アメミット
アメミット(アメミト、アミマッド、アムムト (Ammut)、アンムト[1](Ammut)、アーマーン、Ammit、Ahemaitとも)は、古代エジプトに伝わる幻獣の一種である。
その名前は「貪り食うもの」を意味する[2]。
冥界アアルの転生の事前の裁判にて、秤にかけられた真理の象徴マアトの羽根(真実の羽根)よりも重かった死者の心臓 (Ib) を貪り喰らう。喰われた魂は二度と転生できない。霊魂の不滅が信じられていた古代エジプトでは、それは永遠の破滅を意味していた[3]。
頭は鰐、鬣と上半身が獅子、下半身は河馬のものになっている[2]。
『死者の書』でのアメミット[編集]

フネフェルのパピルス(紀元前1275年頃制作[4])にあるこの詳細に描かれた場面は、フネフェルの心臓が、ジャッカルの頭をもつアヌビスによってマアトの天秤で真実の羽根 (en) と重さを比べられる様子を表している。神々の書記官である、朱鷺の頭をもつトートがその結果を記録する。もしフネフェルの心臓が羽根より軽ければ、フネフェルは死後の生活に進むことを許される。もしそうでなければ、フネフェルは、待機しているアメミットによって喰われる。このような描写(ヴィネット)は、エジプトの『死者の書』に普通にみられる図解であった[5]。
大衆文化での扱い[編集]
恐竜SFドラマ『プライミーバル』では、作中でプリスティカンプススというワニがアメミットのモデルになったとされている。
脚注[編集]
- ^ 『エジプト神話』p.288で確認できる表記。
- ^ a b 『エジプト神話』p.288。
- ^ 『古代エジプトを知る事典』p.90。
- ^ “Page from the Book of the Dead of Hunefer”. 大英博物館 (British Museum). 2013年2月2日閲覧。
- ^ “Egyptian Book of the Dead”. Egyptartsite.com. 2012年8月18日閲覧。
参考文献[編集]
- ヴェロニカ・イオンズ『エジプト神話』酒井傳六訳、青土社、1991年(新装版)、ISBN 978-4-7917-5145-7。
- 吉村作治『古代エジプトを知る事典』東京堂出版、2005年、ISBN 978-4-490-10662-6。
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