中央大学経理研究所

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中央大学経理研究所(ちゅうおうだいがくけいりけんきゅうじょ)は、1950年に中央大学内に設立された会社経理、税務、企業関係法規の理論と実務の研究機関。学内での通称は「経理研」。英語表記は"The Institute of Accounting Research"。

主に多摩キャンパス8号館(大教室棟)を中心に、学内の学生及び卒業者向けに日商簿記検定公認会計士試験などの資格取得講座を開講している。

学内の公認会計士試験合格者の8割はこの経理研究所に在籍し、TACLEC等の資格試験予備校とのダブルスクールをせずに合格している。他大学で外部専門学校に依存せずに公認会計士試験の論文式合格を果たすことは極めて困難である(『公認会計士講座』『経理研究所』など類似の名称を使用しているが、実際は簿記1級レベルまでの講義がほとんどである)ため、「大学の中に専門学校がある」と例えられることがある。実際には大学自ら「学内Wスクール経理研究所」とアピールしていることからも伺えるように、講義水準やバックアップサービス等を比較しても外部専門学校と同格の水準を誇る教育機関であり、学校法人経営という観点から言えば大原簿記学校に似た存在と言える。その為、Wikipediaでは資格試験予備校の一種として取り扱っている。

概要[編集]

経理研究所事務室・学生研究室が入居する「炎の塔」の外観

大学が学内に自ら設置する資格試験予備校的な存在として、税理士、公認会計士を目指す高校生などの間では知られている。

公認会計士試験制度が発足して以来、資格試験予備校が一般化するまで、中央大学は公認会計士試験合格者数首位の座を維持していたが、それはこの経理研の存在に拠る所が大きいと言われている。資格予備校が普及した現在でも、経理研の受講費用は大手資格予備校の半分以下であり、公認会計士試験の現役合格者数の増加や不況による資格志向の受験生の増加もあって、経理研を受講するために中央大学を第一志望として入学してくる公認会計士、税理士志望の高校生高卒生も増加傾向にある。

経理研の受講生は商学部会計学科の学生が大勢であるが、どの学部・学科であっても受講できる。簿記講座は中央大学の学生以外でも受講できる。また中央大学駿河台記念館では、著名な講師を招き、社会人向けに資格取得以外の講座も開設している。また近年、中央大学経理研究所ch.なるeラーニングを開始した。

特色[編集]

