周桂本源氏物語

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周桂本源氏物語(しゅうけいほんげんじものがたり)とは、源氏物語の写本の一つ。

概要[編集]

本写本は、室町時代末期の書写と見られる54帖54冊からなる写本である。戦国時代連歌師である周桂1470年文明2年)-1544年天文13年2月9日))により書写されたとされていることからこの「周桂本」の名称で呼ばれている。また夢浮橋巻巻末に里村紹巴による奥書が記されていることから「紹巴奥書本」と呼ばれることもある。現在は天理大学天理図書館の所蔵である[1]。全帖に亘って里村紹巴によるとされる数多くの朱書きの注釈が書き込まれている。その多くは本文の横に発話者が誰であるのかを書き込んだような短いものであるが、中には他の注釈書には見られないような独自の見解を含むものも見られる。また前述のように夢浮橋巻末には紹巴の奥書が記されていることから、紹巴が源氏物語の学習のために用いた写本ではないかと考えられている。

本文[編集]

本写本の本文は、大きく見れば青表紙本三条西家本系統に含まれると考えられるものの、独自な異文も多い。現存する諸写本の中では肖柏本が最も近いものである、さらには源氏物語の最も初期の版本である古活字版源氏物語の本文に非常に近いものであることが分かっており、本写本の詳細な研究は古活字版源氏物語の成立事情の解明に寄与すると期待されている。校異源氏物語(源氏物語大成校異編)や源氏物語別本集成(正・続)といった主要な校本への採用も無く、本写本単独での複製本・影印本・翻刻本の出版もない。なお、本写本の紙焼き資料が作成されて大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館に所蔵されており、これを利用した研究が存在する[2]

参考文献[編集]

  • 加藤昌嘉「周桂本『源氏物語』(天理図書館蔵)」人間文化研究機構国文学研究資料館編『立川移転記念特別展示図録 源氏物語 千年のかがやき』思文閣出版、2008年(平成20年)10月、p. 133。 ISBN 978-4-7842-1437-2

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 「源氏物語 写 五十四巻 六十五冊」天理図書館編輯『天理図書館叢書 第25輯 天理図書館稀書目録 和漢書之部第3 』天理大学出版部、1960年(昭和35年)、p. 357。
  2. ^ 加藤昌嘉「源氏物語本文揺動史」東京大学国語国文学会編『国語と国文学』第82巻第3号(通号第976号)、2005年(平成17年)3月、pp. 27-39。 のち加藤昌嘉「「東屋」巻の本文揺動史」『揺れ動く源氏物語』勉誠出版、2011年(平成23年)10月、pp. 3-25。 ISBN 978-4-585-29020-9