インペリアル・イースター・エッグ

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インペリアル・イースター・エッグ

インペリアル・イースター・エッグ(英語:Imperial Easter Egg)は、ファベルジェ家により作られた宝石の装飾が施されたイースター・エッグのうち、ロマノフ朝ロシア皇帝アレクサンドル3世ニコライ2世のために作られた大きなエッグのことである。

日本語では「ファベルジェの卵」とも呼ばれる。

アレクサンドル3世ニコライ2世が、皇后や母后であるマリアアレクサンドラのために、金細工師ピーター・カール・ファベルジェに依頼して作らせた。それらは美しく精緻な美術工芸品で、多くのものにはサプライズと呼ばれる独創的な仕掛けが仕込まれている。

1885年から1917年の間に58個作られたとされているが数については異説もある。現在、その所在が確認されているのは44個であり、約4分の1の14個が行方不明である。オークションに出品すると10億円の値打ちが出るものもある。

モスクワクレムリン宮殿の武器庫では、その一部が見ることができる。

歴史[編集]

最初のめんどり (Hen Egg)。左から殻 、卵黄、めんどり (皇后マリア・フョードロヴナへ、1885年)
モスクワのクレムリン宮殿 (ニコライ2世皇后アレクサンドラへ、1906年)
カフカス (皇后マリアへ、1893年)
皇太子アレクセイ (皇太子を敬って皇后アレクサンドラへ、1912年)

最初のインペリアル・イースター・エッグは1885年、アレクサンドル3世が結婚20周年を記念して、皇后マリア・フョードロヴナにイースター・エッグを贈るために作らせたとされる。皇帝はマリア皇后の思い出にもとづいてこのデザインを特注したとされる。皇后は幼少時、伯母のグリュックスブルク公爵夫人ヴィルヘルミーネ・マリーの所有していたエッグを眺めては想像力を掻き立てられたという。このエッグは「Hen Egg」として知られ、金製である。金の素地にエナメルを厚塗りした白い「殻」を開くと最初の「お楽しみ」(仕掛け) として、つや消しの黄金で出来た卵黄が出てくる。割ると中から現われるのは色味の異なる金を数種類使い分けためんどり像であり、ダイアモンド製の小さな帝冠のレプリカに添えてルビーペンダントが収めてあったというが、二つとも現存しない[1]

この贈り物をマリアはとても喜び、アレクサンドル3世はファベルジェを「皇室御用達金細工師」に任命、翌年もう一つエッグを特注した。また最初のエッグが好評だったことから二つ目以降は毎年一つずつ作らせ、ピーター・カール・ファベルジェに自由にデザインする許可を与えたと考えられる。この時からデザインはより精巧になっていく。ファベルジェ家の言い伝えによれば、一つ一つのエッグに必ず「お楽しみ」という小物が入れてある以外は、アレクサンドル3世でさえどんな形に仕上がるのか知らされなかったという。1894年11月1日、アレクサンドル3世が死んだ後、代わりに息子のニコライ2世が妻アレクサンドラと母マリアにファベルジェのエッグをプレゼントし続けた。

1904年から1905年の間は日露戦争のため、エッグは作られなかった。まずファベルジェ本人がデザイン原案を承認すると、加工はMichael Perkhin、Henrik Wigström、Erik August Kollinら職人集団が受け持っている。

インペリアル・イースター・エッグは高い評判を受け、第9代マールバラ公夫人 (コンスエロ・ヴァンダービルト) やノーベル家、ロスチャイルド家ユスポフ家など、ごく限られた客の注文を受けている。実業家のアレクサンドル・ケルヒには7つのエッグがシリーズとして制作された。

エッグの登場する作品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Article on the first Hen egg”. Mieks.com (2008年11月13日). 2012年3月26日閲覧。

関連項目[編集]