ヒレハリソウ

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ヒレハリソウ
Gemeiner Beinwell01.jpg
ヒレハリソウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: シソ目 Lamiales
: ムラサキ科 Boraginaceae
: ヒレハリソウSymphytum
: ヒレハリソウ S. officinale
学名
Symphytum officinale
L. (1753)
和名
ヒレハリソウ

ヒレハリソウ(鰭玻璃草、学名:Symphytum officinale)は、ムラサキ科ヒレハリソウ属の多年生草木である。別名は、英名のコンフリー (Comfrey) で知られている。中国植物名は、西門肺草(せいもんはいそう)[1]

特徴[編集]

コンフリーの名前でよく知られていて、庭木や鉢植えでよく見かける多年草で、夏に垂れ下がって咲く淡紅色のから、玻璃草(はりくさ)と呼ばれ、下葉に魚のヒレのようなものがあることが、和名の由来になっている[2]

ヨーロッパから西アジア(コーカサス地方)、シベリア西部の地域の原産といわれている[2]。日本では、広く栽培されたり、野生化して道ばたなどでも見かける[1][3]。草丈は30 - 90センチメートル (cm) になる。全体に白い短粗毛が生えていて、茎に翼がある[2][3]。葉は卵形披針状で、下部の葉は大きくて葉柄があるが、上葉には葉柄はなくなって、茎に流れて翼となる[3]

初夏の6 - 8月ころ、淡紅色の釣り鐘形の花を垂れ下げる[2]。花の色は、白、黄、紫など短い花柄で下向きについて、花冠は筒状、先の半分は釣鐘状にふくれ先端が5裂する[4]

茎に翼がないオオハリソウとの雑種ロシアコンフリーが多くなっていて、茎の翼の幅が狭く、次の葉の付け根まで達しないことや、花筒の先端部分がヒレハリソウより大きく鐘状にふくらんでいることで見分けられる[3]

歴史[編集]

ヨーロッパでは、古くから根や葉を抗炎症薬や骨折を治すのに伝統的に用いていた。 サラセンズ・ルートという名前で昔から知られ、イギリスには十字軍遠征から戻った兵士が伝えたと言われている。接骨剤としてもちいるため、中世ヨーロッパでは農家などに大きく広まった[5]

日本へは観賞用として明治時代に導入され、家畜の飼料や食用として利用された。昭和40年代に健康食品として一時期大ブームとなり、植えられたものが一部野生化した。日本では、葉を天ぷらなどにして食べることが多かった。また、胃潰瘍大腸炎などの病気に、コンフリーの錠剤やハーブティーを飲むことがあったが、大量に服用すると肝臓を傷めるという事で現在では行われていない[5]

かつての利用方法[編集]

根、根茎などにアルカロイドであるコンソリジンシンフィトシノグロシンなどと、粘液質タンニンなどを含んでいる[2]。タンニンには収斂作用があり、過去には下痢止めに内服されたり、湿疹かぶれなどの湿布に活用されていた[2]。生葉には、水分90%と、粗蛋白質約2.4%、粗脂肪約0.2%、ミネラルビタミン群のビタミンAビタミンB1ビタミンB2ビタミンCニコチン酸バントテン酸ビタミンB6ビタミンB12などを含み、滋養保険、青汁原料、食用などに広く用いられた[2]。欧米では根茎を主に外用とし、内用は毒性があるので多用しない[3]。かつて、日本では葉を強壮食品、根は浴湯料とした[3]。浴湯料としては、若々しい皮膚にするので、美容効果があるとみなされた[3]

民間療法では、下痢止めの生薬として、秋に根や根茎を掘って洗い、日干ししたものをコンソリダ根、またはコンフリーと呼んで、煎じて3回に分服する用法が知られていた[2]。また、湿疹、かぶれに、煎じ液を用いて冷湿布とした[2]。滋養保険に生の葉を青汁にしたり、天ぷらお浸し和え物などとして調理し、食用されていた[2]

かつては、何にでも効くという触れ込みでで広まっていったが、今では見る影もなくなっている[1]。薬草は本来、症状や体質によって使い分けていかなければならないものであるが、それを無視した事例であると言える[1]

栽培[編集]

やや湿り気のある土壌を選び、丈夫でどんな環境でも育ちやすいので、野生化している[3]。繁殖は株分けで行われている[3]

毒性[編集]

厚生労働省は、2004年6月14日、コンフリーを含む食品を摂取して肝障害(肝静脈閉塞性疾患で、主に肝臓の細静脈の非血栓性閉塞による肝硬変又は肝不全及び肝臓癌)を起こす例が海外で多数報告されているとして、摂取を控えるよう注意を呼びかけると共に、2004年6月18日食品としての販売を禁止した[6]。加熱によって、毒性が軽減されるというデータはない[7]

この症状は、ピロリジジンアルカロイドのエチミジン(echimidine)[8]によって引き起こされる。最も濃度が高いのは根である。シトクロムP450によるアルカロイドの体内変換が原因と考えられ、急性毒性が有るほか胎盤を通じた胎児(新生児)への影響が報告されている[9]

画像[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 貝津好孝 1995, p. 64.
  2. ^ a b c d e f g h i j 田中孝治 1995, p. 108.
  3. ^ a b c d e f g h i 馬場篤 1996, p. 97.
  4. ^ 馬場篤 1995, p. 97.
  5. ^ a b 北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版、2005年、46 - 47頁
  6. ^ シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて(その2)厚生労働省
  7. ^ シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて厚生労働省
  8. ^ Echimidine Planta Analytica
  9. ^ 佐竹元吉:植物性の健康食品の安全性について 食品衛生学雑誌 Vol. 51 (2010) No. 6 P 408-414

参考文献[編集]

  • 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、64頁。ISBN 4-09-208016-6
  • 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、108頁。ISBN 4-06-195372-9
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、97頁。ISBN 4-416-49618-4

関連項目[編集]


外部リンク[編集]