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男女の賃金差

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
米国における産業別の男女の就労者数と賃金の差(2009年)

男女の賃金差(だんじょのちんぎんさ, gender pay gap, gender wage gap)とは、男性と女性の賃金差であり、OECDでは男性の賃金の何パーセントにあたるか表される[1]欧州委員会では、男女の平均時給の差として定義されている[2]。これが男女差によるものか、ライフスタイルの選択による暗黙の差別なのか(労働時間数、産休による)、それともはっきりとした差別であるのか、これには議論がある[3][4][5]

一般的に、女性は男性よりも低い賃金を受け取ることが多いとされています。

賃金格差の測定には、非調整値調整値の2種類があります[6]

  • 非調整値は、平均的な男性と女性が全体でどれくらい稼いでいるかを示すもので、仕事の種類や労働時間は考慮されません。
  • 調整値は、労働時間職種学歴経験などの違いを考慮し、同じ条件の仕事で男女がどれだけ稼ぐかを示します。

例えばアメリカでは、非調整の平均女性年収は平均男性年収の79~83%ですが、調整後の平均給与では95~99%となっています[7][8][9]

賃金格差の原因には、法的・社会的・経済的要因が関わっています[10]。具体的には、子どもを持つことによる母親ペナルティ(父親ボーナス)、育児休暇性別による差別社会的規範などです。賃金格差の影響は個人の不満にとどまらず、経済生産の減少、女性の年金の低下、学習機会の減少など社会全体への影響も及ぼします。

近年では、医療費負担などの要因も調整後の格差に組み込まれるようになっています。世界銀行は、これらの要素を考慮すると格差はさらに大きくなると指摘しており、従来の研究は男女の賃金格差の大きさを過小評価していた可能性があるとしています[11]

現在、世界全体の男女賃金格差は68.5%です[12]。特に発展途上国(グローバルサウス)では賃金格差の縮小が急速に進んでいます。一方、欧州連合EU)では21世紀に入ってからほとんど変化がなく、アメリカでも概ね横ばいです[13]。ただし2023年には、男性の賃金上昇率が女性より高かったため、全ての年齢層で賃金格差が拡大しました[14][15]

男女の賃金格差は、特に発展途上国では公共政策上の課題となります。格差により経済生産が減少するだけでなく、女性が高齢期に福祉給付に依存しやすくなるためです[16][17][18]

統計

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OECD

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OECDの Employment Outlook 2008年度レポートでは、女性の就業率は大幅に上昇しており、男女の就業率差と賃金差はどの国でも小さくなってきているが、いまだ女性は男性に比べ仕事を得られる機会が平均的に20%低く、賃金も同一労働の男性より17%低くなっている[19]

さらにレポートでは以下のように述べている。

多くの国では、労働市場における差別--すなわち特定のグループに属するというだけで、同一生産性であっても不平等な扱いをうけること--は、いまだ依然として雇用格差と雇用機会の質の向上のための重要な要素である。...Employment Outlookのこの版ではその証拠を挙げる...

...OECD諸国において賃金差の30%は、労働市場における差別的慣行によって説明できることを示唆している[19][20]

2020年において、日本はOECD諸国中で韓国、イスラエルに次いで、3番目に男女の賃金差が大きい[21]

各国の雇用者における男女賃金差[21]

ヨーロッパ連合

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男女の賃金差(ユーロスタット,2014年)[22]

男女の賃金差は、欧州連合レベルでは、その経済全体における平均時給の差として定義される。Eurostatによれば、EU加盟27カ国の平均では17.5%の賃金差が残されていた(2008念)。イタリア、スロベニア、マルタ、ルーマニア、ベルギー、ポルトガル、ポーランドでは10%以下であるが、一方でスロベニア、オランダ、チェコ、キプロス、ドイツ、英国、ギリシャでは20%以上、エストニア、オーストリーでは25%以上であった[22]

英国において、男女の賃金差の要因となる主要ファクターには、パートタイム雇用、教育、雇用主会社の規模、職業上の部門(女性は管理職や高度専門職部門では過小評価される)であった[23]

日本

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厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」によれば、一般労働者の賃金は、男女計304.3千円(年齢42.5歳、勤続12.1年)、男性335.5千円(年齢43.3歳、勤続13.5年)、女性246.1千円(年齢41.1歳、勤続9.4年)となっている。賃金を前年と比べると、男女計及び男性では0.1%増加、女性では0.6%増加となっている。女性の賃金は過去最高となっており、男女間賃金格差(男性=100)は、比較可能な昭和51年調査以降で過去最小の73.4となっている。

