成瀬治

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成瀬 治(なるせ おさむ、1928年〈昭和3年〉3月8日 - 2016年〈平成28年〉8月26日)は、日本歴史学者翻訳家。専門は中近世ドイツ史、ヨーロッパ近代政治思想史、近世国制史、マルティン・ルターキリスト教思想史。東京大学名誉教授。

ドイツ文学者成瀬無極は父[1]

来歴[編集]

東京大学文学部西洋史学科卒業。 1958年(昭和33年)北海道大学助教授。1968年(昭和43年)東京大学文学部助教授となり、1973年(昭和48年)教授。1989年(平成元年)定年退官、同大名誉教授。

2009年(平成21年)4月瑞宝中綬章受章[2]

2016年(平成28年)8月26日、死去[3]。88歳没[3]

著作[編集]

単著[編集]

  • 『ルター : 十字架の英雄』(誠文堂新光社) 1961
  • 『朕は国家なり』(文芸春秋〈大世界史〉) 1968
  • 『世界史の意識と理論』(岩波書店) 1977、のち岩波モダンクラシックス 2001
  • 『神の義は福音のなかに : ルター伝』(国土社〈世界を動かした人びと〉 1978
  • 『近代ヨーロッパへの道』(講談社、世界の歴史) 1978、のち講談社学術文庫 2011
  • 『ルターと宗教改革』(誠文堂新光社) 1980
  • 『近代市民社会の成立 : 社会思想史的考察』(東京大学出版会) 1984、のちPOD版 2018
  • 『絶対主義国家と身分制社会』(山川出版社) 1988
  • 『伝統と啓蒙 : 近世ドイツの思想と宗教』(法政大学出版局) 1988

共著・編著・監修[編集]

  • 『近代史における政治と思想』(柴田三千雄共編、山川出版社) 1977
  • 『近代国家形成の諸問題』(吉岡昭彦共編、木鐸社) 1979
  • 『カラー世界史百科』(ヘルマン・キンダー, ヴェルナー・ヒルゲマン著、監修、平凡社) 1978、のち増補版 1985
  • 『ドイツ現代史』(黒川康, 伊東孝之共著、山川出版社、世界現代史) 1987
  • 『世界史テーマ学習80』(佐藤次高共同監修、山川出版社) 1991
  • 『要説世界史 : 世界史A教授資料』(江上波夫ほか共著、山川出版社) 1995
  • 『高校世界史 : 世界史B教授資料』(江上波夫ほか共著、山川出版社) 1995
  • 『ドイツ史』全3巻(山田欣吾, 木村靖二共編、山川出版社、世界歴史体系) 1996 - 1997
  • 『理解しやすい世界史B : 教科書マスターから受験対策まで』(竺沙雅章共編、文英堂) 2001

翻訳[編集]

  • カール・バルト『ヒューマニズム : 他二篇』新教出版社〈基督教論叢〉、1951年
  • アレクサンダー・アブッシュ『ドイツ : 歴史の反省』(道家忠道 共訳)筑摩書房、1955年
  • マンデス・フランス, ガブリエル・アルダン『経済学と経済政策』(森有正横山正彦 共訳)日本経済新聞社、1956年
  • ブルクハルト, リンゼイ『ルネサンス : 宗教改革史』あかね書房〈少年少女世界の歴史4〉、1969年
  • H・ヘルビック『ヨーロッパの形成 : 中世史の基本的諸問題』(石川武 共訳)岩波書店、1970年
  • H・カメン『寛容思想の系譜』平凡社〈世界大学選書〉、1970年
  • オットー・ヒンツェ『身分制議会の起源と発展』創文社〈歴史学叢書〉、1975年
  • F・ハルトゥング『ドイツ国制史 : 15世紀から現代まで』(坂井栄八郎 共訳)岩波書店、1980年
  • F・ハルトゥング, ほか『伝統社会と近代国家』岩波書店、1982年
  • ハンス=エーベリング, ウォルフガング=ビルケンフェルト『西ドイツ : その人々の歴史』全4巻(古山正人岡崎勝世松俊夫 共訳)帝国書院〈全訳世界の歴史教科書シリーズ〉、1982年
  • ウルリヒ・イム・ホーフ『啓蒙のヨーロッパ』平凡社〈叢書ヨーロッパ〉、1998年

脚注[編集]

  1. ^ 成瀬治, 橋場弦インタビュー:成瀬治氏に聞く/企画・聞き手・採録:橋場弦」『クリオ』第1巻、東京大学文学部西洋史学研究室、1986年、61-70頁、doi:10.15083/00047565hdl:2261/72652 
  2. ^ 平成21年春の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 16 (2009年4月29日). 2009年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月12日閲覧。
  3. ^ a b 純丘曜彰 (2016年8月28日). “成瀬治先生の訃報”. researchmap. 2016年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月17日閲覧。 “成瀬治先生(88歳)が8月26日(金)17時過ぎに天に召されたとのこと。[...] とても敬虔なルター派の信仰者でいらっしゃったので、死は悲しむべきことではないとはいえ、自分自身もまた学者の末席に座らせていただけるようになって、はるか先を行った学者としての一生は、学問以上のことを教えてくれているように思う。”