ワールドスーパージョッキーズシリーズ

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ワールドスーパージョッキーズシリーズWORLD SUPER JOCKEYS SERIES)は、日本中央競馬会(JRA)が1987年から2014年まで開催していた中央競馬の国際騎手招待競走シリーズである。「WSJS」の略称も用いられる。

概要[編集]

外国の招待騎手と日本(中央競馬・地方競馬)の代表騎手にサマージョッキーズシリーズの総合優勝騎手を加えた16人(2013年までは15人)が集い、騎乗馬を抽選で決め、4競走のポイント制で総合優勝を争う[1]

第1回から暮れの阪神競馬第1週に行われていた(1990年は阪神競馬場スタンド改築および馬場改造工事のため京都競馬場で開催)[1]が、2010年にジャパンカップの第30回を記念してジャパンカップの前日に東京競馬場で初開催[1]され、以後も2012年と2014年は東京競馬場で行われた[1]

2015年以降、騎手招待競走は夏季・札幌競馬場に開催を移動し、「ワールドオールスタージョッキーズ」と改称して開催することとなった[2]

なおこれとは別に、ジャパンカップ開催節(原則として11月最終土・日曜日)には、ジャパンカップへの参戦が予定されている外国人招待騎手の出走機会を促す目的で、全2戦からなる「インターナショナルジョッキーズ競走」が行われた。元は1987年に「奥多摩特別」と「神代特別」の2つに「外国騎手招待競走」として行われたものが前身で、1988年から1999年まで施行された。これらはポイント制での総合優勝を決める方式ではなかった。

対象競走[編集]

以下の内容は、2014年の実施要綱[3]に基づく。

競走名 施行日 競走番号 競走条件 施行距離
2014エクセレントジョッキーズトロフィー 第5回東京競馬第8日
(11月29日)[4]
第9競走 3歳以上1000万下 芝1600m
2014ファンタスティックジョッキーズトロフィー 第11競走 3歳以上1600万下 芝1400m
2014マーヴェラスジョッキーズトロフィー 第5回東京競馬第9日
(11月30日)[4]
第8競走 3歳以上1000万下 ダート1600m
2014プロミネントジョッキーズトロフィー 第10競走 3歳以上1600万下 芝2000m

2013年の対象競走[編集]

阪神競馬場で最後に行われた2013年の対象競走は、下表の通り。

競走名 施行日 競走番号 競走条件 施行距離
2013ゴールデンサドルトロフィー 第5回阪神競馬第1日
(11月30日)[5]
第9競走 3歳以上1000万下 芝1400m
2013ゴールデンブライドルトロフィー 第11競走 3歳以上1600万下 ダート1800m
2013ゴールデンブーツトロフィー 第5回阪神競馬第2日
(12月1日)[5]
第10競走 3歳以上1000万下 芝2000m
2013ゴールデンホイップトロフィー 第12競走 3歳以上1600万下 芝1600m(外回り)

出場騎手の選定方法[編集]

2014年の出場騎手選定方法は以下の通り。

出馬投票締切後に騎乗予定騎手が騎乗できなくなった場合は、対象となるすべての競走に騎乗できる勝利度数上位のJRA所属騎手を補欠騎手として充当する[3]

JRA所属騎手[編集]

特別参加騎手(1名)のほか、以下の方法により6名(関東・関西から各3名)を選出[3]。「勝利度数」は2014年1月1日から11月2日(第4回東京競馬第9日・第4回京都競馬第9日・第3回福島競馬第6日)までに行われた中央競馬の競走・地方競馬の指定交流競走・JRA理事長が指定した外国の競走における1着回数としている[3]。なお、勝利度数が同数の場合は2着以下の回数を比較して上位の着順が多い騎手を勝利度数上位とみなして取り扱う(2着以下の回数も同数の場合は抽選)[3]

  • 特別参加騎手:2014年サマージョッキーズシリーズのシリーズチャンピオンとなった騎手(シリーズチャンピオンが外国騎手だった場合は、JRA所属騎手のうち勝利度数上位の1名)[3]
  • 勝利度数上位の2名(関東・関西から各1名)[3]
  • 前項以外の4名は、以下により選出
    • JRAの選考委員会において、勝利度数以外で顕著な活躍を認められた騎手[3]
    • 前項までで定数に満たない場合は、勝利度数が上位の騎手[3]

選出されたJRA所属騎手が騎乗馬決定後に騎乗できなくなった場合は、勝利度数上位のJRA所属騎手を補欠騎手として充当する[3]

外国騎手・地方競馬代表騎手[編集]

  • 外国騎手:アメリカ・ヨーロッパ・オセアニア・アジア地区から各地区1名以上、計8名を選出[3]。なお、2014年サマージョッキーズシリーズのシリーズチャンピオンが外国騎手だった場合は、当該騎手の所属地区から優先して選出する[3]
  • 地方競馬代表騎手:2014年11月4日までに地方競馬全国協会から代表騎手と補欠騎手各1名の推薦を受け、JRAが決定する[3]。なお、2014年11月17日までに参加予定の地方競馬代表騎手(補欠騎手を含む)が騎乗できなくなった場合は、あらためて地方競馬全国協会から推薦を受け、JRAが決定した地方競馬所属騎手を地方競馬代表騎手とする[3]

選出された外国騎手・地方競馬代表騎手が2014年11月18日以降に騎乗できなくなった場合は、勝利度数上位のJRA所属騎手を補欠騎手として充当する[3]

出走馬・騎乗馬の選定[編集]

