アカシデ

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アカシデ
Carpinus laxiflora2.jpg
アカシデ
分類クロンキスト体系
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : マンサク亜綱 Hamamelidae
: ブナ目 Fagales
: カバノキ科 Betulaceae
: クマシデ属 Carpinus
: アカシデ C. laxiflora
学名
Carpinus laxiflora (Siebold et Zucc.) Blume
(1850)[1]
シノニム
和名
アカシデ、コシデ、シデノキ、ソロノキ、コソロ、アカソロ[1]
品種
  • f. pendula (Miyoshi) Sugim シダレアカシデ[4]

アカシデ(赤四手[5]学名Carpinus laxiflora)は、カバノキ科クマシデ属落葉高木。別名はコシデシデノキ[5]ソロノキコソロ[6]

名称[編集]

和名のアカシデの由来は、新芽や若葉あるいは紅葉が赤いことと、シデは果穂が垂れ下がるので「で」の意味(牧野富太郎による説)や、花穂の垂れ下がる様子が神社の注連縄(しめなわ)などに使われる紙垂(しで)に似ていることによる(上原敬二による説)[7][5][6][8]イヌシデとともにソロノキともよばれる[9]

アカシデは別名がとても多く、イヌシデなどに対し新芽が赤く、全体に赤みを帯びることから「アカシデ」と呼ばれるが、「赤芽シデ」「赤目シデ」という呼称や[6]、「アカソネ」「アカゾノ」「アカゾヤ」などの地方名がある[10]。また、他のシデの仲間よりも小型で女性的な雰囲気があることから、「コシデ」「コメシデ」「コサブナ」「マメシデ」「コソロ」などの異名もある[11]。地方によっては「アオシデ」「シロソノ」とよぶ地域もあり、これらは幹肌の色に注目した呼び名であるものと考えられている[10]

学名属名 Carpinus は、ケルト語で樹を意味する Car と、(くびき)を意味する pen, pix の造語で、材を牛の軛に用いたという説による[12]。異説では、ラテン語で「2頭立ての馬車」を意味する Carpentum に由来するという説があり、ローマ人がこの材で馬車を作ったからだともいわれている[12]種小名 laxiflora は「まばらな花の」という意味。

特徴[編集]

北海道南部、本州九州朝鮮半島中国に分布する[13]。平野部から丘陵部の山野に多く自生し[13][14]、低山の雑木林に生える[5]公園などにも植えられる[13]

落葉広葉樹高木[13]、高さは10 - 15メートル (m) 、幹径は30 - 60センチメートル (cm) ほどになる[11][5]樹皮は暗灰白色で、若木のうちは滑らかであるが、老木になるとイヌシデよりも細い縦筋の割れ目が生じる[5][13][9]。小枝は無毛かやや毛がある[9]互生し、長さ4 - 8 cmの卵形から卵状楕円形で、若葉は赤く[5][13]、芽吹きのころは樹全体が赤っぽく見える[9]には紅葉し、葉が黄色から赤色に染まり多様な変化を見せる[15]。芽吹きのころ、枝先についている異常に大きな芽はフシダニによる虫こぶである[14]。他のシデの仲間よりも枝がやや細く、葉はクマシデ属の中で最小で、先端が細長く突き出る[11][16]

花期は4 - 5月ごろで[13]、若葉が生えると同時に咲く。雌雄同株[5]雄花花序は黄褐色の長さ4 - 10 cmで、前年枝から穂状に垂れ下がる[5][13]。雄花の花序はやや小さく、本年枝の先につく[5][13]。果期は10月[5]。果穂は長さ5 - 6 cmあり、葉状の果苞をつける[5]。果苞は互いに密着しないため、果穂全体の姿がクマシデサワシバとは違った見た目になる[14]。落葉後、冬でも果実が残っていることがある[8]

冬芽は長楕円形で赤褐色[9]。枝先につく仮頂芽は雌花序の冬芽で、側芽は互生し、大きい側芽が雄花序の冬芽である[9]。葉痕は小さく、維管束痕ははっきりしない[9]

利用[編集]

植栽として、庭木や公園樹に使われたり、盆栽などにも利用される[13]ケヤキに似て状に育つが、ケヤキほど大きくはならないため、庭木として雑木林の野趣を演出したい場合などによく利用される。自然樹形に観賞価値があるため、剪定に不向きであるが、剪定せずとも樹形が整いやすい[6]

材は堅く強度があり[10]楽器や器具類などの各種木工製品にも利用され[5][13]シイタケほだ木、製炭材などにも利用される。

アカシデとイヌシデの見分け方[編集]

シデの仲間はソロともよばれ、イヌシデクマシデサワシバなどがあるが、アカシデはそれらの中でも芽吹きや紅葉が赤く、他のシデが黄色く黄葉するのとは異にしている[8]

イヌシデによく似ているが、アカシデは葉がより小さく、葉柄を含め全体に赤みを帯びており、特に葉の付け根が赤い。またイヌシデの葉には多くのが生えているが、アカシデのはない。アカシデは葉脈の側脈がふつう12本以下と少ないこと、葉柄が長く、葉の先端が尾状に尖るなどの違いが見られる[8]盆栽界ではイヌシデを「シロソロ」、アカシデを「アカソロ」と呼び区別する場合がある[6]

シダレアカシデ[編集]

シダレアカシデ(学名: Carpinus laxiflora f. pendula)はアカシデの品種。枝垂れのアカシデで、園芸用の材料として注目される[10]上原敬二によると栃木県に所在を確認しているという[10]。同様に、東京都の西多摩にもあるといわれており[10]、国の天然記念物に指定されている幸神神社のシダレアカシデが知られる。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 亀田龍吉 『落ち葉の呼び名辞典』世界文化社、2014年10月5日、8-9頁。ISBN 978-4-418-14424-2 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、134頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 辻井達一 『日本の樹木』中央公論社〈中公新書〉、1995年4月25日、89-93頁。ISBN 4-12-101238-0 
  • 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編 『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 5〉、2009年8月4日、143頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 長谷川哲雄 『森のさんぽ図鑑』築地書館、2014年3月10日。ISBN 978-4-8067-1473-6 
  • 平野隆久監修 『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、14頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目[編集]