宇宙軍

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宇宙軍(うちゅうぐん)とは、宇宙空間を中心として作戦展開する軍隊を意味する日本語である。

概要[編集]

SFなどでは、宇宙空間を担当する軍隊の名称として使用されてきたが、宇宙開発の発展により、アメリカ合衆国宇宙軍(United States Space Command)など、実際に「宇宙軍」の名称をつける国も現れている。

弾道ミサイルの早期警戒から発展した軍種であるため、各軍から迎撃ミサイルを運用する部隊、人工衛星を運用する部隊などを統合した組織であり、おもな任務は監視衛星の運用や大陸間弾道ミサイルの早期警戒・迎撃というミサイル防衛、衛星攻撃兵器による人工衛星の破壊であり、宇宙空間での戦闘や有人宇宙船による兵の輸送、攻撃衛星(宇宙兵器)による地上への攻撃などは行われていない。

第二次世界大戦中のドイツではアメリカ爆撃機計画のひとつとして、弾道飛行(衛星軌道ではない)により対蹠地でさえも爆撃できる有翼宇宙機ズィルバーフォーゲル(Silbervogel)が考案されたが、当時の技術水準では実現は困難であり、構想のみで終了した。

アメリカの戦略防衛構想 (SDI) では、レーザー衛星の打ち上げが予定されていたが、冷戦の終結等により計画は凍結されている。

ソ連では早期警戒レーダー網に探知されない部分軌道爆撃システムは実際に配備されていたが、命中精度などの問題が多く短期間で退役している。また宇宙ステーションアルマースは宇宙からの偵察や監視を目的としていたが、『自衛用』としてNR-23機関砲が搭載され、地上からの遠隔操作で衛星を狙撃することに成功し、機関砲の代わりに無誘導ミサイルを搭載した機種も存在したが、実際には制約が多く実験のみで終了した。この他にも炭酸ガスレーザーを備えた軍事衛星ポリウスを実際に製作し打ち上げたが、軌道投入に失敗し運用に至っていない。

このように、宇宙空間に兵器を直接配置する事は技術的には可能だが、費用などの問題があり冷戦終結後に中止されている。

宇宙条約によって宇宙空間の「平和利用の原則」が記載されているが、明確に禁止されているのは「宇宙空間への大量破壊兵器の配備」および「月およびその他の天体への軍事利用は一切禁止」であるため、大量破壊兵器ではない兵器を天体以外の宇宙空間へ展開することや、軍事衛星の活用は、条約解釈によっては可能となる[1][2]。部分軌道爆撃システムは宇宙条約に抵触しないよう、地球を周回する前に逆噴射により減速し弾頭を分離する仕組みが採用された。

1991年に湾岸戦争が勃発すると、衛星を利用して攻撃目標の詳細位置を判別し、ミサイル発射後はGPS衛星を使用して誘導され、監視衛星を利用して敵ミサイルの発射を察知し、気象衛星の情報を元に作戦立案がなされ、戦場での部隊連携に通信衛星による連絡が用いられた[3]。このためコリン・グレイは湾岸戦争を「最初の宇宙戦争」と呼んだ[3]。同戦争では、イラク軍によりGPSジャミング装置6台が試験的に導入され、衛星通信を妨害することでミサイルを外させることを試行しようとしていたが、実際に稼働する前に空爆で破壊されていたためにGPSジャミングは失敗したと見られる[3]。軍事部門における宇宙空間の重要性が知られるようになると、各国とも研究するようになり、中国は衛星破壊実験を、北朝鮮はGPSジャミング実験を行っている[3]。2007年には米空軍がGPS衛星が撃墜された想定で訓練を行っている最中に、誤って民間使用分のGPS通信も切り、携帯電話の通信停止、ATMの停止など予想外の被害が広がった。これは、GPSの信号を利用して携帯の時刻同期に使用しており、ATMでは不正防止のための厳密な時刻同期にGPS通信を使用していた[4]。また、空港の管制システムの停止も確認され、GPSジャミング機を使用した実験では船のジャイロコンパスのクラッシュも確認されている。このように、衛星技術にハイテク技術はさまざまな依存をしており、宇宙空間の安全を確保するのは軍事的にも経済的にも重要であるために、宇宙優勢システム航空団がアメリカでは設立されている。

現実の宇宙軍[編集]

アメリカ合衆国[編集]

ロシア[編集]

イスラエル[編集]

中国[編集]

日本[編集]

架空の宇宙軍[編集]

スペースオペラなどの宇宙を舞台とするSFでは、宇宙軍の設定は定番となっている。

関連項目[編集]

脚注[編集]