探偵神宮寺三郎シリーズ

探偵神宮寺三郎シリーズ （たんてい・じんぐうじさぶろう- ）は、データイーストおよびワークジャムより制作されているゲームソフト。ジャンルはアドベンチャーゲーム（発売元はこの2社を含めた他に数社あり。詳しくは別項参照）。

概要

本シリーズは1987年にデータイーストからファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして発売された、第1作『新宿中央公園殺人事件』から始まったアドベンチャーゲームシリーズである。
多少の休眠期間を挟みつつも継続的にシリーズ作がリリースされ、2007年で遂に20周年を迎えるに至った、日本のテレビゲーム史上における屈指の長寿シリーズとして知られている。

シリーズ販売累計本数は222万本に及ぶ（2007年5月エンターブレイン調べ）。

20周年を記念し、2007年7月19日にシリーズ最新作・『探偵神宮寺三郎DS いにしえの記憶』がニンテンドーDS用ソフトとして発売された。

シリーズ変遷

以下、リリースされた家庭用テレビゲーム機と重ねて記述する。

ファミコン時代

ファミコン初期に発売されたアドベンチャーゲームには、ハードの性能を充分に活用していない稚拙なグラフィックのものが多かったが、本作は第一作目から独特のハードボイルドな雰囲気の世界を表現しており、グラフィックは元よりサウンドまで同時期に発売された同ジャンルのゲームとは一線を画していた。

ゲームシナリオも秀逸で、続編が出る度に固定ファンを増やしていく。また、他社のアドベンチャーゲームに与えた影響も決して小さくはなかった。
『ファイナルファンタジーVII』のシナリオを手がけた野島一成が書いた、第4作目『時の過ぎゆくままに…』などは早い段階でザッピングシステムを採用するなど、先進的なゲームでもある（野島は第3作目『危険な二人』の原作も執筆している）。
しかし、その先進的な部分が空回りして、ゲームのシステムに馴染めない者も少なからず存在し、評価の分かれるゲームだという意見もある。

時間の概念が存在し、あらゆるコマンドを実行するたびに時間経過が進み、既定の期日までに事件を解決できないとバッドエンドとなりゲームオーバーとなる厳しいシステム。(7作目「灯火が消えぬ間に」も同様のシステム）

第4作『時の過ぎゆくままに』を最後に、本作は暫くリリースを休む事になる。

次世代ゲーム機時代　

シリーズ休眠中も独特の雰囲気を愛する人々によって本シリーズは人気を静かに持続し続け、1996年、5年ぶりに第5作『未完のルポ』で復活。CD-ROM時代の到来によってグラフィック・サウンド・そして声の出演といった豪華な付加価値がプラスされた事で本シリーズは新たなファンを獲得する事に成功。以降、数年間隔でシリーズ作を重ねていく。

新世代ゲーム機時代

第7作『灯火が消えぬ間に』を発売してから数年後、長らく神宮寺シリーズをリリースし続けたデータイーストが事実上倒産。他の同社のシリーズと共にその歴史にピリオドを打つかと思われた本シリーズであったが、幸運にも本シリーズと同じ探偵系アドベンチャーゲーム・クロス探偵物語を制作していたワークジャムが本作制作を引き受ける事に成功。以降、本シリーズはプレイステーション2で二作品、携帯ゲーム機で二作品がリリースされ、現在に至る。また、携帯電話のアプリとしても16作品（移植4作、オリジナル12作）が製作されている。

