シトロエン・タイプH

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タイプH: Type H、ティープ アッシュ)は、フランス自動車メーカー、シトロエンによって1948年から1981年まで生産・販売されていた貨物自動車である。日本にはH、Hトラックという名称で最大200台ほど輸入された。

シトロエン・タイプH
H#
Citroen hy sst.jpg
最終型 標準ホイールベース (フロント)
Citroen Type H (46450271492).jpg
最終型 標準ホイールベース (リヤ)
CitroenHYInt.jpg
最終型 内装(座席は換装されている)
概要
製造国 フランスの旗 フランス
ベルギーの旗 ベルギー
販売期間 1947年 - 1981年
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア トラック
4ドア ウォークスルーバン
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動 (FF)
パワートレイン
エンジン ガソリン
→ 1.6L 直列4気筒OHV (1963年 - 1981年)
1.9L 直列4気筒OHV (1948年 - 1981年)
ディーゼル
1.6L 直列4気筒OHV (1961年- 1964年)
→ 1.8L 直列4気筒OHV (1964年 - 1968年)
1.9L 直列4気筒OHV (1968年 - 1981年)
最高出力 ガソリン
1.6 L : 45 ps / 4,200 rpm
1.9 L : 58 ps / 4,500 rpm
ディーゼル
1.6 L : 42 ps / 3,600 rpm
1.8 L : 50 ps / 4,000 rpm
1.9 L : 57 ps / 4,000 rpm
変速機 3速 MT
サスペンション
フロント:ダブルウィッシュボーン式
リヤ:トレーリングアーム式
車両寸法
ホイールベース 右:2,536 mm
左:2,500 mm
全長 4,260 mm
全幅 1,990 mm
全高 H,HY 2,300 mm HZ 2,285 mm
車両重量 H:1,500 kg :HZ1450 kg
最大積載量 H : 1,200 kg
HZ : 850 kg → 1,000 kg
HY : 1,500 kg → 1,600 kg
H1200 : 1,200 kg
H1600 : 1,600 kg
HX : 3,100 kg
HW : 3,200 kg
その他
総生産台数 473,289 台
系譜
先代 シトロエン・TUB/TUC英語版
後継 フィアット・デュカート
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概要[編集]

駆動方式は当時の商用車としては画期的な前輪駆動方式で、それをさらに生かすプラットフォーム型シャーシトレーリングアーム式サスペンション(リア)との組み合わせを持つ。荷室の床は低く平らで天井も高く、荷室は広大である。また特徴的な波板プレスの外板は、軽量化と車体強度の両立に一役かっている。

生産期間が長かったこともあり、1990年代まではフランス国内のいたる所で見かけた車である。フランスのほか、ベルギーの工場でも生産された。総生産数は47万3289台。

仕様[編集]

エンジントランスミッション等の多くの部品を同時期の乗用車シトロエン・トラクシオン・アバンDSなどと共用しており、やはり車室にエンジンカバーが張り出している。床に配置されたシフトレバーは後方から前傾したかたちで生えている。ヘッドライトを2CV、速度計をAmiや2CVと共用する等、シトロエンらしい合理性も見られる。

架装性が良いことから、貨物車をはじめ救急車マイクロバスキャンピングカー、移動販売車、現金輸送車、車両積載車、家畜運搬車、クレーン車等、様々なバリエーションが生まれ、フランスをはじめ各国で活躍した。救急車の中にはリアのみハイドロニューマチック・サスペンションとしたものがあるが、サスペンションシリンダー内の油圧を制御するハイトコントロールバルブはセルフレベリングのみに機能し、他のハイドロニューマチックサスペンション車両のように運転席から任意に車高を調整することは出来ない。1968年以後、仕向け地によってフロントドアヒンジが前側に変更されており、その場合はステップ形状の前側を厚くし傾斜させ乗降性に配慮している。最終モデルでも後ろヒンジ(スーサイドドア)のほうが多かった。イギリスのスラウ工場で極少数の右ハンドル仕様が製造されている。

輸入実績[編集]

2回輸入されたと記録されている。 1回目は1967年 - 1968年に関西日仏自動車により100台とされているが、実際は10台に満たず殆ど現存していない。当時作られた日本語カタログには貨物自動車として 2CV :AZU . AK . とともに H と記載されている。写真から1968年以前型の運転席ドアは後ろヒンジ前開き、右側スライディングドア、リヤーフェンダーは半円形である。HZ 72 : 全長4260.全幅1990.軸距 右2536/左2500.ガソリンエンジン : 4気筒 72 X 100. 1628cc. 7CV.45HP S.A.E.4250 r.p.m. シフトパターンは左側が1速と後進 :軽荷重用 HZ - 850kg : である。2回目は1974年 - 1975年で、詳細は西武自販の記録によると前年モデルチェンジした、前ヒンジ後ろ開き、両側スライディングドア仕様である。当時作られたカタログによると、HY IN2 である。 全長 4260.全幅 1990. 軸距 2560. ディーゼルエンジン : 1946cc. 8CV. 57CH. XDP - 488 ( INDENOR 社製 : シフトパターンは左側が2速と3速 ) 重荷重型の HY - 1600kgで、 東京三菱ふそうと西武自販とで 100台を輸入販売した。輸入後に座席足元へダルマヒーター、座席後部へ乗員保護用ステンレス製パイプ、スライドドア前部へ方向指示器、左Aピラーへラジオ用アンテナが追加されている。 予定では三菱ふそうが 80台、西武自販が 20台の予定であったが結果は西武自販が 25台販売した。したがって最大でも 200台とされる。 この時の販売時の呼称が Hトラックであったために、日本ではHトラックの名称でも呼ばれている。日本には標準ボディの有蓋車仕様(Fourgon:仏)のみが輸入された為にHバンとも呼ばれているが、本国では無蓋車仕様(plateau cabine:仏)も多く販売されていたので、総称としては正しくない。販売用カタログでも強調されているように、購入企業がボディーに独自の広告を再塗装することによりイメージアップして売り上げを倍増できるとしている。


人目を引くデザインや人が立てる程の高い室内スペースを活かし、国内でもそれなりの数のタイプHが移動販売車などに使用されているが、湿度の高い日本の気候により車体の腐食が進んだ個体も多い。河口湖自動車博物館にはフランス本国にも殆ど現存しない大変貴重な未再生原型の正規輸入車(HY IN2)が、また日本自動車博物館にも大変綺麗に修復された正規輸入車(HY IN2)が収蔵されている。移動販売車の流行により2000年以降だけでも数十台以上のタイプHが並行輸入されているが、大半がガソリンエンジン搭載車である。


参考文献[編集]

外部リンク[編集]

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タイプ 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7
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