フランク三浦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

フランク三浦(フランクみうら)は、日本大阪府大阪市にある株式会社ディンクスが製造販売する腕時計オリジナルブランド登録商標第5517482号[1])。フランク・ミュラーとの間で商標権をめぐって訴訟となったが、最終的に勝訴した。

歴史[編集]

フランク三浦の製造元であるディンクスは元々時計の製造や輸入販売が本業[2]で、オリジナルの時計などを製造していた[3]。ディンクスの下部良貴社長はPL学園でキャッチャーを務めた元野球球児で、同期に元東京ヤクルトスワローズ宮本慎也などがいる[4]

同ブランドの始まりは下部社長が社員と仕事後の雑談で格闘技の話をしていた時、時計業者から新商品を作らないかという話があり、ジョークでレスラーのようなマッチョの時計技師を思いついて提案した所、4、5人のうち1人に大うけしたことのがきっかけ[2][5]。最初の半年はあまり売れなかったが、アダルトビデオ店などに並び、AV女優の間では話題になっていた[5]

その後、とあるネットニュースで「クリスマスにプレゼントしてはいけない時計」の1位に選ばれたことをきっかけにブレイクし、サイトのアクセスが万単位を記録し、ドン・キホーテ博品館などからも商談が来るようになった[5]。銀座博品館では販売初月で150本の売り上げを記録している[6]

2012年5月、宮本慎也が2000本安打を達成した際、特注の「フランク三浦ヤクルト宮本2000安打記念時計モデル」をチームメイトにプレゼントしたことが報じられ[7]、芸能界でも知られるようになり、水沢アリーミラクルひかるなど、多くの愛好者を出すに至った[4]

フランク・ミュラーとの訴訟[編集]

ディンクスは取引先に安心してもらうことを目的に2012年8月に「フランク三浦」の商標を登録した[2][5]が、それをきっかけに知的財産権をめぐってフランク・ミュラーが特許庁に商標の無効を請求し、2015年9月には商標登録の無効判断が下された[8][9]

ディンクスは審決を不服として、商標無効の取り消しを求めた訴訟を知的財産高等裁判所に起こす。裁判でフランク・ミュラー側は「(三浦は)トップブランドとしての名声にただ乗りし、その価値をおとしめるもの」と主張したのに対し、ディンクス側は「巧妙なパロディにより需要を獲得しており、ただ乗りではない」と反論していた[10]2016年4月12日、知的財産高等裁判所は「三浦は漢字を含む手書き風の文字が使われており、明確に区別が出来る」[11]「多くが100万円以上の腕時計と4~6千円程度の時計が混同されるとは到底思えない」[2][10]との理由により、三浦の商標を認める判決を下した。フランク・ミュラーは最高裁に上告したが、棄却され、ディンクスの勝訴が確定した[11][12][注釈 1]

ディンクスによると、高裁での裁判後は知名度が上がり、一時は在庫が無くなるほどの人気になったという[5][9]

概要[編集]

スイスの高級腕時計メーカーであるフランク・ミュラーのパロディブランドで、西成出身の自称天才時計師のフランク三浦が作るという設定をとる[14]。完全非防水を謳い、2010年から販売が開始された。文字盤にある「フランク三浦」の「浦」の「甫」に点がなく[注釈 2][5]、裏蓋には「完全非防水」または「非防水」と刻印されているのが特徴。

コラボレーションモデルを積極的にリリースしており、前述の「ヤクルト宮本2000安打記念時計モデル」[注釈 3]を皮切りにデイリースポーツ東京スポーツとのコラボモデル[15]テレンス・リーとの「傭兵モデル」[16]池内ひろ美が主催するNPO法人「Girl Power」とのコラボモデル[17]などが存在する。下部社長のPL学園時代の先輩である野村弘樹とのコラボバージョンも発売されている[18]

ご当地モデル[編集]

ディンクスでは47都道府県ごとにその土地のシンボルとなる人や物が文字盤に描かれている「ご当地三浦」を販売している[19][20]。兵庫県モデルでは姫路城宮本武蔵[21]、鹿児島県モデルでは西郷隆盛桜島[19]が描かれ、埼玉県モデルでは県民に馴染みが深い「池袋」の文字が1時の位置に書かれている[20]

これは2015年にクラウドファンディングのMakuakeで企画したもので、3カ月で1100万円が集まったという[22]。一番人気は広島県モデルであった[22]

注釈[編集]

