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'''ホモフォビア'''(Homophobia)とは、[[同性愛]]、または同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶・偏見、または[[宗教]]的教義などに基づい否定的な価値観を持つこと。[[日本語]]では'''同性愛嫌悪'''や'''同性愛恐怖'''とも訳される<ref>https://ejje.weblio.jp/content/homophobia</ref>。[[キリスト教]]・[[イスラム教]]などの同性愛嫌悪宗教が強い影響力を持つ国や[[共産主義]]国家では同性愛は長い間犯罪とされてきた<ref>{{Cite web |url=https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int |title=偽装結婚に隠れる中国の同性カップル |accessdate=2017年12月31日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20171231041859/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int |archivedate=2017年12月31日 |deadlinkdate=2019年4月 }}</ref>。「[[異性装]]・[[性自認|心身の性の不一致]]に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶」はホモフォビアの定義に該当しない。'''ホモフォビック''' (Homophobic) とは「同性愛者に対する偏見のある」という意味。「同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感を持つが同性愛者を客観的に把握している」は含まれない。ホモフォビックな人物は'''ホモフォーブ''' (Homophobe) と呼ばれる。
'''ホモフォビア'''(Homophobia)とは、[[同性愛]]、または同性愛者に対する差別・偏見・拒絶・恐怖感・嫌悪感、または[[宗教]]的教義などに基づい否定的な価値観を持つこと。[[日本語]]では'''同性愛嫌悪'''や'''同性愛恐怖'''とも訳される<ref>https://ejje.weblio.jp/content/homophobia</ref>。[[キリスト教]]・[[イスラム教]]などの同性愛嫌悪宗教が強い影響力を持つ国や[[共産主義]]国家では同性愛は長い間犯罪とされてきた<ref>{{Cite web |url=https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int |title=偽装結婚に隠れる中国の同性カップル |accessdate=2017年12月31日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20171231041859/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int |archivedate=2017年12月31日 |deadlinkdate=2019年4月 }}</ref>。「[[異性装]]・[[性自認|心身の性の不一致]]に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶」はホモフォビアの定義に該当しない。
'''ホモフォビック''' (Homophobic) とは「同性愛者に対する偏見のある」という意味。「同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感を持つが同性愛者を客観的に把握している」は含まれない。ホモフォビックな人物は'''ホモフォーブ''' (Homophobe) と呼ばれる。


== 語源 ==
== 語源 ==
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== 同性愛者の反応 ==
== 同性愛者の反応 ==
=== 抗議 ===
=== 抗議 ===
1990年5月17日[[世界保健機関|WHO]] が同性愛を[[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]] (ICD-10) から削除することを決議したことから、5月17日は[[国際反ホモフォビアの日|国際反同性愛嫌悪の日]] (International Day Against Homophobia, IDAHO) とされている。呼びかけ人はルイ=ジョルジュ・タン (Louis-Georges Tin) であり、現在では世界の約 50 カ国で実施されている。[[日本]]においては、2006年に世界の同性愛者を厳罰に処している国同性愛嫌悪抗議のための企画が実施された。主な活動としてレインボーバンドの販売や同性愛が極刑となる国の[[大使館]]への要望書を提出した{{要出典|date=2019年7月}}。
[[1990年]][[5月17日]]、[[世界保健機関|WHO]] が同性愛を[[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]] (ICD-10) から削除することを決議したことから、5月17日は[[国際反ホモフォビアの日|国際反同性愛嫌悪の日]] (International Day Against Homophobia, IDAHO) とされている。
呼びかけ人はルイ=ジョルジュ・タン (Louis-Georges Tin) であり、現在では世界の約 50 カ国で実施されている。[[日本]]においては、2006年に世界の同性愛者を厳罰に処している国同性愛嫌悪に対する抗議のための企画が実施された。主な活動としてレインボーバンドの販売や同性愛が極刑となる国の[[大使館]]への要望書を提出した{{要出典|date=2019年7月}}。


同性愛が極刑となる国は以下の通り。
同性愛が極刑となる国は以下の通り。
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同性愛嫌悪やそれに基づく同性愛を刑事罰対象とするような差別をなくすため、世界各地でパレードが行われる。詳しくは[[プライド・パレード]]を参照のこと。
同性愛嫌悪やそれに基づく同性愛を刑事罰対象とするような差別をなくすため、世界各地でパレードが行われる。詳しくは[[プライド・パレード]]を参照のこと。


