アイバン・サザランド

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アイバン・エドワード・サザランド
サザランドの70回目の誕生日の祝いの場で
人物情報
生誕 1938年5月16日(75歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ネブラスカ州ヘースティングズ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 マサチューセッツ工科大学
カリフォルニア工科大学
カーネギーメロン大学
学問
研究分野 計算機科学
インターネット
研究機関 ハーバード大学
ユタ大学
Evans and Sutherland
カリフォルニア工科大学
カーネギーメロン大学
サン・マイクロシステムズ
ポートランド州立大学
博士課程
指導教員
クロード・シャノン
主な業績 Sketchpad
主な受賞歴 チューリング賞 (1988)
フォン・ノイマンメダル
ACMフェロー
全米技術アカデミー会員
米国科学アカデミー会員
京都賞先端技術部門(2012)
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アイバン・エドワード・サザランド(Ivan Edward Sutherland, 1938年5月16日 - )[1]はアメリカの計算機科学者で、インターネットの先駆者の1人。コンピュータグラフィックスバーチャルリアリティの先駆者。今ではパーソナルコンピュータ上で当たり前となったGUIの先駆けとなるSketchpadを発明し、1988年ACMチューリング賞を受賞。全米技術アカデミー米国科学アカデミーの会員に選ばれるなど、様々な賞を受賞している。

経歴[編集]

現在のカーネギーメロン大学であるカーネギー工科大学で電子工学の学士号を、カリフォルニア工科大学で修士号を取得後、1963年 MITで博士号を取った。

サザランドは革新的なインタフェースである Sketchpad を発明した。円弧の直径など線分や円弧の関係や制約に従って描画することができる。水平な直線や垂直な直線を描画でき、それらを組み合わせて図形にすることができる。図形の基本形状を保持しつつ。コピー、回転、拡大・縮小が可能である。Sketchpad には世界初のウィンドウ描画プログラムとクリッピングアルゴリズムが備わっており、ズームが可能である。Sketchpad はリンカーン研究所TX-2 コンピュータで実現され、後にダグラス・エンゲルバートoN-Line SystemGUIを開発するのに影響を与えた。一方、Sketchpad はヴァネヴァー・ブッシュの有名な論文 "As We May Think" で言及された仮想的なmemex の影響を受けて作られた。サザランドはスケッチパッドの発明とこれに関連する功労で、1988年チューリング賞を受賞する。また、ACM SIGGRAPHからクーンズ賞(CG分野の最高峰)を受賞した。

アメリカ国防総省国防高等研究計画局J・C・R・リックライダーは、自分の後任にサザランドを指名し、自身は1964年にMITに復帰している[2][3]

1965年から1968年まで、ハーバード大学で電気工学の準教授を務める。1967年、ダニー・コーエン英語版と共に線分クリッピング英語版アルゴリズムであるコーエン–サザランド・アルゴリズム英語版を開発。1968年、サザランドは彼の学生ボブ・スプロール英語版の助けで最初のバーチャルリアリティ(Virtual Reality, VR)と拡張現実(Augmented Reality, AR)である、ヘッドマウントディスプレイ (HMD) システム The Sword of Damocles を作り出す。この最初のシステムはユーザインタフェースや現実性の面では完成度が低かった。頭にかぶる HMDがとても重く、天井につないで支えなければならなかったし、バーチャルリアリティの環境は単純な線で成り立った空間に過ぎなかった。

1968年から1974年までユタ大学で教授を務めた。ユタ大学時代の教え子には、Smalltalkを開発したアラン・ケイグーローシェーディングを開発したアンリ・グーロー英語版アンチエイリアス技法を開発したフランク・クロウ英語版ピクサーの創業者の1人で現在は Walt Disney Feature Animation の社長であるエド・キャットムルユタティーポットマーティン・ニューウェルジム・ブリンなどが名を連ねている。

