テルル化鉛

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テルル化鉛[1][2][3]
識別情報
CAS登録番号 1314-91-6 チェック
PubChem 4389803
特性
化学式 PbTe
モル質量 334.80 g/mol
外観 灰色の立方晶
密度 8.164 g/cm3
融点

924 °C, 1197 K, 1695 °F

への溶解度 不溶
バンドギャップ 0.25 eV (0 K)
0.32 eV (300 K)
電子移動度 1600 cm2 V−1 s−1 (0 K)
6000 cm2 V−1 s−1 (300 K)
構造
結晶構造 岩塩(立方)、cF8
空間群 Fm3m, No. 225
格子定数 (a, b, c) a = 6.46 Å
配位構造 八面体 (Pb2+)
八面体 (Te2−)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -70.7 kJ·mol−1
標準燃焼熱 ΔcHo 110.0 J·mol−1·K−1
標準モルエントロピー So 50.5 J·mol−1·K−1
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
EU分類 Repr. Cat. 1/3
Harmful (Xn)
Dangerous for the environment (N)
Rフレーズ R61, R20/22, R33, R62, R50/53
Sフレーズ S53, S45, S60, S61
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陰イオン 酸化鉛(II)
硫化鉛(II)
セレン化鉛
その他の陽イオン 一テルル化炭素
一テルル化ケイ素
テルル化ゲルマニウム
テルル化スズ
関連物質 テルル化タリウム
テルル化ビスマス
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テルル化鉛テルルの化合物。化学式はPbTe。陽イオンを占めるPb原子と陰イオン格子を形成するTeがNaClの結晶構造で結晶化する。0.32eVのバンドギャップを持つナローギャップ半導体である[4]テルル鉛鉱として自然に生じる。

性質[編集]

  • 比誘電率 ~1000.
  • 電子の有効質量 ~ 0.01me
  • 正孔移動度μp = 600 cm2 V−1 s−1 (0 K); 4000 cm2 V−1 s−1 (300 K)

用途[編集]

PbTeは非常に重要な中間熱電材料であることが示されている。熱電材料の性能は性能指数ゼーベック係数電気伝導率熱伝導率)で評価できる。材料の熱電性能を向上させるには力率()を最大化し、熱伝導率を最小化する必要がある[5]

PbTeシステムは、バンドエンジニアリングによって力率を改善し発電用途に最適化することができる。適切なドーパントでn型もしくはp型のどちらかにドープすることができる。ハロゲンがp型ドーピング剤としてよく使われる。PbCl2, PbBr2およびPbI2はドナー中心を作るために一般的に使われる。Bi2Te3, TaTe2, MnTe2などの他のn型ドーピング剤はPbの代わりになり帯電していない空のPbサイトを生成する。これらの空のサイトはその後過剰な鉛なからの原子により埋められ、これらの空の原子の価電子は結晶を通して拡散する。一般的なp型ドーピング剤は、Na2Te, K2TeおよびAg2Teである。これらはTeの代わりに空の帯電していないTeサイトを作り出す。これらの際とはイオン化されて追加の正孔を生成するTe原子で埋められる[6]。バンドギャップエンジニアリングにより、PbTeの最大のzTは~650Kで0.8 - 1.0と報告されている。

ノースウエスタン大学における共同研究では「全規模階層型アーキテクチャ」(all-scale hierarchical architecturing)を使用して熱伝導率を大幅に低減しPbTeのzTを向上させた[7]。このアプローチで点欠陥、ナノスケール析出物、メソスケール結晶粒界は電荷キャリア輸送に影響を与えることなく、平均自由行程が異なるフォノンの有効的な散乱中心として導入される。この手法を適用することにより、NaドープPbTe-SrTeシステムで達成されたPbTeのzTの記録値は約2.2である[8]

さらに、PbTeはしばしばスズと合金化してテルル化鉛スズを作る。これは赤外線検出器の材料として使用される。

脚注[編集]

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  1. ^ Lide, David R. (1998), Handbook of Chemistry and Physics (87 ed.), Boca Raton, Florida: CRC Press, pp. 4–65, ISBN 978-0-8493-0594-8 
  2. ^ CRC Handbook, pp. 5–24.
  3. ^ Lawson, William D (1951). “A method of growing single crystals of lead telluride and selenide”. J. Appl. Phys. 22 (12): 1444–1447. doi:10.1063/1.1699890. 
  4. ^ Kanatzidis, Mercouri G. (2009-10-07). “Nanostructured Thermoelectrics: The New Paradigm? †”. Chemistry of Materials 22 (3): 648–659. doi:10.1021/cm902195j. 
  5. ^ He, Jiaqing; Kanatzidis, Mercouri G.; Dravid, Vinayak P. (2013-05-01). “High performance bulk thermoelectrics via a panoscopic approach”. Materials Today 16 (5): 166–176. doi:10.1016/j.mattod.2013.05.004. 
  6. ^ Dughaish, Z. H. (2002-09-01). “Lead telluride as a thermoelectric material for thermoelectric power generation”. Physica B: Condensed Matter 322 (1–2): 205–223. doi:10.1016/S0921-4526(02)01187-0. 
  7. ^ Biswas, Kanishka; He, Jiaqing; Zhang, Qichun; Wang, Guoyu; Uher, Ctirad; Dravid, Vinayak P.; Kanatzidis, Mercouri G. (2011-02-01). “Strained endotaxial nanostructures with high thermoelectric figure of merit”. Nature Chemistry 3 (2): 160–166. doi:10.1038/nchem.955. ISSN 1755-4330. PMID 21258390. 
  8. ^ Biswas, Kanishka; He, Jiaqing; Blum, Ivan D.; Wu, Chun-I.; Hogan, Timothy P.; Seidman, David N.; Dravid, Vinayak P.; Kanatzidis, Mercouri G. (2012-09-20). “High-performance bulk thermoelectrics with all-scale hierarchical architectures”. Nature 489 (7416): 414–418. doi:10.1038/nature11439. ISSN 0028-0836. PMID 22996556. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]