中島義道

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中島 義道(なかじま よしみち、1946年7月9日 - )は、日本の哲学者作家。元電気通信大学教授。専攻はドイツ哲学、時間論、自我論。イマヌエル・カントが専門。

経歴[編集]

1946年(昭和21年)生まれの戦後日本の代表的な哲学者。福岡県門司市出身。1983年(昭和58年)にウィーン大学で、やはりカントについての論文(『カントの時間構成の理論』)で哲学博士号を取得。翌年、東大教養学部助手に採用される。のち、帝京技術科学大学助教授を経て、1995年4月より2009年まで電気通信大学教授。

『カントの人間学』『哲学の教科書』『ウィーン愛憎』などで著述界に登場する。これらの著作ではカント哲学の読み解き、また留学体験を通じての優れたヨーロッパ文明批判を平明な文体で展開した。 カント哲学やヨーロッパ文明批判以外に、日本社会における騒音・景観の無頓着さへの批判でも知られる。1996年、様々なありがた迷惑な騒音を是とする現代日本に異議を申し立てた、エッセイ『うるさい日本の私』により、認知される(タイトルは、川端康成の『美しい日本の私―その序説』と、大江健三郎の『あいまいな日本の私』の、2人のノーベル文学賞受賞記念講演のパロディである。この「うるさい」ということばは、「日本」だけでなく「私」をも形容しているのだ、と本人自身が述べている)。

現在は哲学を志す人のための『哲学塾カント』を開設している。

学歴[編集]

職歴[編集]

エピソード[編集]

  • 教養学部文科一類では西田典之(刑法学者、東京大学名誉教授)と同級生だった[1]
  • 大の偏食家であり、8割以上の食物が苦手である[2]。アナウンスなどの騒音も大嫌いで、JRなど各地に抗議を繰り返し「闘い」を行っていた。『静かな街を考える会』に参加している[3]
  • 大学の哲学科が無くなることには肯定的であり「哲学はまったく役に立たず、自他の幸福を望むこととは無関係であり、反社会的で、危険で、不健全なもの」であり「それにもかかわらず哲学をしなければ死んでしまう全人口の1パーセント未満の人のためにのみ哲学を学ぶ「真の場所」を設置すること」を推奨している[4]

時間論[編集]

