タピオカ

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タピオカ(パール、乾)[1]
Tapioca-1.jpg
乾燥状態のタピオカパール
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,486 kJ (355 kcal)
87.8 g
食物繊維 0.5 g
0.2 g
ミネラル
ナトリウム
(0%)
5 mg
カリウム
(0%)
12 mg
カルシウム
(2%)
24 mg
マグネシウム
(1%)
3 mg
リン
(1%)
8 mg
鉄分
(4%)
0.5 mg
亜鉛
(1%)
0.1 mg
(1%)
0.01 mg
他の成分
水分 11.9 g
水溶性食物繊維 0.2 g
不溶性食物繊維 0.2 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

タピオカ (ポルトガル語英語: tapioca [2][3]) とは、キャッサバ根茎から製造した澱粉でんぷん[4]。また、それを使った料理[5]。飲料などに入れられる球状の加工品は「タピオカパール」、それに加工される前の刻んで乾燥されたキャッサバは「タピオカチップ」と呼ばれる[6]菓子の材料や料理のとろみ付けに用いられるほか、つなぎ(結着剤)としても用いられる。の強度を上げるための薬剤の原料としても重要である。

名称[編集]

キャッサバ澱粉を "tapioka" と呼ぶのは、ブラジルの先住民の古いトゥピ語英語版で "starchy food made from cassava"「キャッサバを原料とした食品加工法」を意味する名詞 "tipi'oka(ティピオカ)" [3]および "tapi'oka(タピオカ)" に由来する。ブラジルはかつてポルトガルの植民地であり、それが "tapioca(タピオカ)" という語形でポルトガル語に移入されたのを起源とする[3][7]

中国語では「木薯簡体字:同左拼音: -shǔ; 日本語音写: ムゥーシゥー)」という[3]閩南語では「樹薯簡体字:同左拼音: chhiū-chî, chhiū-chût; 日本語音写例: チュウチー、チュウツゥッ)」という[3]

概要[編集]

キャッサバは、南アメリカの北東ブラジルが原産であるが、根茎に多くの澱粉を持つことから、世界各地で重要な作物として栽培されており、食用や工業原料として広く利用されている。キャッサバやそこから精製されたタピオカ澱粉は、ヒトの食用以外に養豚飼料バイオ燃料にも使われる[6]

タピオカには小麦粉が含むグルテンがなく、タンパク質もほとんどない。水分を加えて加熱すると糊化しやすく、抱水力が強いのが特徴である。

利用[編集]

食用[編集]

食品の増粘剤として糊化したものが用いられる。また、ライスヌードル、冷凍うどんなどの麺類、菓子などの食感調整、品質維持にも用いられる。ミスタードーナツポン・デ・リング、白い鯛焼きなど、もちもちした食感の菓子を作るのに重要な役割を持つ。

タピオカパール[編集]

タピオカのスターチボール
タピオカティー(スターチボールを入れたミルクティー)

糊化させたタピオカを容器に入れ、回転させながら雪だるま式に球状に加工し、乾燥させたものは「スターチボール」「タピオカパール」などと呼ばれ、中国語で「粉円」(繁体字: 粉圓簡体字: 粉圆拼音: fěnyuán フェンユアン)と呼ぶ。煮戻してデザート飲料かき氷コンソメスープの浮身などに用いられる。黒、白、カラフルなタイプと様々に着色された製品がある。

タピオカパール、スターチボールをミルクティーに入れたタピオカティー: 珍珠奶茶)は、発祥の地である台湾はもとより、現在では日本や他の東南アジア欧米諸国などでも広く親しまれている。 乾燥状態で直径5mm以上の大きな粒の場合、煮戻すのに2時間程度かかる。また、水分を少なめにして煮ると粒同士が付きやすくなるので、型に入れて冷やし、粒々感のあるゼリーの様なデザートを作ることもできる。欧米では、カスタード風味のタピオカプディングがよく知られている。