  • 情熱指導
後述する専任講師制度により、公認会計士講座を受講した場合でも、簿記3級レベルから論文式合格まで一貫教育がおこなわれる(商業高校出身者は飛び級コースまたは1年コース所属によりショートカット可能)。一般の専門学校では初学者向けの簿記講座と簿記1級取得者向けの公認会計士講座が分断されることが多いが、経理研究所では最初から公認会計士講座を受講することで簿記3級レベルから追加料金なしで公認会計士試験に挑むことが可能である。
大学の定期試験期間前後の2週間は、経理研究所の休講期間となり、大学授業の両立を図れるよう配慮されている。また、現役学生合格者は合格翌月よりスタッフとして後輩の指導に当たることが可能である(この期間は大学に勤務する非常勤のアルバイトとして給与が支給され、実務補修所との併用により日本公認会計士協会が定める『合格後3年の実務期間』に組み入れることが可能である)。
  • 個別指導
定期的な選抜試験により、学力別のオプションコース(無料)に入り、個別面接や個別合格プランの構築や個別論文指導・個別質問コーナーといった個別教育を受けることが可能である。
  • Webサポート
現在は、全ての科目を録画しており、Web授業によるサポート(無料)がついている。飛び級コースや1年コースはこのWeb授業の一部受講が必須となっているが、それ以外のコースでは必修とはなっていない。主に授業の復習や弱点補強・病欠分の補講としての利用が推奨されている。ただし、スタッフや専任講師によると、これはあくまでも緊急避難的なサポートとしての位置づけであり、バイトやサークル等の自己都合による特定期間の自主休講およびその分の埋め合わせとしての使用は推奨されていない。基本的には生授業は欠席しないよう学生に呼び掛けている。
  • 個人研究室
炎の塔および4号館(学生研究室ブロック)に約300席の個人机と個人ロッカーを備えた個人研究室を用意しており、定期的な選抜試験の成績順に割り当てられる。駿河台記念館にも類似の研究室が与えられるが、こちらは全員貸与である(しかし、学部生で駿河台記念館の研究室を使用できるのは上級講座受講の4年生のみである)。
  • 授業時間及び移動、サークルとの両立
基本的には学内での実施の為、通学時間や交通費は一切不要である。また、学部授業が開講されている期間は、第6時限(18時10分)から20時40分(一部講座は20時10分)までの約2時間半の講義・答案練習が主体であり、日中の正規授業との重複は無い(6限以降に配当されている学部授業は選択科目であり、必修授業は基本的に5限までの時間で終わるよう大学側が配慮している)。このため、他大学でありがちな「専門学校通学の為、出席不要な授業を自主休講する」といった行為は不要であり、経理研究所の妨げにならない限りであればサークルとの両立も十分可能である。実際多くの合格者が何らかのサークルとの両立を図っており、「サークル活動の経験は監査法人のクライアントとの対人関係スキル向上を望める」として大学そのものがサークル活動の参加を推奨している。
  • 現役合格
外部専門学校のメインコースは、社会人受験生にも配慮しているため短答式対策と論文式対策を同時並行で進めているものが多いが、経理研究所では簿記の初学者が受講生の大半であることや、短答式試験の科目免除制度の導入(現在は合格後2年、「財務会計士」制度導入が予想される2014年以降は合格後10年程度)、短答式試験の年2回実施といった一連の改革により、日中は学部授業を優先せざるを得ない大学生は、短答式試験合格までは短答式対策に集中させ、合格後論文式対策に移行させるカリキュラムを取っている。これにより、新制度移行後の合格者数急増の原動力となったとみる関係者もいる。
  • カリキュラムの随時見直し
経理研究所のテキストやコースは、受講生のアンケートを参考にしつつ毎年見直しが行われている。これにより、カリキュラムが現行試験制度とシンクロするよう日々改善が行われている。
  • 監査法人就職対策
経理研究所の受講生を対象にしたOB会計士による監査法人説明会や、若手OBの公認会計士による個別相談、面接対策講座を中心に設置している。近年は公認会計士の就職難が社会問題となっているが、経理研究所の卒業生の就職状況は他大学と比較して極めて良好である。経理研究所のこのような一貫した教育により、商学部生の就職先の1位には最大手の有限責任あずさ監査法人、3位に大手の有限責任監査法人トーマツがランクインする実績も残している。

合格者内訳[編集]

2009年度の中央大学全体での公認会計士論文式試験の合格者数は159人であるが、そのうち経理研究所在籍の学生・卒業生は124人である。当該年度で大学在学中に合格した現役生は517人(全国)中70人であり、そのほとんど全てが経理研究所在籍の学部学生(現役)である。(2010年3月15日発表)

学内での内訳は、商学部(会計学科が主)がおよそ7割を占め、1~2割が経済学部、残りが法学部文学部総合政策学部となっている。学内トップクラスの看板学部(中央であれば法学部)が最大規模となっていないのも特筆すべき点である。

近年では現役合格率が大きく躍進しており、2009年度は現役合格者総数の13.5%を占めている。

経理研究所(公認会計士講座)の定員は600名であるが、そのうち数十名~数百名は退所ないし自主休講または他予備校へ転籍するため、実際の合格率は相当高いものと見込まれる。なお、中央大学在籍・出身者の公認会計士試験合格者のうち、経理研究所以外(即ち、専門学校生)の合格者の割合は、例年中央大学全体の2割程度である。

講師[編集]