中島は一貫して未来は本質的にどんなに近い未来だとしても、無だと主張している。例えば、「明日はピクニックがある」の明日あると了解することは、我々が今まで帰納的に導いたことであって、寸毫も明日が確実にあると実証することはできないという。すなわち、未来本物論者は未来完了形的に、いままで明日は偶然にもあった(存在した)ので、その過去を延長して未来(明日)があると思い込んでいるだけだという。(例えば、明日突然地球がなんの前触れもなく崩壊した場合、自分が死んだ場合は未来は無である。)中島によれば、こういった未来の描写はあくまでも概念的にしか捉えられていないので、いささかも未来の実在性を証明してはいないとされる[要出典][5]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『カントの時間構成の理論』理想社 1987年
    • 改題『カントの時間論』講談社学術文庫
  • 『ウィーン愛憎 ヨーロッパ精神との格闘』中公新書 1990年
    • 改題『戦う哲学者のウィーン愛憎』角川文庫
  • 『モラリストとしてのカント1』北樹出版 1992年
    • 改題『カントの人間学』講談社現代新書
  • 『時間と自由 カント解釈の冒険』晃洋書房 1994年(のち講談社学術文庫)
  • 『哲学の教科書』講談社 1995年(のち講談社学術文庫)
  • 『「時間」を哲学する―過去はどこへ行ったのか』講談社現代新書 1996年
  • 『うるさい日本の私―「音漬け社会」との果てしなき戦い』洋泉社 1996年(のち新潮文庫、日経ビジネス人文庫)
  • 『人生を<半分>降りる―哲学的生き方のすすめ』ナカニシヤ出版 1997年(のち新潮OH!文庫、ちくま文庫)
  • 『哲学者のいない国』洋泉社 1997年
    • 改訂・改題『哲学者とは何か』ちくま文庫
  • 『<対話>のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの』PHP新書 1997年
  • 『哲学の道場』ちくま新書 1998年
  • 『孤独について―生きるのが困難な人々へ』文春新書 1998年、文春文庫、2008年
  • 『うるさい日本の私 それから』洋泉社 1998年、のち角川文庫
    • のちに分冊・改題『騒音文化論 なぜ日本の街はこんなにうるさいのか』講談社+α文庫、『日本人を〈半分〉降りる』ちくま文庫
  • 『空間と身体 続カント解釈の冒険』晃洋書房 2000年
  • 『ひとを<嫌う>ということ』角川書店 2000年 (のち角川文庫)
  • 『私の嫌いな10の言葉』新潮社 2000年 (のち新潮文庫)
  • 『「哲学実技」のすすめ そして誰もいなくなった……』角川oneテーマ21 2000年
  • 『働くことがイヤな人のための本 仕事とは何だろうか』日本経済新聞社 2001年 (のち新潮文庫、日経ビジネス人文庫)
  • 『生きにくい…… 私は哲学病。』角川書店 2001年 (のち角川文庫)
  • 『ぼくは偏食人間』新潮社・ラッコブックス 2001年
    • 改題『偏食的生き方のすすめ』新潮文庫
  • 『時間論』ちくま学芸文庫 2002年
  • 『たまたま地上にぼくは生まれた』講談社 2002年(のちちくま文庫)
  • カイン 「自分」の弱さに悩むきみへ』講談社 2002年(のち新潮文庫)
  • 『不幸論』PHP新書 2002年 のち文庫 
  • 『「私」の秘密 哲学的自我論への誘い』講談社選書メチエ 2002年 (のち講談社学術文庫)
  • 『怒る技術』PHP研究所 2002年(のち角川文庫)
  • 『ぐれる!』新潮新書 2003年
  • 『愛という試練 マイナスのナルシスの告白』紀伊國屋書店 2003年
    • 改題『ひとを愛することができない』角川文庫
  • 『カントの自我論』日本評論社 2004年 (のち岩波現代文庫)
  • 『どうせ死んでしまう…… 私は哲学病。』角川書店 2004年
    • 改題『どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?』角川文庫
  • 『英語コンプレックス脱出』NTT出版 2004年
    • 改題『英語コンプレックスの正体』講談社+α文庫、2016年
  • 『続・ウィーン愛憎 ヨーロッパ 家族 そして私』中公新書 2004年
  • 『悪について』岩波新書 2005年
  • 『生きることも死ぬこともイヤな人のための本』日本経済新聞社 2005年
    • 改題『生きるのも死ぬのもイヤなきみへ』角川文庫
  • 『私の嫌いな10の人びと』新潮社 2006年(のち新潮文庫)
  • 『後悔と自責の哲学』河出書房新社 2006年(のち河出文庫)
  • 『狂人三歩手前』新潮社 2006年(のち新潮文庫) 
  • 『カントの法論』ちくま学芸文庫 2006年
  • 『醜い日本の私』新潮選書 2006年(のち新潮文庫、角川文庫)
  • 『哲学者というならず者がいる』新潮社 2007年
    • 改題『エゴイスト入門』新潮文庫
  • 『「人間嫌い」のルール』PHP新書 2007年
  • 『「死」を哲学する』(双書哲学塾)岩波書店 2007年
  • 『観念的生活』文藝春秋 2007年、文春文庫、2011年
  • 『孤独な少年の部屋』角川書店 2008年
  • 『カントの読み方』ちくま新書 2008年
  • 『人生に生きる価値はない』新潮社 2009年、のち新潮文庫
  • 『人生、しょせん気晴らし』文藝春秋 2009年
  • 『差別感情の哲学』講談社 2009年、のち講談社学術文庫
  • 『ウィーン家族』角川書店 2009年 - 小説作品
    • 改題『異文化夫婦』角川文庫
  • 『女の好きな10の言葉』新潮社 2010年
  • 『きみはなぜ生きているのか?』偕成社 2010年
  • 『「純粋理性批判」を噛み砕く』講談社 2010年
  • 『善人ほど悪い奴はいない ニーチェの人間学』角川oneテーマ21新書 2010年
  • 『明るいニヒリズム』PHP 2011年、のちPHP文庫 
  • 『さようなら、ドラえもん 子どものためのテツガク教室』講談社 2011年
  • 『悪への自由 カント倫理学の深層文法』勁草書房 2011年
    • 改題『カントの「悪」論 』講談社学術文庫 2018年
  • ヒトラーのウィーン』新潮社、2012年 のちちくま文庫 
  • 『真理のための闘争 哲学課外授業』河出書房新社、2012年
  • 『哲学塾授業 難解書物の読み解き方』講談社、2012年
    • 改題『哲学塾の風景 哲学書を読み解く』講談社学術文庫、2017年
  • 『ニーチェ ニヒリズムを生きる』河出ブックス、2013年
    • 改題『過酷なるニーチェ』河出文庫
  • 『非社交的社交性 大人になるということ』講談社現代新書、2013年
  • 『生き生きした過去: 大森荘蔵の時間論、その批判的解読』河出書房新社、2014年 
  • 『東大助手物語』新潮社、2014年 のち新潮文庫
  • 『反〈絆〉論』ちくま新書、2014年
  • 『不在の哲学』ちくま学芸文庫、2016年
  • 『時間と死 不在と無のあいだで』ぷねうま舎、2016年
  • 『〈ふつう〉から遠くはなれて――「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録』青春出版社、2016年
  • 『明るく死ぬための哲学』文藝春秋、2017年
  • 『七〇歳の絶望』角川新書、2017年
  • 『ウソつきの構造 法と道徳のあいだ』 KADOKAWA、2019年
  • 『晩年のカント』講談社現代新書、2021年

共著[編集]

  • 『静かさとはなにか 文化騒音から日本を読む』福田喜一郎 加賀野井秀一 共編著 第三書館 1996年
  • 『「うるさい日本」を哲学する』加賀野井秀一 講談社 2007年(のち「音漬け社会」と日本文化 講談社学術文庫 2009年)
  • 『生きてるだけでなぜ悪い?』香山リカ ビジネス社 2008年(のち講談社+α文庫)
  • 『やっぱり、人はわかりあえない』小浜逸郎 PHP新書 2009年

翻訳[編集]

  • 『カント認識論の再構築』 ゲロルト・プラウス ・円谷裕二 渋谷治美共訳 晃洋書房

脚注[編集]

  1. ^ 中島義道『孤独について』(文春新書、1998年)、『東大助手物語』(新潮社、2014年)
  2. ^ 中島義道『ぼくは偏食人間』(新潮社、2000年)
  3. ^ 闘う哲学者と「うるさい日本の街」の30年戦争 | 哲学塾からこんにちは | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  4. ^ 哲学が人類を「幸福にしない」これだけの理由 | 哲学塾からこんにちは | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  5. ^ 中島義道『時間を哲学する―過去はどこへ行ったのか』講談社現代社新書、1996年、172頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]