キャラクター

神宮寺三郎（じんぐうじさぶろう）（32歳）: 神宮寺探偵事務所所長。; 国際企業神宮寺コンツェルンの総帥である神宮寺晴彦の三男として生まれながら、単身渡米しニューヨークで探偵の助手として、そのノウハウを学ぶ。; 現在はニューヨークで知り合った御苑洋子とともに、新宿で探偵事務所を開いている。かなりのヘビースモーカーで、マルボロを吸いながら考えをまとめる。; 好きな酒はカミュ。愛車は緑のミニクーパー。
御苑洋子（みそのようこ）（26歳）: 神宮寺探偵事務所助手。; 神宮寺とはニューヨークでのある事件で知り合った。
熊野参造（くまのさんぞう）（56歳）: 新宿淀橋署警部。
今泉直久（いまいずみなおひさ）（34歳）: 関東明治組若頭。
風林豪造（ふうりんごうぞう）（70歳）: 関東明治組組長。
天沼かすみ（あまぬま-）: 「バーかすみ」のオーナー。
天沼まなみ（あまぬま-）: かすみの妹。
小林勇介（こばやしゆうすけ）: 新宿淀橋署警部補。
三好志保（みよししほ）: 新宿淀橋署鑑識官。

声優

ゲーム第5作『未完のルポ』より一部のシーンにおいてキャラクターの声が出るようになった。以降、携帯ゲーム機以外では主要な登場人物に声が当てられている。

神宮寺の役は、初代岸野幸正・二代目大塚明夫、そして三代目小杉十郎太と受け継がれた。また、第6作『夢の終わりに』には、ドラマCDが特典としてついていた。

※以下の表ではシリーズを通して登場する“御苑洋子”・“熊野参造”の声優も記載した。

	神宮寺三郎	御苑洋子	熊野参造
未完のルポ	岸野幸正	大沢つむぎ	立木文彦
夢の終わりに	岸野幸正	大沢つむぎ	立木文彦
灯火が消えぬ間に	大塚明夫	斎藤陽子	石井康嗣
Innocent Black	小杉十郎太	折笠富美子	なし
KIND OF BLUE	小杉十郎太	折笠富美子	塚田正昭

シリーズ作品一覧

ゲーム

データは特記された場合を除き、全て初めて発売された版についての記載。移植版は除く

	タイトル	発売日	発売元/開発元	対応機種	内容・備考
1	新宿中央公園殺人事件	1987年 4月24日	データイースト	FC ディスク	新宿中央公園にて人気ホステス桃子の絞殺死体が発見される。バーのマスター、資産家、組長など次々と浮かび上がる容疑者たち。
2	横浜港連続殺人事件	1988年 2月26日		FC	失踪中の恋人エバの捜索を婚約者から依頼。同じくしてエバの同僚が水死体で発見され、警察は密輸グループとの関連性を疑う。
3	危険な二人前編	1988年 12月9日		FC ディスク	神宮寺は、洋子の友人のお誘いでサーキット場へ。そこで行われたバイクレース中に岡崎が事故を起こす。しかし乗っていたのは全くの別人だったことが判明。時を同じくして近くのホテルでは銃殺されていた岡崎の妻が発見される。
3	危険な二人後編	1989年 2月10日		FC ディスク
4	時の過ぎゆくままに…	1991年 9月28日		FC	屋敷内で起こった盗難事件を捜査する神宮寺と迷子の少年を保護した洋子。どちらも簡単に解決する事件と思われていたが…
5	未完のルポ	1996年 11月29日		PS・SS	事務所に飲み友達のジャーナリストから一通のエアメールが届く。入っていたのは小さな鍵。それは何を意味しているのか？
6	夢の終わりに	1998年 4月23日		PS・SS	毎晩ひどい過去の悪夢に悩まされていた神宮寺。何気なく御苑洋子が受けた調査依頼が事件の始まりだった。
7	灯火が消えぬ間に	1999年 11月25日		PS	傷だらけの若者が突然、探偵事務所に駆け込んできた。２つの事件が舞い込み、複雑に絡み合っていく。
8	Innocent Black	2002年 10月24日	ワークジャム	PS2	以前、入院していた病院先の院長から家出娘の捜査依頼がくる。小さな事件はやがて裏に隠された巨大な事件を呼び覚ます。 ※『クロス探偵物語』の神長豊がシナリオを担当。
9	KIND OF BLUE	2004年 4月22日	ワークジャム	PS2	たいした依頼も来ないまま数ヶ月ヒマを持て余す神宮寺。そんなある日、関東組幹部の今泉からある男について依頼がくる。
10	白い影の少女	2005年 1月27日	マーベラスインタラクティブ /ワークジャム	GBA	神宮寺は友人の葬式に赴くと、友人の母親から人探しを依頼され、熊野警部からは都市伝説「ゆうちゃん」の調査を依頼される。 ※シリーズ10作目記念作品。
11	いにしえの記憶	2007年 7月19日	アークシステムワークス /ワークジャム	ニンテンドーDS	云われなき容疑で警察に拘留されてしまった神宮寺。囚われの身で無実を晴らすことが出来るのか？『神宮寺シリーズ20周年記念作品』として携帯アプリ版のNo.1～No.5が同時収録。
12	きえないこころ	2008年 4月24日	アークシステムワークス /ワークジャム	ニンテンドーDS	20年前、小学生だった妹が自殺した原因の調査依頼を頼まれる。妹の通っていた小学校に赴くと、今度は校長から、ある事件調査を依頼される。携帯アプリ版のNo.6～No.10が同時収録予定。
番外	探偵神宮寺三郎アーリーコレクション	1999年 8月5日	データイースト	PS	ファミコン時代にリリースされた5作品（シリーズ第1作～2作、第3作前後編、第4作）を収録。
※ 第1作の発売以来長い時間が過ぎた事で、以前プレイした者が懐かしんだり、次世代ハード機で発売された作品をプレイした者が興味を持ち、それぞれが旧作をプレイすることを望んだにも関わらず、既に手に入りにくくなっていたファミコン時代の作品（特に当時ディスクシステムでしかリリースされていなかった1・3作目）を手軽に遊んでもらう為にリリースされた。