出走馬は第1回特別登録を行った馬から、該当する競走条件が上位の馬16頭以内を選定[3]。同一順位の馬が多数いる場合は抽選により選定し、抽選に漏れた馬を補欠馬とする(補欠順位は上記の選定方法に準じる)[3]。出走馬の選定後、出馬投票の締切までに疾病等で出走できなくなった馬がある場合は、補欠順位が上位の馬から選定馬として補充する[3]

騎乗馬は各競走の選定馬を近走成績等でグループ分けしたうえで抽選を行い、決定する[3]。ただし、出走予定馬が16頭に満たない場合は、補欠騎手以外の騎手から抽選により騎乗する騎手を決定する[3]

ポイント付与・騎手表彰[編集]

各競走ごとに、着順に応じた下表のポイントを与える[3]。なお、同着の場合は各同着者に着順に応じた点数を付与[3]し、出走馬不足・出走取消・競走除外等騎手本人の責によらず騎乗できなかった場合、および競走中止の場合は出走馬がすべて入線したとする場合の最下位と同得点を与える[3]。また、騎手本人の責により騎乗できなかった場合および失格の場合は点数を与えない[3]

1着 2着 3着 4着 5着 6着 7着 8着 9着 10着・11着 12着以下
20点 15点 13点 11点 10点 6点 5点 4点 3点 2点 1点

個人のポイントを比較し、上位となった騎手には以下の賞金・賞品が与えられる。

  • 総合優勝 - 300万円、およびトロフィー[3]
  • 2位 - 200万円[3]
  • 3位 - 100万円[3]

歴代優勝者[編集]

2010年は1日に3競走を施行[1]

騎手の所属は当時のもの。

回数 施行日 競馬場 総合優勝騎手 所属
第1回 1987年12月5日・6日 阪神 キャッシュ・アスムッセン[6] アメリカ
第2回 1988年12月3日・4日 阪神 柴田政人[6] JRA
第3回 1989年12月2日・3日 阪神 松永幹夫[6] JRA
第4回 1990年12月1日・2日 京都 岡部幸雄[6] JRA
第5回 1991年11月30日・12月1日 阪神 南井克巳[6] JRA
第6回 1992年12月5日・6日 阪神 武豊[6] JRA
第7回 1993年12月4日・5日 阪神 岡部幸雄[6] JRA
第8回 1994年12月3日・4日 阪神 石崎隆之[6] 船橋
第9回 1995年12月2日・3日 阪神 横山典弘[6] JRA
第10回 1996年11月30日・12月1日 阪神 ジェリー・ベイリー[6] アメリカ
第11回 1997年11月29日・30日 阪神 川原正一[6] 笠松
第12回 1998年12月5日・6日 阪神 オリビエ・ペリエ[6] フランス
第13回 1999年12月4日・5日 阪神 柴田善臣[6] JRA
第14回 2000年12月2日・3日 阪神 オリビエ・ペリエ[6] フランス
第15回 2001年12月1日・2日 阪神 鮫島克也[6] 佐賀
第16回 2002年11月30日・12月1日 阪神 河内洋 JRA
第17回 2003年12月6日・7日 阪神 柴田善臣[6] JRA
第18回 2004年12月4日・5日 阪神 ダグラス・ホワイト[6] 香港
アンドレアス・スボリッチ[6] ドイツ
第19回 2005年12月3日・4日 阪神 岩田康誠[6] 兵庫
第20回 2006年12月2日・3日 阪神 アンドレアス・スボリッチ[6] ドイツ
第21回 2007年12月1日・2日 阪神 クレイグ・ウィリアムズ[6] オーストラリア
第22回 2008年12月6日・7日 阪神 イオリッツ・メンディザバル[6] フランス
第23回 2009年12月5日・6日 阪神 横山典弘[6] JRA
第24回 2010年11月27日 東京 ライアン・ムーア[6] イギリス
第25回 2011年12月3日・4日 阪神 ジョン・ムルタ[6] アイルランド
第26回 2012年11月24日・25日 東京 ザカリー・パートン[6] 香港
第27回 2013年11月30日・12月1日 阪神 リチャード・ヒューズ[6] イギリス
第28回 2014年11月29日・30日 東京 浜中俊[7] JRA

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 第28回ワールドスーパージョッキーズシリーズ 概要”. 日本中央競馬会 (2014年11月29日). 2015年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月5日閲覧。
  2. ^ 札幌競馬場で「2015ワールドオールスタージョッキーズ」を開催!』(プレスリリース)日本中央競馬会、2015年4月12日。 オリジナルの2015年4月12日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150412081856/http://www.jra.go.jp/news/201504/041204.html2015年4月12日閲覧 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ジャパン・オータムインターナショナル 第19回ワールドスーパージョッキーズシリーズについて” (PDF). 日本中央競馬会. 2014年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月13日閲覧。
  4. ^ a b 平成26年第5回東京競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2014年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月14日閲覧。
  5. ^ a b 平成25年第5回阪神競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2013年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月14日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 今週の注目レース(第28回ワールドスーパージョッキーズシリーズ:過去の成績)”. 日本中央競馬会. 2014年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月14日閲覧。
  7. ^ 42ポイント獲得の浜中俊騎手が初優勝/WSJS - netkeiba.com、2014年12月1日閲覧

参考文献[編集]

  • 優駿」1988年1月号(第1回国際騎手招待競走記事)
  • 「優駿」1989年1月号(第2回ワールドスーパージョッキーズシリーズ記事)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]