メルセデス・ベンツ・W126

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メルセデス・ベンツ・Sクラス
W126/V126
300SEL
1987-1992 Mercedes-Benz 300 SEL (W126) sedan 02.jpg
販売期間 1979年-1991年
乗車定員 4 - 5人
ボディタイプ 4ドアセダン
エンジン 直6 2.6 L / 2.8 L / 3.0 L
V8 3.8 L / 4.2 L / 5L / 5.6 L
直5 ディーゼル 3.0 L
直6 ディーゼル 3.0 L / 3.5 L
駆動方式 FR
変速機 4速MT / 5速MT / 4速AT
全長 標準:5,020 mm
ロング:5,130 mm / 5,160 mm
全幅 1,820mm
全高 標準:1,430 mm
ロング:1,440 mm
ホイールベース 260/300/380/420SE:2,935 mm
500/560SE:2,930 mm
300/380/420SEL:3,075 mm
500/560SEL:3,070 mm
車両重量 ロング:1,725kg
先代 メルセデス・ベンツ・W116
後継 メルセデス・ベンツ・W140
-自動車のスペック表-

メルセデス・ベンツ・W126Mercedes-Benz W126 )は、ドイツ自動車メーカーであるダイムラーメルセデス・ベンツブランドで展開しているSクラスの、2代目モデルである。W126はそのコードネーム。1979年から1991年まで製造・販売された。

派生モデルとしてクーペタイプのSEC(C126)が登場している。なおロングボディ仕様には別途「V126」というコードネームがあるが、通常はそれも含め「W126」と呼ばれる。

概要[編集]

メルセデス・ベンツSクラスは、永きにわたり世界の富裕層から信頼されている高級車である。高価格ではあるが、それ以上の品質と信頼性・安全性を備えているという意味で「最高の道具である」とも評される。W126は、その評価を確固たるものとした車であり、歴代Sクラスの中で最も販売台数の多いモデルである。

W126(以下、V126も含む)は、2代目Sクラスとして1979年9月にフランクフルト国際モーターショーにて初公開された。初めは標準ホイールベースセダン(SE・SD)とロングホイールベースセダン(SEL・SDL)のみ発売されたが、1981年9月にはクーペタイプ(SEC)も発売された。発売した13年間において、全世界で89万2,123台(セダン81万8,063台、クーペ7万4,060台)売れ、W126は最も人気の高いSクラスであった。日本での発売時期はバブル期にかかっているため、非常によく売れたモデルの一つであった。新たな自動車工学の導入や安全性の向上、パワーシートなどの快適装備の導入など、メルセデス・ベンツのフラグシップに相応しい改良が行われた。特に上級モデルの500と560には以下の装備が搭載された。

特長[編集]

500SEL 運転席
500SEL 後部座席
W126 スイッチ類

W126はボディ形状に空力的なリファインを施した最初の高級車である。先代W116の持つ高度な走行性能や快適性、徹底した安全性を引き継ぐとともに、オイルショック後の時代背景を受け、省エネルギーと環境保護を念頭に置き開発された。W116と比べ車幅を縮小し軽量化した車体を持つ。

外装[編集]

  • 空力性能に優れる。空気抵抗係数(Cd値)は0.35~0.37と、W116から約14%も削減され、当時としては極めて低い。ただし一方で、前後方向の空力性能を優先したために横風に弱いという評価もある。
  • バンパーはW116のクロームメッキスチールのダブルバンパーから、初の合成樹脂製一体成型バンパー(ポリウレタン製)に変更された。ボディサイドには「サッコプレート」と呼ばれるサイドプロテクターが装備された。この「サッコ」とは、当時のデザイナー、ブルーノ・サッコの名前から来ている。

視界[編集]

  • 大型のレインランネルを装備し、特にAピラー脇のレインランネルは雨天走行時、ワイパーが拭った雨滴がサイドの窓ガラスを汚すことを防止する。
  • メルセデス・ベンツ初のコンシールドワイパー(ボンネット格納式ワイパー)。独特の動きをするワイパーは雨滴の78%を拭き取るとともに空力的配慮がなされ、高速走行時の浮きあがりを防止する。

灯火類[編集]

  • 遠くからでも見やすく、周囲に意志を確実に伝えることができるよう、前後の灯火類(ウインカーリアコンビネーションランプ)は大型かつシンプルな形状のものが採用されている。これらには凸凹がつけられており、悪天候時にレンズがで汚れても、その凹みにより視認性が確保できるように配慮されている。
  • 前述のレインランネルにより、サイドの窓ガラスが汚れないように設計されているだけでなく、走行中に後部へと流れた雨滴はボディとトランクリッドの隙間を流れるように誘導され、リアコンビネーションランプを汚さないように設計されている。
  • 一部車種はヘッドライトワイパーを装備する。これにより雨天時や悪路走行時、ヘッドライトに付着した汚れを落とし視界を確保できる。

内装[編集]