携帯アプリ版

	タイトル
No.01	新宿中央公園殺人事件
No.02	横浜港連続殺人事件
No.03	危険な二人
No.04	時の過ぎゆくままに
No.05	アカイメノトラ
No.06	6枚の犯行
No.07	亡煙を捜せ!
No.08	アオイメノリュウ
No.09	キトの夜
No.10	四角の罠
No.11	イヌと呼ばれた男
No.12	ふた色の少女
No.13	命絶つ刻限
No.14	託された指輪
No.15	真偽の狭間
No.16	椿のゆくえ

※開発はすべてワークジャム。No.1～No.4はリメイク版であり、オリジナル(ファミコン版)とは脚本等に修正がある。

小説

タイトル	発売年月日	著者	出版
原宿・表参道殺人事件	1988年4月1日	関島りょう子・菊島恵三	ケイブンシャ
邂逅の街	1997年6月24日	齊藤竜也	KSS NOVELS
新宿中央公園殺人事件AD200	2000年4月1日	助野寛	角川スニーカー文庫
Innocent Black	2003年3月25日	天羽沙夜	電撃文庫
Early days 疾走の街	2004年7月30日	蕪木統文	ファミ通文庫
新宿の亡霊	2006年11月24日	小高和剛	ゴマブックス
輝かしいミライ	2007年2月13日	小高和剛	ゴマブックス
白昼の蝙蝠	2007年5月	栗栖秀教	ゴマブックス

神宮寺と洋子の出会い

『夢の終わりに』のオープニング場面で神宮寺と洋子が初めて顔をあわせる事件。ニューヨークで神宮寺がダンのもとで探偵見習いをしていた時期のことである。麻薬中毒の犯人は恋人洋子を人質に取った。やむ得なく神宮寺は発砲する。弾は外れるが犯人はその直後飛び降り自殺してしまう。その直後、神宮寺は洋子に「人殺し!!!」とののしられる。誤解されがちだが、神宮寺の撃った弾が犯人を殺したわけではない。夢の終わり本編でも「人を撃った」「それが原因で死んだ」といっているがそれ以上のことは言っていない。　　　　　　　　　　

詳しくは小説『邂逅の街』を参照。

外部リンク

この項目は、コンピュータゲームに関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています（P:コンピュータゲーム/PJ:コンピュータゲーム）。