979年の全線廃止ですべて廃車となった。北九州線へ移った33両は転属時に主電動機を45kW(北九州線の廃車発生品)のものに取り替え、在来車と性能を統一されたが、車重が比較的軽いため逆に速度が高くなる結果となった。のちに一部の車両は前照灯・尾灯・方向幕の大型化、前面窓の拡大、側面窓の上段固定窓のHゴム支持化(いわゆる「バス窓」への改造)など、600形と同様の更新工事を施工された(574はシールドビーム2灯化も実施されたが、雨どいが前面にまで回りこんでいるスタイルのため600形とは違った印象を受ける)。転属後、1982年に588が自動車ダンプカー)との衝突事故により廃車、1985年の北九州線一部廃止前に565・568・585が余剰廃車となり、1985年の一部廃止時に567・569・570・574・590を残して他の車両は全車廃車となった。残った5両のうち574以外は1992年の北九州線大幅廃止の際に廃車となっている。最後まで残った574も、その翌年の1993年に余剰となり廃車された。

廃車後に一部の車両は保存されたが、現存するのは私設団体が保有する507と、壱岐市松永安左エ門記念館に保存されている516のみである。他社への譲渡車はない。

北九州線500形[編集]

広島電鉄600形601(2代目)
(元・西鉄北九州線503)

戦後の北九州線の混雑緩和を目的に1948年に501~510の10両、翌年に張り上げ屋根とした511・512の2両が汽車会社で製造された。この形式は運輸省規格型で、横浜市電1300形)、大阪市電1711,1751形)など、他の事業者にも同型の車両が配置された。番号は福岡市内線500形と重複するが、車体も機器類も全く別である。

車体は全長13.6mの大型車体で、両端に折り扉、中央部に両開き扉を設けた3扉で、扉間に5枚の上段固定下段上昇窓を配するものであった。電動機出力は他車より低出力の37.3kWであったが、1950年に他車と同じ45kWに変更している。

車体長さが他車に比べて長く、門司市内の広石付近の急カーブで500形同士がすれ違う際に接触する事故を起こしたため、1953年に車体前部を絞る改造を行い、急カーブ区間への運用の問題を無くし、同時に中扉を埋め込んで両端2扉としている。

北九州線では1970年から車両のワンマン化を行っていたが、500形は車体長が問題となりワンマン化はされなかった。

福岡市内線の一部廃止による車両の転入で、1976年から1977年にかけて全車運用離脱し、広島電鉄に譲渡された501・502・504を除き廃車となった。広島電鉄では600形(601~603)となった。現在、602のみ残っている。保存車はない。

広島電鉄に譲渡された車両については当該記事を参照。

関連項目[編集]

  • 長崎電気軌道200形電車(201・202形) - 福岡市内線561形をもとに、車長を短くして、2.27メートルとして設計し、製造された

参考文献[編集]

  • 『鉄道ピクトリアル』1979年3月号(鉄道図書刊行会)
  • 『復刻版 私鉄の車両9 西日本鉄道』(ネコパブリッシング 飯島巌・谷口良忠・荒川好夫) ISBN 4873662923
  • 『復刻版 私鉄の車両3 広島電鉄』(ネコパブリッシング 飯島巌・青野邦明・荒川好夫) ISBN 4873662869
  • 『福岡・北九州 市内電車が走った街 今昔』(JTB 奈良崎博保) ISBN 4533042074