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アジ化鉛(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アジ化鉛(II)
Skeletal formula of lead(II) azide
Skeletal formula of lead(II) azide
Lead(II) azide (modified beta)
Lead(II) azide (modified beta)
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.033.206 ウィキデータを編集
EC番号
  • 236-542-1
UNII
国連/北米番号 0129
性質
Pb(N
3
)
2
モル質量 291.2 g·mol−1
外観 白色の粉末
密度 4.71 g/cm3
融点 190 °C (374 °F; 463 K) 分解[2] 350 °Cで爆発[1]
2.3 g/100 mL (18 °C)
9.0 g/100 mL (70 °C)[1]
溶解度 酢酸によく溶ける
アンモニア水[1]NH4OHに溶けない[2]
熱化学
標準生成熱 fH298)
462.3 kJ/mol[1]
爆発性データ
衝撃感度 高い
摩擦感度 高い
爆速 5180 m/s
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
有害、爆発性
GHS表示:
爆発物急性毒性(高毒性)経口・吸飲による有害性水生環境への有害性[3]
Danger
H200, H302, H332, H360, H373, H410[3]
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
350 °C (662 °F; 623 K)
関連する物質
その他の
陽イオン
アジ化カリウム
アジ化ナトリウム
アジ化銅(II)
関連物質 アジ化水素
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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アジ化鉛(II)(あじかなまり に、: lead(II) azide)とはアジ化物で、爆薬として使用される。現在では DDNP への移行が進みあまり使用されなくなっているが、DDNP に比べて熱に強いため耐熱雷管などには現在でも起爆薬として使用されている。実際に雷管に使用する場合には着火性を良くする為にトリシネートテトラセンを混合する。

近年では鉛による環境汚染の問題から忌避されるようになり、使用されなくなりつつある。

製法

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アジ化ナトリウムの希水溶液に酢酸鉛(II)の希水溶液を徐々に加えると、針状晶として沈殿する。

単斜晶系のα型と斜方晶系のβ型があるが、起爆薬として用いられるのはα型アジ化鉛(II)のみである。これはβ型アジ化鉛(II)は物理的刺激に対して極端に敏感であり、取り扱いが危険であることによる。そのため、アジ化鉛(II)の製造・保存に際してはβ型アジ化鉛(II)を発生させないよう特に注意を払う必要がある。

性質

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  • 水またはアルコールに対しては不溶である、そのため貯蔵する時は水中またはアルコールの混合液の中に保存する。ただし、長期間保存すると結晶が成長して爆発しやすくなり危険であるため長期間の保存は避けなければならない。
  • と反応し極めて鋭敏で危険なアジ化銅(II)を生成する。そのためアジ化鉛に接触する機器は銅や真鍮の使用が忌避され、主にアルミニウムが用いられる。
  • 着火すると直ちに確実に爆轟を起す。

出典

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  1. ^ a b c d Pradyot, Patnaik (2003). Handbook of Inorganic Chemicals. The McGraw-Hill Companies, Inc.. ISBN 0-07-049439-8 
  2. ^ a b CID 61600 - PubChem
  3. ^ a b Safety Data Sheet of Electronic Detonators, Division 1.4”. ocsresponds.com. Owen Oil Tools LP (2014年3月21日). 2014年6月9日閲覧。
  4. ^ Keller, J.J. (1978). Hazardous Materials Guide: Suppl, Issue 4. Abel Guerrero 

 関連項目 

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