  1. ^ ただし本判決は、本件商標が登録要件を満たすと判断したものであって、侵害に該当しないと判断したものではない[13]
  2. ^ フランク三浦はどこの国の人か分からず、漢字も読めないという設定のため。
  3. ^ 非売品。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ フランク三浦 商標出願・登録情報(簡易表示) - 特許情報プラットフォーム、2017年10月16日閲覧。
  2. ^ a b c d 「(ニュースQ3)「フランク三浦」勝訴、パロディーの線引きは?」.『朝日新聞』.2016年4月26日付朝刊、29面。
  3. ^ 講談社 2014, p. 32.
  4. ^ a b 講談社 2014, p. 32-33.
  5. ^ a b c d e f 「「フランク・ミュラー」と商標バトル、「オモロイ」でええやん、「フランク三浦」下部社長に聞く、いつやめてもいい。」.『日経MJ(流通新聞)』.2016年6月10日付、3面。
  6. ^ “各界の著名人も愛用するパロディ腕時計“フランク三浦”ってなんだ?”. 週プレNEWS (集英社). (2014年6月7日). http://wpb.shueisha.co.jp/2014/06/07/31015/ 2017年11月10日閲覧。 
  7. ^ ヤクルト宮本も愛用「謎の天才時計師、フランク三浦」
  8. ^ 平成27年(行ケ)第10219号審決取消請求事件(PDF)、2017年10月16日閲覧。
  9. ^ a b 「商標登録無効の審決「取り消し」で「フランク三浦」腕時計 思わぬ特需 注文殺到、在庫切れ」.『夕刊フジ』.2016年5月20日付夕刊、5面。
  10. ^ a b 「「フランク三浦」にお墨付き 4000円 知財高裁、商標認める」.『産経新聞(大阪)』.2016年4月13日付夕刊、社会面。
  11. ^ a b 「どう見ても「フランク三浦」 最高裁、上告を棄却 フランク・ミュラー敗訴」.『読売新聞』.2017年3月7日付朝刊、35面。
  12. ^ フランク三浦の勝訴確定 「フランク・ミュラー」と訴訟 - 『日本経済新聞』2017年3月6日配信、2017年10月16日閲覧。
  13. ^ 弁理士クラブ知的財産実務研究所【編】『実務家のための知的財産権判例70選〈2017年度版〉』、発明推進協会、2017年、128頁。
  14. ^ 朝日新聞出版 2013, p. 183.
  15. ^ 光文社 2014, p. 46.
  16. ^ 講談社 2014, p. 33.
  17. ^ 経済界 2017, p. 149.
  18. ^ 光文社 2014, p. 45.
  19. ^ a b 光文社 2016, p. 236.
  20. ^ a b 「落語・ガチャ・ビール…都道府県モノが熱い!!、47の「個性」が魅力、地元愛・収集欲くすぐる。」.『日経MJ(流通新聞)』.2016年11月25日付、16面。
  21. ^ 「文字盤に姫路城、宮本武蔵、明石焼き・・・ 地元愛くすぐるご当地ウオッチ」.『神戸新聞』.2015年10月29日付夕刊、8面。
  22. ^ a b 「『アモーレ三浦』オモロくない?、「フランク三浦」、7月にも新デザイン。」.『日経MJ(流通新聞)』.2016年6月10日付、7面。

参考文献[編集]

  • 「バッタもんか? パロディか? どうでもいいか!? ギャグ腕時計「フランク三浦」にハマる有名人たち」、『FRIDAY』2014年8月15日号、講談社2014年8月15日、 32-33頁。
  • 「超高級時計フランク・ミュラーも 脱力する「フランク三浦」の人気」、『週刊朝日』2013年7月5日増大号、朝日新聞出版2013年7月5日、 183頁。
  • 「「フランク三浦」の三浦一族初の女性メンバー・アマゾネス三浦がおススメ ご当地フランク三浦大集合」、『女性自身』2016年5月10・17日合併号、光文社2016年4月26日、 236頁。
  • 「君は「フランク三浦」を知ってるか?」、『FLASH』2014年9月9日号、光文社、2014年8月26日、 44-47頁。
  • 「燦々トーク 後編 輝く女性のONとOFF 女性の健康と尊厳を守る 池内ひろ美(家族問題コンサルタント)」、『経済界』2017年4月4日-4月18日号、経済界2017年3月21日、 148-149頁。

外部リンク[編集]