犯罪予告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

犯罪予告(はんざいよこく)とは法に触れる行為を行うと予告すること構成される。場所・日時などを特定した爆破予告(en:bomb threat)や、個人名などを名指しした上での殺害予告など(en:death threatも参照のこと)。犯行予告(はんこうよこく)ともいう。

犯罪予告と刑罰[編集]

通常は脅迫罪に問われるが、爆破予告や無差別殺害予告の場合、脅迫の対象が広範囲に及ぶため、警察や対象とされた機関への業務妨害などに問われることもある。詳細に分けると以下のようになる。以下は予告を実行しない場合も犯罪に問われる。

  • 特定の個人を脅迫した場合 - 脅迫罪
  • 嘘の情報などを用いて業務を妨害した場合 - 偽計業務妨害罪
  • 暴力的な表現を用いて業務を妨害した場合 - 威力業務妨害罪
  • 特定の団体がテロを予告した場合 - 破壊活動防止法違反
  • 上記4項目に当てはまらなくても、悪戯目的でやった場合 - 軽犯罪法違反(業務妨害)

最近では、予告によって警備を増強せざるを得なくなったとして、警察に対する偽計業務妨害の容疑で逮捕される例も増えている。また、実在しない場所に対する予告[1]や、犯罪予告であるかのように誤読させる[2][3]といった、文面どおりに読むと実行不可能、または意味がない場合でも罪に問われることがある。

日本における犯罪予告の歴史[編集]

インターネット普及以前[編集]

インターネット普及以前は、相手方に手紙を送りつけるなどして害悪を告知し、脅迫罪に問われた事例が多い(口頭での害悪告知が脅迫罪に問われた事例も多いが、「犯罪予告」の範疇からは外れるものと考える)。

脅迫罪の成立が肯定された例
政治問題について二派の抗争が熾烈になっている時期に、一方の派の中心人物宅に現実の出火もないのに、「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」という趣旨の文面の葉書を送付する行為[4]
脅迫罪の成立が否定された例
「人殺し、売国奴、貴様に厳烈な審判が下されるであろう」と葉書で告知する行為。文面が婉曲であり、何人の手によって害悪が加えられるか全く不明確であるため(名古屋高判昭和45年10月28日刑月2巻10号1030頁)。

インターネット普及後[編集]

旧来の犯罪予告は、予告対象に手紙や電話を送りつける形態だったが、インターネットが普及すると、掲示板サイトウィキサイトなどで犯罪予告が書き込まれる事例が増え、逮捕者も続出している。容疑者は、警察の依頼等でサーバが開示したIPアドレスと、インターネットサービスプロバイダが所有する住所・氏名などの情報から特定される。他人の無線LANからアクセスした書き込みで逮捕されるケースもある。

大きな事件があると、2ちゃんねるに頻繁に書き込まれている殺害・襲撃予告と事件の関連性を関係機関がチェックしているとされる他、警察庁のサイバーフォースが定期的に検索を掛けるようになった。この検索を逃れるために「殺す」を「[2]」、「頃(ころ)す」と当て字にしたり伏せ字にして書き込む者も現れているが、文章内容から殺害予告と判定されることが殆どである。

2008年(平成20年)6月8日秋葉原通り魔事件でも携帯サイトの電子掲示板で予告が行われており、犯行直前までの経過が詳細に実況されていた。この事件以後に同様の通り魔事件が多発したことや、犯罪予告そのものが増加したことにより、犯罪予告への対処が社会全体で重要視されるようになり、いたずら目的も含めて厳重に処罰されるようになった。事件後の3か月間で66人が逮捕されている[5]6月11日には総務大臣増田寛也が犯罪予告の検知を目的としたシステムを開発する意向を示したが、その翌日には矢野さとるによる犯罪予告情報共有サイト「予告.in」が公開された。警察当局は「犯罪予告を閲覧したら110番通報するよう」に、掲示板運営者を通じて呼びかけている[6][7]。 只、一方で「予告.in」の体質(受け入れるだけ受け入れて、あとは何もしないなど)、行き過ぎて言葉狩りへと発展している、などの批判もある[8]

また、殺害予告や襲撃予告に限らず、そのほかにも多種多様な犯罪予告がなされている。たとえば、2010年1月には、「ズボンをはかずにJR山手線に乗ろう。10日午後1時に大塚駅に集合」[9]と呼びかける檄文が、インターネット上に書き込まれた(公然わいせつの予告)。この事態を受け、巣鴨警察署では厳戒態勢を敷き、署長が自ら指揮杖を執り、60名あまりの警察官を率いて巣鴨駅を警戒する騒動となった[9]

2012年には何者かが他人のPCボットウイルスによって操り犯罪予告を行うパソコン遠隔操作事件が起こった[10][11]

海外での事例[編集]

英語圏でも似たような概念は存在し、それらは殺しの脅迫[12](英語版)、殺人脅迫[13]などと訳される。

ウィキペディア上での犯罪予告[編集]