  • 内装の仕立ては極めてシンプルかつ上質である。なかでもダッシュボードの設計やスイッチ・レバー類の配置は、使いやすさや操作ミス防止を最優先に設計されている。これは前モデル(W116)譲りであり、同クラスの高級車にありがちな過剰装飾やデザイン優先とは無縁である。そのため操作系は非常に分かりやすく、特にメーター類は各情報を確実に確認できるよう配慮されている。
  • パワーシート装備。モデルによってはシートポジションのメモリー機能も装備。ドアノブの脇に配置されたスイッチはシート形状を模しており、直感的に操作できる。
  • シートは基本フレームに金属スプリングを多用しサスペンション能力を持たせてある。馬の毛やココヤシ繊維などで覆われた多層構造である。
  • 初期型のステアリングは大型(直径41cm)のものを採用している。これはパワーステアリングの故障があっても、大きな入力が可能な大径ステアリングならば操作できるというもの。ただし後期型からは直径39cmの標準径に変更された。
  • 上級グレードにはステアリングにエアバッグが搭載されたが、日本仕様では1987年まで火薬類取締法に抵触し、オプションのリストにすら存在しなかった(同様に本国では標準装備されていたプリテンショナー・テンションリデューサー機能付シートベルトも日本仕様は外されていた)。これらの装備が認可されるのは1987年になってからのことである。
  • 助手席エアバッグが採用されたファイナルモデルの560SELの場合、助手席のグローブボックスのスペースにエアバッグユニットを収めたため、グローブボックスが無くなり、代わりにセンターコンソールからつながる、運転席アームレスト下のトレイに鍵つきのシャッターを備えた小物入れが設定された。

機関[編集]

  • ステアリングにはボール・ナット式を採用している。
  • サスペンションセッティングはロング版とショート版で異なる。また560SELには油圧式のセルフレベリングサスペンションが装備された。ショート版が本国と同様の固めのセッティングになっている。
  • W116で登場したスペシャルモデル「450SEL 6.9」の直接の後継車は、W126では用意されていない。最上級車種は500/560SELおよびSECとなる。

並行輸入[編集]

  • 1980年代には正規ディーラー車以外に並行輸入車が多数存在した。これは排出ガス規制の関係上、並行輸入車のほうがディーラー車に比べパワーがあり安価であったため。ただし1989年からの後期モデルでは、正規輸入の日本仕様で触媒方式が変更され出力差が縮小しており、また並行輸入車は元より日本向けに仕様を合わせていないことから、オーバーヒートしやすい・部品が合わない等の欠点があり、サービス面でも正規ディーラーからは敬遠され、販売台数は減少している。

モデル[編集]

500SE
560SEC
500SECと560SEL

日本での販売モデル(正規輸入車)[編集]

  • 280SE(直列6気筒 DOHC 2,746cc 185PS)
  • 300SD(直列5気筒 SOHCターボディーゼル 2,998cc 125PS)
  • 300SE(直列6気筒 SOHC 2,960cc 185PS)後期
  • 380SEL(V型8気筒 SOHC 3,839cc 160PS)
  • 380SEC(V型8気筒 SOHC 3,839cc 160PS)
  • 420SEL(V型8気筒 SOHC 4,195cc 210PS/230PS)後期
  • 500SE(V型8気筒 SOHC 4,973cc 255PS)後期
  • 500SEL(V型8気筒 SOHC 4,973cc 190PS)
  • 500SEC(V型8気筒 SOHC 4,973cc 190PS)
  • 560SEL(V型8気筒 SOHC 5,546cc 245PS/285PS)後期
  • 560SEC(V型8気筒 SOHC 5,546cc 245PS/285PS)後期
  • AMG560SEL6.0‐4V(V型8気筒 DOHC 5,956cc 350PS)後期
  • AMG560SEL6.0‐2V(V型8気筒 SOHC 5,956cc 320PS)後期
  • AMG560SEL5.6‐2V(V型8気筒 SOHC 5,546cc 300PS)後期
  • AMG560SEC6.0‐4V(V型8気筒 DOHC 5,956cc 350PS)後期
  • AMG560SEC5.6‐2V(V型8気筒 SOHC 5,546cc 300PS)後期
  • 日本国内では300SEのみに右ハンドル仕様車が用意されたが、560SELなどの右ハンドル仕様が(正規輸入・並行輸入ともに)少数販売されている。
  • ハイヤー業者などからのリクエストにより、300SEのロング版(300SEL)がヤナセの手により少数輸入販売されている。

海外での販売モデル[編集]

  • 1979-1985
  • 280S/280SE/280SEL(アメリカを除く)
  • 300SD(1981-1985 アメリカ、カナダ)
  • 380SE/SEL/SEC
  • 500SE/500SEL/500SEC(アメリカを除く)
  • 1986-1992
  • 260SE(アメリカを除く)
  • 300SE/300SEL
  • 300SDL(1986-1987)
  • 350SD/350SDL(1990-1992)
  • 420SE/420SEL/420SEC
  • 500SE/500SEL/500SEC
  • 560SE/560SEL/560SEC
  • ※S、SE、SDは標準ホイールベースセダン、SEL、SDLはロングホイールベースセダン、SECはクーペモデル(現在のSクラスクーペ

日本での価格設定[編集]

最終モデルに相当する1990年の正規販売価格(定価)は次の通りであった。いずれも消費税を含まない。

  • 560SEL:1355万円
  • 300SE:840万円
  • 560SEC:1465万円

その他[編集]

Trasco 1000SEL
モンテヴェルディ・ティアラ

各国のコーチビルダーや車両改造業者による各種バージョンがある。リムジンシューティングブレーク(ワゴンボディ)など。スイスにかつて存在した高級車メーカーであるモンテヴェルディは、W126の前後デザインを変更しサッコプレートを取り外したモデルを「ティアラ」として発表している。

関連項目[編集]