中華点心では小粒のものを煮てココナッツミルクに入れて甘いデザートとして食べる。他に、ぜんざい白玉のように類を甘く煮た汁と合わせたり、果汁と合わせたりもする。

タピオカパールと同様の食品として、サゴヤシのでん粉で作られるサゴパールが有る。サゴパールは「西穀米」(繁体字: 西穀米簡体字: 西穀米拼音: xīgǔmǐ シーグーミー)「西米」(拼音: xīmǐ シーミー)と呼ばれていたが、現在は安価なタピオカパールに切り換えられているものが多く、「西米」という呼称も避けられている。

また日本ではタピオカパールの代用品としてこんにゃくが使用されることが多い。タピオカパールは茹でた状態で水中に放置した場合、水分を吸収してぶよぶよに膨張し、もちもちとした食感は失われる。また空気中に放置した場合は水分が再度蒸発して乾燥してしまう。このため「茹でてあるタピオカパールを注文を受けたその場でドリンク内に投入したりデザートにトッピングする」以外の「工場でドリンク内に投入されたりデザートにトッピングされパックされた状態で店舗へ納品されてくる」タイプの飲食製品に、本来のタピオカを使用することは不可能である。これを補うため、「甘い味付けとイカスミなどの色素による着色を施したこんにゃく(もちもち食感を出すために原料に少量のキャッサバを含める場合もある)」が代用品として使用されている。この代用こんにゃくタピオカを食した場合は、本来のタピオカパールを食した際であれば発生し得ないアレルギー反応などを生じることがあるため、日本においては商品名にタピオカと書いてあっても、原材料名やアレルゲン表示を確認する必要がある。

食品加工[編集]

デンプンには米ぬかを吸着する性質があるため、乾燥状態の硬さがちょうどいいことからも、無洗米を作るための方法の一つのNTWP(ネオ・テイスティ・ホワイト・プロセス)加工法に用いられる。

工業利用[編集]

酵素によるカチオン化処理を経て製紙用の乾燥紙力増強剤として利用される。使用する際には水を加えて加熱し、化した上でパルプの中に混ぜたり、紙の層の間にスプレーする。また、紙の表面に塗布して、吸水しにくくするための表面サイズ剤としても用いられる例がある。チューブのりの原料としても利用されている[8]

歴史[編集]

日本[編集]

同志社女子大学食文化を研究する長友麻希子によると、江戸時代後期の蘭学者であった高野長英はタピオカに「答必膃加」の字を当てて医薬書を翻訳したという[9][10]

明治時代半ばには高級な食材として知られ、大正時代の料理本に紹介された[10]第二次世界大戦中は前線兵士の代わりに空腹をいやした[10]戦後も食品の加工に使われてきた[10]

タピオカパール入り飲料は21世紀に至るまで断続的にブームが起きており、タピオカ飲料を飲むことを「タピる」「タピ活」と俗称することもある[6]タイ王国産のタピオカ澱粉を輸入した台湾企業がタピオカパールに加工し、日本へ輸出するという貿易が行われている[6]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 文部科学省科学技術・学術政策局政策課資源室 (2015年12月). “日本食品標準成分表2015年版(七訂) (PDF)”. 文部科学省. 2017年11月5日閲覧。
  2. ^ Brit.
  3. ^ a b c d e WSD.
  4. ^ kb.
  5. ^ kb-P英和中4.
  6. ^ a b c d 「タピオカ、ブーム去っても原料高 背景に中国養豚・バイオ燃料」『日経MJ』2021年11月26日ニュースなデータ面
  7. ^ WSD "tapi'oka".
  8. ^ 金井かおる「タピオカと学童用のりに深い関係 定番文具「ヤマト糊」の原料だった」『神戸新聞NEXT』神戸新聞社、2019年8月25日。2019年12月10日閲覧。
  9. ^ (天声人語)空前のタピオカブーム」『朝日新聞デジタル朝日新聞社、2019年11月12日、有料会員記事。2021年5月3日閲覧。
  10. ^ a b c d 空前のタピオカブーム”. 天声人語朝日新聞朝刊). 朝日新聞社 (2019年11月12日). 2019年11月15日閲覧。

参考資料・文献[編集]

辞事典

関連項目[編集]

外部リンク[編集]