車内広告
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車内広告(しゃないこうこく)とは、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関の車両内にある広告。
通路に沿って吊り下げる横長の長方形の紙による吊り広告(中吊り広告)などがある。
鉄道有料広告は明治43年よりはじまったが風致を害するという理由などで大正13年8月末限りで廃止されていた。しかし不況により鉄道収入が減少したためその対策として昭和2年9月より再開されることになった[1]
吊り広告
広告内容によって掲示期間は各々の契約期間によりまちまちであるが、半永久的な掲示はなく、契約期間が経過すると他の広告と置き変わる。
材質は薄い紙である場合が多く、通常表面は平らであるが、まれに表面に物(飲料瓶の模型、小さな暖簾などの例がある)を貼り付けてあるケースも見られる。
内容としては鉄道会社自身やその系列会社・雑誌(月刊誌、週刊誌)の広告が比較的多いが、その鉄道の沿線にある店舗(百貨店、専門店が多い)や催し物の広告、新刊書(文庫・ノベルス・単行本など)、大学入学試験・資格試験、学習塾・予備校・英会話教室・スポーツクラブ、企業や団体の求人広告(企業説明会を含む)、食品、飲料、家電製品(携帯電話やデジタルカメラなどデジタル家電を含む)、音響製品、医薬品、医療機関、金融機関、弁護士・行政書士事務所、不動産(マンション、分譲住宅など)、テレビ番組・ラジオ番組(番組宣伝)、映画(封切り、試写会、DVDソフト)、音楽CD、ゲームソフト等の広告など、内容は多岐にわたっている。変わったものでは、エイズ検査が保健所で無料・匿名で受けられることを告知する公共広告の例もある。
また網棚の向こうにある広告(サイズはほぼ同じだが、通常は厚紙である)と異なり、その前にものが置かれて見えなくなるということがないためにその点において優位性がある。
また、保有車両が数両の私鉄では、広告主または職員手描きの吊り広告も存在する。
その他の掲示場所
前述の電車の天井から吊るすものは「中吊り(なかづり)」と呼ばれるのに対し(一般的に中吊りのほうが掲出料は高い)、幕板部のものは「額面(がくめん)」や「窓上(まどうえ)」などと慣例的に呼ばれる。
窓上は、ポスターの裏面にボール紙を貼って補強して貼る車両も、広告枠にプラスチックの留め具がついていて、ポスターを固定するタイプの車両もある。
ボール紙で裏貼りする場合、その裏貼り料金が必要である。ドアの脇など、車内の壁面の広告は会社により異なる。透明アクリル板の下にはさむタイプの場合は中づり用ポスターがそのまま使用できる。アクリル板を使用しない場合、ボール紙で裏貼りして紙に強度を持たせて掲出する。
また、車両ドアのガラス部分に手のひらサイズのシールを貼った広告(ドアシール)もある。
傾向
中吊り広告は張り替えの頻度が高い。そのため、情報が頻繁に入れ替わる業態、すなわち定期的に刊行する雑誌や新聞、また季刊セールや限定フェアが多い百貨店などの広告が多く見られる。
対して、窓上広告は中吊りに比べて張り替えの頻度が低い。そのため、頻繁に張り替える必要のない沿線の建物や金融機関などの宣伝広告が多い。
ドアシールには企業の広告主が多く、ビジネス客を狙った医薬品(ドリンク剤やビタミン剤、水虫薬、風邪薬など)、文房具などの広告が多い。都市周辺ではドアの窓ガラスの上や横などの小さなスペースまで広告ステッカーが貼られている場合も多い。ドアの窓ガラスでは、「ドアにご注意」などの注意表記がされたドアステッカーと広告が一体となったものも多い。
ギャラリー
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ドア周り(JR東日本)
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車椅子スペース・優先席付近(JR東日本)
脚注
- ^ 『鉄道省年報. 昭和2年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)