1968年、友達で同僚のデービッド・C・エバンス英語版とともに、エバンスサザランド社 (en) を設立し、リアルタイム機器、アクセラレイテッド3Dグラフィックプリンタ言語の分野で先駆的な業績をおさめた。エバンスサザランド社には後にアドビシステムズ社を創業したジョン・ワーノック(John Warnock)とシリコングラフィックス社を創業したジム・クラークが勤務していた。

1974年から1978年まで、カリフォルニア工科大学の計算機科学の教授を務め、計算機科学部門の創設に関与した。その後コンサルティング企業を創業し、その企業がサン・マイクロシステムズに買収され、同社の研究部門の礎となった。

サン・マイクロシステムズではフェロー兼副社長を務めた。2005年から2008年までカリフォルニア大学バークレー校の客員研究者も務めた。2006年5月28日、Marly Roncken と結婚。夫婦でポートランド州立大学にて Asynchronous Systems の研究を指揮している[4]

二人の子供と四人の孫がいる。

受賞歴[編集]

語録[編集]

  • 「デジタルコンピュータに接続されたディスプレイは、物理世界では現実にできない概念に親しむチャンスを与えてくれる。それは数学的ワンダーランドを覗く鏡だ」("A display connected to a digital computer gives us a chance to gain familiarity with concepts not realizable in the physical world. It is a looking glass into a mathematical wonderland.")[13]
  • 「あなたはどうやって世界初の対話型図形処理プログラム、世界初の非手続き的プログラミング言語、世界初のオブジェクト指向ソフトウェアシステムを1年で完成できたのですか?」と聞かれ、サザランドは「それらが難しいこととは知らなかったんだよ」と答えた。(When asked, "How could you possibly have done the first interactive graphics program, the first non-procedural programming language, the first object oriented software system, all in one year?" Ivan replied: "Well, I didn't know it was hard.")[14]
  • 「楽しみがなければ、進歩はない!」("Without the fun, none of us would go on!")[15]

特許[編集]

サザランドは60以上の特許を取得している。主な特許を以下に示す。

著作[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Elizabeth H. Oakes (2007). Encyclopedia of World Scientists. Infobase Publishing. p. 701. ISBN 978-1-4381-1882-6. http://books.google.com/books?id=uPRB-OED1bcC&pg=PA701 2012年8月16日閲覧。. 
  2. ^ Moschovitis Group, Hilary W. Poole, Laura Lambert, Chris Woodford, and Christos J. P. Moschovitis (2005). The Internet: A Historical Encyclopedia. ABC-CLIO. ISBN 1-85109-659-0. http://books.google.com/books?id=qi-ItIG6QLwC&pg=RA1-PA159&dq=licklider+sutherland+arpa. 
  3. ^ Page, Dan and Cynthia Lee (1999年). “Looking Back at Start of a Revolution”. UCLA Today (The Regents of the University of California (UC Regents)). オリジナル2007年12月24日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20071224090235/http://www.today.ucla.edu/1999/990928looking.html 2007年11月3日閲覧。 
  4. ^ About ARC”. Asynchronous Research Center web site. Portland State University. 2011年4月1日閲覧。
  5. ^ Piore Award
  6. ^ Turing Award
  7. ^ Software System Award”. ACM Awards. Association for Computing Machinery. 2011年10月25日閲覧。
  8. ^ EFF Pioneer
  9. ^ ACM Fellow
  10. ^ von Neumann Medal
  11. ^ Ivan E. Sutherland Computer History Museum Fellow
  12. ^ Kyoto Prize”. 2012年6月22日閲覧。
  13. ^ Sutherland, Ivan E. (1965). “The Ultimate Display”. Proceedings of IFIP Congress. pp. 506–508. http://citeseer.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.136.3720 2011年11月22日閲覧。. 
  14. ^ Alan Kay (Speaker) (1987年). Doing with Images Makes Symbols (Videotape). University Video Communications, Apple Computer.. http://www.archive.org/details/AlanKeyD1987 2011年9月22日閲覧。 
  15. ^ Sutherland, Ivan (April 1996), Technology and Courage, http://labs.oracle.com/techrep/Perspectives/smli_ps-1.pdf 

外部リンク[編集]