ウィキペディアの特質上、誰でも編集が可能なため、2008年以降大手マスメディアが伝えた日本国内での犯罪予告の投稿は2年間に10件、3人の逮捕者が出ている[14]

なお、ウィキペディア上で犯罪予告を発見した場合は、Wikipedia:管理者伝言板/投稿ブロック#犯罪行為またはその疑いのある投稿に記載されている通り関係機関に通報を行い、混乱を避けるために通報後から対処完了の告知が出るまで該当部分への記述をそのままにしておくようにとのことである。また、ウィキペディアの管理者に通報義務を負わせない、つまり見つけたら即、通報するようにとのことである。

その他の有名な事例[編集]

オバマ大統領暗殺投票
アメリカでは、2009年9月28日、SNSFacebookにてバラク・オバマ大統領を暗殺すべきか問うオンライン投票が実施されていたことが判明し、シークレットサービスが捜査に乗り出す事態にまで発展した[15]。捜査の結果、未成年者による作成だとわかったが、シークレットサービスは作成者と両親を刑事罰に問わないこととした[16]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ “「埼京線」上野駅に殺害予告=「存在しない」と主張 - 32歳男を逮捕・警視庁”. 時事通信. (2008年7月14日). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008071400668 2008年7月15日閲覧。 [リンク切れ]
  2. ^ a b 電子掲示板に、「秋葉原のあの件を再現します」という秋葉原通り魔事件を連想させる題名で、「明日、名古屋駅で無差別に人をします」と書き込んだ少年が逮捕された。“ニュース24時:ネット掲示板に「殺害予告」を書き込んだ疑いで少年逮捕 /愛知”. 毎日新聞. (2008年7月2日). http://mainichi.jp/area/aichi/news/20080702ddlk23040245000c.html 2008年7月15日閲覧。 [リンク切れ]
  3. ^ “「小女子焼き殺す」殺害予告で懲役1年6月求刑”. 産経新聞. (2008年9月24日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080924/crm0809241623027-n1.htm 2008年9月29日閲覧。 [リンク切れ]
  4. ^ 最高裁判所第二小法廷判決 1960年3月18日 、昭和34(あ)1812、『脅迫被告事件』。[リンク切れ]
  5. ^ “「ネット殺人予告」急増、秋葉原事件3か月で66人摘発”. 読売新聞. (2008年9月18日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080917-OYT1T00904.htm 2008年9月20日閲覧。 [リンク切れ]
  6. ^ ひろゆき氏、警察から来た「犯行予告は110番」メールで2chにスレ立て 「直接伝えたほうが早そうだし」”. ITmedia News. ITmedia (2008年6月27日). 2009年5月13日閲覧。
  7. ^ 西村博之 (2008年6月26日). “警視庁から来たメールを張ってみるの巻”. 涙目ニュース速報@2ch掲示板. 2009年5月13日閲覧。
  8. ^ 犯行予告を共有するサイト「予告.in」はもう限界に達している - GIGAZINE”. GIGAZINE (2008年7月31日). 2017年11月3日閲覧。
  9. ^ a b asahi.com(朝日新聞社):「ズボンはかず山手線に乗ろう」 ネット書き込みで警戒 - 社会朝日新聞社2010年1月11日
  10. ^ “ネット殺人予告、第三者が遠隔操作か 起訴の男性釈放”. 朝日新聞. (2012年10月7日). http://www.asahi.com/national/update2/1007/OSK201210070019.html 2012年10月7日閲覧。 [リンク切れ]
  11. ^ “犯行メールに釈放男性名 ふりがな違うが摘発”. 読売新聞. (2012年10月10日). http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121010-OYO1T00251.htm 2012年10月10日閲覧。 [リンク切れ]
  12. ^ “death threat”の検索結果(15件):英辞郎 on the WEB”. アルク. 2018年3月15日閲覧。
  13. ^ サイモン・クーパー「『クラブ愛』という幻想」、『ワールドサッカーダイジェスト 2017年8月17日号』第489号、日本スポーツ企画出版社2017年8月17日、 67頁。
  14. ^ 【アンチ犯罪予告!!】フリー百科事典Wikipediaにおける事件簿
  15. ^ “「オバマを殺すべきか」米フェースブックでオンライン投票ページが発覚”. フランス通信社. (2009年9月29日). http://www.afpbb.com/article/politics/2647437/4687263 2009年12月16日閲覧。 
  16. ^ “オバマ大統領殺害を問うFacebook投票の作成者は未成年--シークレットサービスが究明”. CNET Japan (朝日インタラクティブ). (2009年10月2日). http://japan.cnet.com/clip/global/story/0,3800097347,20400999,00.htm 2009年12月16日閲覧。 

関連項目[編集]

  • 自殺予告 - 自殺は犯罪とはいえないが、狂言(嘘)で自殺の予告を行うと、犯罪予告と同様の迷惑な結果を招く可能性がある。
  • 犯行声明 - 犯罪を行った後に行われる声明。

外部リンク[編集]