=== 同性愛犯罪としてきた国家での対応 ===
=== 同性愛犯罪としてきた国家での対応 ===
[[中華人民共和国]]では同性愛が刑事罰対象としての罪とはされなくなった後も同性愛を取り締まろうとする[[世論]]があるほど同性愛嫌悪が根強い。2001年まで中華人民共和国では同性愛は精神疾患として扱われ、1997年までは犯罪として取り締まりの対象として[[弾圧]]されていた。その間、中国当局は同性愛者の権利向上を求める同性愛者や活動家らを何人も[[逮捕]]して[[刑務所]]など施設送りにしてきた。そのため、同性愛者が同性愛であることを当局に知られることの忌避など不信感が根強い<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int 偽装結婚に隠れる中国の同性カップル] {{Wayback|url=https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int |date=20171231041859 }}2017年12月31日</ref>。
[[中華人民共和国|中国(中華人民共和国)]]では同性愛が刑事罰対象としての罪とはされなくなった後も同性愛を取り締まろうとする[[世論]]があるほど同性愛嫌悪が根強い。中国では2001年まで同性愛は精神疾患として扱われ、1997年までは犯罪として取り締まりの対象として[[弾圧]]されていた。その間、中国当局は同性愛者の権利向上を求める同性愛者や活動家らを何人も[[逮捕]]して[[刑務所]]送りにしてきた。そのため、同性愛者が同性愛であることを当局に知られることの忌避など不信感が根強い<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int 偽装結婚に隠れる中国の同性カップル] {{Wayback|url=https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00000010-jij_afp-int |date=20171231041859 }}2017年12月31日</ref>。

ガンビア・イスラム共和国<ref>2017年2月に[[ガンビア|ガンビア共和国]]になる。</ref>では第2代[[ガンビアの大統領|大統領]]であった[[ヤヒヤ・ジャメ]]が同性愛者を国外退去か[[死刑]]の処罰を与えたことや国内で[[魔女狩り]]を行っていたことが報道された<ref>[http://www.news-postseven.com/archives/20161220_474131.html?PAGE=1#container 世界に君臨する独裁者──同性愛者を死刑にする大統領もいた]2016年12月20日 </ref>。

同性愛行為をする者に刑事罰を与えるなど、特に男性同士で性行為を行った場合に最長で[[終身刑]]となる[[タンザニア]]では、2017年に同性愛者が一斉に逮捕されている。アフリカにある54カ国のうち、タンザニアのように38カ国が同性愛者を終身刑や死罪にするなど厳しく処罰している国である<ref>[http://www.sankei.com/world/news/170917/wor1709170008-n1.html]同性愛活動で20人逮捕 タンザニア、締め付け強化 2017.9.17</ref>。


イランでは同性間の性交渉が発覚した場合は極刑になり、サウジアラビアも同様に同性間での性交渉が発覚した場合は死刑、鞭打ちなどが処罰として下されるような宗教的同性愛嫌悪国家である。
ガンビア・イスラム共和国<ref>2017年2月に[[ガンビア|ガンビア共和国]]になる。</ref>では第2代[[ガンビアの大統領|大統領]]であった[[ヤヒヤ・ジャメ]]が同性愛者を国外退去か[[死刑]]の処罰をたことや国内で[[魔女狩り]]を行っていたことが報道された<ref>[http://www.news-postseven.com/archives/20161220_474131.html?PAGE=1#container 世界に君臨する独裁者──同性愛者を死刑にする大統領もいた]2016年12月20日 </ref>。


同性愛行為をする者に刑事罰与えるなど、特に男性同士で性行為した場合に最長で[[終身刑]]となる[[タンザニア]]では2017年に同性愛者が一斉に逮捕されている。アフリカにある54カ国のうち、タンザニアのように38カ国が同性愛行為する者を終身刑や死罪にするなど厳しく処罰している国である<ref>[http://www.sankei.com/world/news/170917/wor1709170008-n1.html]同性愛活動で20人逮捕 タンザニア、締め付け強化 2017.9.17</ref>。イランでは同性間の性交渉が発覚した場合は極刑になり、サウジアラビアも同様に同性間での性交渉が発覚した場合は死刑、鞭打ちなどが処罰として下されるような宗教的同性愛嫌悪国家である。[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]や[[マレーシア]]も同性愛を違法として処罰している国家である<ref>[https://www.compathy.net/magazine/2015/08/09/death-sentence-for-lgbt/ 理解が進む一方で… LGBTであるというだけで、死刑になる国も]</ref>。
[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]や[[マレーシア]]も同性愛を違法として処罰している国家である<ref>[https://www.compathy.net/magazine/2015/08/09/death-sentence-for-lgbt/ 理解が進む一方で… LGBTであるというだけで、死刑になる国も]</ref>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2021年3月20日 (土) 05:17時点における版