雇用者女性の半数以上は非正規雇用であり、出産・育児期に就業率が低下する「M字カーブ」が顕著なことが男女差として現れている。

各国の男女賃金差

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Save the Children State of the World's Mothers report

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en:Save the Children State of the World's Mothers reportによる女性の賃金割合(%)。それぞれの色が男性の平均賃金の5%を表す

International Save the Children Alliance は毎年en:Save the Children State of the World's Mothers reportを公表し、母親と子供の健康状態について統計を行っている。

影響

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脚注

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  1. OECD OECD. Retrieved on July 12, 2011.
  2. European Commission. Gender Pay Gap. Retrieved on August 19, 2011.
  3. Kanter, Rosabeth Moss (4 August 2008). Men and Women of the Corporation. PublicAffairs. ISBN 978-0-7867-2384-3
  4. Office of the White House, Council of Economic Advisors, 1998, IV. Discrimination
  5. Levine, Report for Congress, "The Gender Gap and Pay Equity: Is Comparable Worth the Next Step?", Congressional Research Service, Library of Congress, 2003
  6. genderequality@justice.ie. Gender Pay Gap (英語). www.genderequality.ie. 2025年9月22日閲覧。
  7. 2025 Gender Pay Gap Report (GPGR) | Payscale Research (英語). www.payscale.com. 2025年9月22日閲覧。
  8. Progress on the Gender Pay Gap: 2019 - Glassdoor US (英語). www.glassdoor.com. 2025年9月22日閲覧。
  9. Wayback Machine”. www.aauw.org. 2025年9月22日閲覧。
  10. “[https://ec.europa.eu/eurostat/documents/2995521/7896990/3-06032017-AP-EN.pdf Only 1 manager out of 3 in the EU is a woman… … earning on average almost a quarter less than a man]”. 2025年9月22日閲覧。
  11. Women, Business, and the Law 2024 (英語). World Bank. 2025年9月22日閲覧。
  12. Benchmarking gender gaps, 2024”. 2025年9月22日閲覧。
  13. The gender pay gap situation in the EU - European Commission (英語). commission.europa.eu. 2025年9月22日閲覧。
  14. Peck, Emily (2024年9月11日). The gender pay gap just widened for the first time in 20 years (英語). Axios. 2025年9月22日閲覧。
  15. What You Should Know About the 2023 Gender Wage Gap (英語). Center for American Progress (2024年10月22日). 2025年9月22日閲覧。
  16. Bandara, Amarakoon (2015-04-03). “The Economic Cost of Gender Gaps in Effective Labor: Africa's Missing Growth Reserve”. Feminist Economics 21 (2): 162–186. doi:10.1080/13545701.2014.986153. ISSN 1354-5701.
  17. Klasen, Stephan (2018-10-05). “The Impact of Gender Inequality on Economic Performance in Developing Countries” (英語). Annual Review of Resource Economics 10 (Volume 10, 2018): 279–298. doi:10.1146/annurev-resource-100517-023429. ISSN 1941-1340.
  18. Klasen, Stephan (2018-10-05). “The Impact of Gender Inequality on Economic Performance in Developing Countries” (英語). Annual Review of Resource Economics 10 (Volume 10, 2018): 279–298. doi:10.1146/annurev-resource-100517-023429. ISSN 1941-1340.
  19. 1 2 OECD. OECD Employment Outlook - 2008 Edition Summary in English. OECD, Paris, 2008, p. 3-4.
  20. OECD. OECD Employment Outlook. Chapter 3: The Price of Prejudice: Labour Market Discrimination on the Grounds of Gender and Ethnicity. OECD, Paris, 2008.
  21. 1 2 OECD Employment Outlook 2021, OECD, (2021-10), doi:10.1787/5a700c4b-en
  22. 1 2 European Commission. The situation in the EU. Retrieved on July 12, 2011.
  23. Thomson, Victoria (October 2006). “How Much of the Remaining Gender Pay Gap is the Result of Discrimination, and How Much is Due to Individual Choices?”. International Journal of Urban Labour and Leisure 7 (2) 2012年9月26日閲覧。.

関連項目

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外部リンク

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