サヴォワ県

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サヴォワ県
Savoie
位置
Savoieの位置
概要
県番号 73
地域圏 オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ
県庁所在地 シャンベリ
郡庁所在地 アルベールヴィル
サン=ジャン=ド=モーリエンヌ
3
小郡 37
コミューン 305
県議会議長 エルヴェ・ゲマール
共和党
統計
人口
国内61位
  (2011年)
418,949人
人口密度 70人/km2
面積¹ 6,028 km2
¹ 「French Land Register data」(1平方キロ以上の湖沼、エスチュアリー、氷河などの水面積除く。
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サヴォワ県(サヴォワけん、Savoie)は、フランスオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏の県である。

由来[編集]

サヴォワイタリア語ではサヴォイア)という地名は、歴史家マルケリヌス・アンミアヌスが354年に記したラテン語のサパウディア(Sapaudia)に由来する。ガリア人は一帯をサポ(Sapo)と呼んだ。どちらも「毛皮の国」を意味していた。この名が、サバウディア(Sabaudia)、サボグラ(Sabogla)、サボイア(Saboia)、サヴォジア(Savogia)、最終的にサヴォワとなった。この名が知られたのは4世紀後半のアンミアヌスの記録、5世紀の年代記ノッティティア・ディニタトゥム、511年のガリカ年代記(fr、18世紀にマドリードで発見された写本)であった。

地理[編集]

サヴォワ県の標高を示す図。色が濃いほど標高が高くなる

サヴォワ県は地域圏面積の約14%を占める。県境を接しているのはオート=サヴォワ県アン県イゼール県オート=アルプ県である。東側はイタリアと国境を接する。

サヴォワ県の大半は、ボージュ山地、シャルトルーズ山地、ヴァノワーズ山地、ボーフォルタン山地といった山地である。ジュラ山地の最南端が県内にあるが、前述した山地より標高は低い。イズラン峠近くに源を発するイゼール川とアルク川が県内を流れる。かつての交通の要所で現在は経済と観光の盛んなコンブ・ド・サヴォワ(fr)において、アルク川はイゼール川に合流する。2つの川は、ブルジュ湖(氷河湖としては国内最大で最深)とエグブレット湖へ注ぐ。

サヴォワ県は305のコミューンで構成される。県内で人口が多いコミューンは、シャンベリエクス=レ=バンである。

気候[編集]

エグブレット湖

サヴォワ県は、1500mほどの中程度の山地にあるため山岳気候(en)である。しかし全体が同じ気候ではなく、様々な気候の影響が存在する。海洋性気候大陸性気候(暑い夏と寒い冬)、地中海性気候(夏には熱波をもたらす)だけでなく、山や谷の自然環境(標高や地形)によっては独自の微気候が存在するのである。県東部は記録的な豪雪を記録し、スニ山中にあるロンバルドではフェーン現象が起きる。

例として、サン=ジャン=ド=モーリエンヌのあるモーリエンヌ谷は、サヴォワ県で最も日照時間が長く気温が高い。対照的にボージュ山地、シャルトルーズ山地は西風や暴風の影響を受けやすい。サヴォワ県はオート=サヴォワ県よりも気温が高い。

サヴォワ県は降雨量が十分にあり、夏期の干ばつで水不足が起きる心配はないとされてきた。だが、気候変動が進むに連れ、1950年に気象観測が始まって以降、夏の平均気温が上昇し、雪山が減少している。降雨量はさほど変わらず、サヴォワ県はいわば「水の城」(château d'eau)である。

しかし、2003年から2006年に起きた干ばつでは、山地での飲料水の確保、フランス電力公社による山地での水源の分担、人工降雪、また冬期の観光業や農業との緊張を引き起こし、緊急会議が招集された。モーリエンヌ谷の高地では既に断続的な水不足が始まっており、ボーフォール (チーズ)の生産は水不足のため生産量が減少する事態となっている。

歴史[編集]

数世紀もの間、サヴォワはサヴォイア家の治めるサヴォイア伯国、のちサヴォイア公国サルデーニャ王国の一部であり、16世紀以降幾度もフランス王国に占領された。歴史的なサヴォイアの首都はシャンベリである。

1792年から1815年の間はモンブラン県(1798年から1814年までジュネーヴ県)に統合されていた。1860年3月、住民投票によってサヴォワとニース伯領(アルプ=マリティーム県)はフランスに併合された。

1942年11月から1943年9月まで、サヴォワ県はイタリアファシスト政権に占領されていた(イタリア南仏進駐領域)。

1992年、アルベールヴィルアルベールヴィルオリンピックが開催された。

人口統計[編集]

1968年 1975年 1982年 1990年 1999年 2006年 2009年 2012年
288 921 305 118 323 675 348 261 373 258 403 110 411 007 421 105

出典:SPLAF[1]、2008年以降INSEE[2]

交通[編集]

  • 自動車 - サヴォワ県では、自動車を所有しない世帯が16.8%である一方、自動車を1台所有する世帯は48.53%にものぼる。また、2台以上所有する世帯は34.67%である。
  • 鉄道 - サヴォワ県内での鉄道利用者数は、2005年度で6,263,887人にのぼった。リヨントリノ間を走る鉄道路の計画が持ち上がっている。このインフラストラクチャーが道路交通の軽減を促すとみられている。
  • 航空 - 航空輸送分野は定期的に増加している。シャンベリ=サヴォワ空港は、シャンベリの北にあるヴォリヤンにある。イギリスやデンマーク、スウェーデンへの国際線がある。

経済[編集]

農業[編集]

トム・ド・サヴォワ・チーズ

県の標高が高いため、チーズ生産が有名である。

次いでワイン、果物生産が知られる。

産業[編集]

アルミニウム加工業が知られている。また、水力発電が盛んである。

観光[編集]

19世紀後半以降、冬のスポーツが盛んとなってスキーの楽しめるサヴォワ県が注目された。クールシュヴェル、メリベル、レ・ムニュイール、ヴァル・トランスといったスキー場が知られる。ヴァル・ディゼールfr)では2009年アルペンスキー世界選手権が開催された。古くからの温泉地、エクス=レ=バン、シャル=レ=ゾー(fr)などがある。

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ Site sur la Population et les Limites Administratives de la France (SPLAF). "Savoie : Évolution de la population". splaf.free.fr. 2013年10月13日閲覧
  2. ^ "Recensement de la population au 1er janvier 2012". Insee. {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明)

外部リンク[編集]