ウエストボロ・バプティスト教会の抗議者、「神はホモが嫌い」と言うプラカードを掲げる

ホモフォビア(Homophobia)とは、同性愛、または同性愛者に対する差別・偏見・拒絶・恐怖感・嫌悪感、または宗教的教義などに基づいた否定的な価値観を持つこと。日本語では同性愛嫌悪同性愛恐怖とも訳される[1]キリスト教イスラム教などの同性愛嫌悪宗教が強い影響力を持つ国や共産主義国家では、同性愛は長い間犯罪とされてきた[2]。「異性装心身の性の不一致に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶」はホモフォビアの定義に該当しない。

ホモフォビック (Homophobic) とは「同性愛者に対する偏見のある」という意味。「同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感を持つが、同性愛者を客観的に把握している」は含まれない。ホモフォビックな人物はホモフォーブ (Homophobe) と呼ばれる。

語源

元々は「人間に対する嫌悪や恐怖」(ラテン語で人間を意味する homo + ギリシア語で「恐怖」を意味する接尾辞 -phobia)を意味する語であったが、ほとんど使用されていない。「同性愛者と同性愛に対する嫌悪や恐怖」という意味では、1969年タイム誌において、心理学者のジョージ・ヴァインベルクが最初に使用した。現在の意味では、「ホモ」の部分はラテン語の homo (人間)ではなく、ホモセクシャルの homo- (ギリシア語で「同じ」の意)である。

同性愛者の反応

抗議

1990年5月17日WHO が同性愛を疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (ICD-10) から削除することを決議したことから、5月17日は国際反同性愛嫌悪の日 (International Day Against Homophobia, IDAHO) とされている。

呼びかけ人はルイ=ジョルジュ・タン (Louis-Georges Tin) であり、現在では世界の約 50 カ国で実施されている。日本においては、2006年に世界の同性愛者を厳罰に処している国や同性愛嫌悪に対する抗議のための企画が実施された。主な活動としてレインボーバンドの販売や、同性愛が極刑となる国の大使館への要望書を提出した[要出典]

同性愛が極刑となる国は以下の通り。

パレード

同性愛嫌悪やそれに基づく同性愛を刑事罰対象とするような差別をなくすため、世界各地でパレードが行われる。詳しくはプライド・パレードを参照のこと。

同性愛を犯罪としてきた国家での対応

中国(中華人民共和国)では同性愛が刑事罰対象としての罪とはされなくなった後も同性愛を取り締まろうとする世論があるほど、同性愛嫌悪が根強い。中国では2001年まで同性愛は精神疾患として扱われ、1997年までは犯罪として取り締まりの対象として弾圧されていた。その間、中国当局は同性愛者の権利向上を求める同性愛者や活動家らを何人も逮捕して刑務所送りにしてきた。そのため、同性愛者が同性愛であることを当局に知られることの忌避など、不信感が根強い[3]

ガンビア・イスラム共和国[4]では第2代大統領であったヤヒヤ・ジャメが同性愛者を国外退去か死刑の処罰を与えたことや国内で魔女狩りを行っていたことが報道された[5]

同性愛行為をする者に刑事罰を与えるなど、特に男性同士で性行為を行った場合に最長で終身刑となるタンザニアでは、2017年に同性愛者が一斉に逮捕されている。アフリカにある54カ国のうち、タンザニアのように38カ国が同性愛者を終身刑や死罪にするなど厳しく処罰している国である[6]

イランでは同性間の性交渉が発覚した場合は極刑になり、サウジアラビアも同様に同性間での性交渉が発覚した場合は死刑、鞭打ちなどが処罰として下されるような宗教的同性愛嫌悪国家である。

北朝鮮マレーシアも、同性愛を違法として処罰している国家である[7]

脚注

関連項目