キツネノボタン

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キツネノボタン
キツネノボタン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: キンポウゲ属 Ranunculus
: キツネノボタン R. silerifolius
学名
Ranunculus silerifolius
H.Lév.
和名
キツネノボタン(狐の牡丹)
変種
  • ヒメキツネノボタン
    R. s. var. yaegatakensis
    : 環境省レッドデータブック絶滅危惧IA類(CR)

キツネノボタン(狐の牡丹 Ranunculus silerifolius)は、キンポウゲ科キンポウゲ属多年草。実の形から(特に兵庫県三原郡津名郡山口県玖珂郡で)コンペイトウグサと呼ばれることもあり、秋田県雄勝郡山形県酒田市新潟県佐渡市長野県下水内郡福岡県山門郡八女郡柳川市大分県南海部郡佐伯市ではウマゼリとも呼ばれる[1]

概要[編集]

日本北海道本州四国九州朝鮮半島南部に分布し、水田の近くなど湿り気のある土地に生える。

草丈は30-60cm。根生葉葉柄が長く、一つの柄に3枚の葉がつき(3出複葉)、それぞれの小葉に切れ込みがある。茎生葉は上にいくほど柄が短いものが互生する。5-7月ごろ分岐した茎の先に黄色い5弁のが咲く。花の直径は1-1.5cmで花弁に光沢があるのが特徴。花後にコンペイトウのような角のある直径1cmほどの果実がつく。果実は集合果で、角状の突起それぞれが一つの実であり、その形状は扁平で先端は鈎状に曲がっている。花が咲く前がセリに似ている[2]

人間との関係[編集]

同じキンポウゲ属のウマノアシガタタガラシと共通する成分(ラヌンクリン ranunculin)を含む有毒植物であり、誤って食べると口腔内や消化器に炎症を起こし、茎葉の汁が皮膚につくとかぶれる。湿り気のある土地で山菜採りをする際は、本種をいっしょに採取しないように注意が必要である。特にセリとはよく似た環境に生育し、葉の一部だけだとよく似て見えることもあるので、気をつけた方がよい。

民間療法で皮膚に貼ると関節痛に効くというものがあるが、実際の効果は不明。それによる皮膚炎が報告されており、紅斑ができて痛み、悪化して水疱、潰瘍を起こす場合もある[3]

近縁種[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 八坂書房 (2001).
  2. ^ さとうち藍、松岡達英『冒険図鑑 野外で生活するために』福音館書店、1985年、306ページ、ISBN 4-8340-0263-2
  3. ^ 渡辺晴二・筏さやか・柳原誠・石崎宏「キツネノボタン (Ranunculus Silerifolius)による接触皮膚炎の2例」、405頁、408頁。

参考文献[編集]

  • 林弥栄監修、平野隆久写真 『野に咲く花』 山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、ISBN 4-635-07001-8
  • 渡辺晴二・筏さやか・柳原誠・石崎宏「キツネノボタン (Ranunculus Silerifolius)による接触皮膚炎の2例」、『皮膚』42巻4号、405-409頁、2000年。
  • 八坂書房 編 『日本植物方言集成』八坂書房、2001年、170-2頁。ISBN 4-89694-470-4 

外部リンク[編集]