現在は下記に挙げる10名の専任講師(全て公認会計士)を中心に、100名近くに及ぶ大手監査法人勤務の現役の会計士(旧制度における会計士補や、現役合格の大学生・院生を含む)や税理士が講義・答案練習・ゼミ・個別指導・質問コーナーを担当している。かつては大学教授や非常勤講師が日中の講義の片手間で行っていたが、2000年代に小島一富士を中心とする公認会計士主体の専任講師体制に移行し、従前と比べ良質な受験指導体制が整っている。なお、専任講師は中央大学経理研究所のOBで構成されており、本稿では氏名の括弧欄に最終学歴を併記した。

  • 小島一富士(商学部会計学科卒、朝日大学経営学部教授):主任講師、会計学(財務会計論)・監査論等
  • 吉田和広(商学部卒、朝日大学経営学部教授):会計学等
  • 荻原大輔(経済学部卒):会計学・監査論等
  • 上出亮(経済学部卒):租税法等
  • 門田隆太郎(商学研究科商学専攻博士前期課程修了):会計学(管理会計論)等
  • 安藤大樹(経済学部卒):経営学等
  • 古田満正(商学部卒):民法・企業法等
  • 岡本進(商学部卒、朝日大学経営学部准教授):会計学・租税法等
  • 関口高弘(商学部卒):会計学等
  • 横田昌彦(商学部卒):会計学・監査論・企業法等

設置コース[編集]

公認会計士講座[編集]

高大連携プログラム及び推薦入学者対象
  • 飛び級コース
下記のコースとは異なり、一般募集は行っていない。高校時代に簿記1級・全経上級・税理士科目を合格し、簿記大会で優秀な成績を収めた商業高校出身者のみ受講資格がある。2010年に中央大学発行の公式パンフレットにも記載されるまでは、学内の関係者のみに知られる存在であった。短答0,5年コースと呼ばれることもある。
3年プラン
  • 短答1年コース(若干名。商業高校生や附属学校卒業生向けであるが、普通高校で2年次合格を果たした学生もいる)
  • 短答1.5年コース
4年プラン
  • 短答2年コース
  • 短答2.5年コース
卒業生及び3年プラン修了の学部4年生対象
  • 公認会計士上級講座

日商簿記検定対策講座[編集]

  • 簿記会計講座
  • 簿記会計上級講座
  • 簿記セミナー
  • Web簿記セミナー

税理士特別講座[編集]

  • 税理士基礎コース

その他[編集]

研究室・自習室[編集]

定期的に実施される選抜試験で一定の水準以上の得点を得た者は、多摩学生研究棟(炎の塔)3階・4号館3階・駿河台記念館のいずれかの研究室にて専用の自習席が貸与される。この座席は試験毎に入替制となっているが、短答式試験合格者は試験の結果にかかわらず座席の貸与・入替制の免除が保証されている。自習可能時間は8時から23時までとなっており、原則年中無休(各館の定期清掃日を除く)である。特筆すべき点として、先の年中無休には「年末年始」と「大学入試期間」も含まれている事が挙げられる。年末年始は全ての学生が(1月1日~3日も含めて)無条件に利用可能である。また、炎の塔は一般入試期間中であっても研究室貸与者のみ正門からの特別入構が許可されている(学食の利用も条件付きで認められている)他、4号館などの一部の施設(Cスクエア・体育館も含む)は第1・2ゲート及び西門地上入口からのみという条件付きながら全ての学生が入構可能となっている(ただし、学食の利用はできない)。

また、専用の自習席が貸与されていない学生にも自習する機会を保証するため、7号館に経理研究所生専用の自習室が開放されている他、中央図書館・商学部図書室には電卓専用スペース(経済学部図書室は電卓自習室)が設けられている。ただし、いずれも毎週日曜日は利用不可(図書館・図書室は平日・土曜日でも臨時休館となる日がある)である上、平日・土曜日でも8時(図書館・図書室は9時)から22時までしか利用できないなど、研究室貸与者との差別化が行われている。

アクセス(多摩キャンパス・炎の塔)[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]